娘のクラスメイトの誕生日会があった。
子供達が遊んでいる様子を見ながら待っていたテーブルの向かいに座った母親は、私の中でどこかスパルタ要素を含む母親像であり、それは恐らく間違いないと私はかねてから予想している人である。
悪い人ではない。
しかし母親の優しさとか女性の柔らかさみたいなものが感じられない人で、何と言うのか、隙が無いというべきか、ガチガチと言うべきか・・そんな印象を受ける人である。

滅多に話さないが、この人の話題は「教育」に一貫している。
それも我が子の頭の良さのみ興味がある。
他人に興味がない私には、極めて苦痛な相手である。

その人が私の前に座った。
何となく目が合った。
私に「まだ同じ職場で仕事してるの?」と話しかけてきた。
「そうだ」と答えた私に、「私は仕事をきっぱり辞めて正解だと思っている。仕事をしながら子育てなんて、絶対に子供の全てを見落としてしまう。勉強も家庭教育も、食事も健康管理も全てを見てあげるには、仕事を持っていては不可能だと思うから。正社員で働く母親の気が知れないし、気の毒だと思う」と私に言った。
それは私が仕事をしている母親であるから、あなたは「不合格」と言われたような気がした。

それでも、この人にはこの人の価値観があり、話を無視する事はせず最低限で付き合おうと思うのは、子の為であろうか・・。

何かの話から、「うちの子は食べるのが遅い」という話題になった。
私は「うちの子もですよ。だから少量を皿にのせて、全部食べれるように配慮しています」と言った。
するとこの母親は「うちでは目の前にタイマーをセットし、この時間内に食べ終えなければ皿の物全てはゴミ箱へ、また食後のデザートも一切なしと決めてるの」と言った。
「食事中の会話は一切なし。そうしないと45分で夕食が終らないから、うちでは食べる音以外は一切禁止、食事中にトイレに立つのも禁止」なのだと言った。

家庭それぞれやね・・

朝は7時に起床、ピアノレッスンを20分してから牛乳を一杯、それから朝食は15分以内で、これまた目の前にタイマーがセットされる。
制服に着替えたら算数ドリルを2ページやって、間違えたら帰宅後のおやつは無し、全問正解したらビスケット1枚と決めてあるらしい。
若干、刑務所感漂う・・・

その甲斐あってか、確かにこの母親のお子さんは算数と英語がよく出来る。
クラス内で4つのレベル分けにされてあるうちの、いわゆるトップグループにいる。
がしかし・・気に入らない事があると自ら頭を打ち付けたり、クラスメイトを殴る蹴る、窓ガラスをたたき割ろうとする、逃亡しようとするなど、ほぼほぼ毎日、何らかの問題行動を起こして担任に立たされている事が多く、その度に母親は「どうしてそんな事をするの!!」と校門の前で起こっているのをよく見かける。

母親のお子さんにとって、家庭内に休憩する場と時間があるのだろうか・・と、余計なお世話を考えてしまい、しかし母親は決して悪気はなく、早く食べる癖を付けたい教育の一環としてタイマー制度を取っているのであるし、私がどうこう言える話ではないのであるが、何とも家庭環境の違いで子供は大きく左右されるのだと思うと、生まれし家庭環境は誰が決めるものかと思ってしまう。

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