娘の同級生の話。
小学校を卒業し、中学から娘は同級生のお母さんが一緒に車で送り迎えしてくれていた。
最初の1年を越えた辺りから、娘は帰宅すると「Sちゃんがお母さんに対しての口の聞き方が酷いねん…」とか「聞いていて辛くなるくらいお母さんを罵る 」、「あんなに親に対してFワード吐いても、お母さん何も言い返さへん。うちのお母さんやったら、車から引きずり降ろされてるわ!」と言うのが毎日の会話に入り出した。

友達と町に買い物に行っても、お母さんが子供に持たせている子供用クレジットカードで毎度50-60ポンドを使う。
ある時、友達らと買い物に行き、Sはネックレスを買いにパンドラという店に入った。
ところがお母さんがクレジットカードに50ポンドを入れるのを忘れ、残高不足で買えなかった。
怒り心頭のSは迎えに来てくれたお母さんに怒鳴り散らしたのを、目の当たりに見た娘が、お母さんがパートで稼いだお金を一瞬で50ポンドも使える感覚がわからんと私に話したことがある。
多分、こうして娘や友達の心が離れて行ったのもある。

そんな去年か一昨年だったか…Sのお母さんから相談された。
「トルコにバカンスに行こうと思うけど、娘がお父さんお母さん2人と行っても何も面白くもない。話すこともないし、一緒に泳いだって面白くもないから、私の友達を連れて行って。そしたら行く」と言ったらしい。
それで、うちの娘の費用は全額出すから、娘の相手になってほしいという相談だった。
私は断った。
夫にも話したが、「アホか…何で我が子の機嫌取って旅行なんか行くねん。感謝もない子供に旅行なんか連れていく価値もない」と言った。
私はそれを言われ、親と子が奴隷と王様みたいな関係になってるんかも…いや、さすがにそれは無いか…と思った。

夫婦関係同様、親子関係というのは当人にしかわからない閉ざされた空間の中のことである。
これが正しい在り方という教科書もないし、それぞれのやり方で成り立つ。
子を愛するが故に守る気持ちが大きくなり、それがいつしか腫れ物に触るように扱ってしまった関係に心地を良くした子の方が、親に気を使わせ欲を満たさねば機嫌を損ねてしまうという風になるなんてことがあるだろうか…

改めて見える、それぞれの親子関係。
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イギリス人は転職好きである。
私のような労働者階級の仕事にある人は特に、自分の居心地が良い場所を求めて転職を繰り返す。
我慢は時間と人生の無駄、そう生きるから日本人より肩の力を抜いて仕事が成り立つのだと彼らから学ぶ。

私の職場に変化が起こっている。
前の職場から一緒に来た店長が産休に入るため、系列店の店長が2店舗を掛け持ちで見ることに決まった。
この店長は私は17年前から実は名は知っていて、仕事に厳しいからスタッフの入れ替わりが激しく、人が残らない中において、1、2人が長くこの人と働けるという、小さなカーライルのアパレル関係の人間からは知られた人である。

この人もまた転職を経て今に至り、たまたま引き抜かれた会社が私と同じだった。
共に働いた事はないが、話を聞いているから限り、私と仕事に対するスタイルは似ている気がした。
だからこそ、めちゃくちゃ気が合うか、バチバチに火柱を散らすかのどちらかであると思う。

今週すでに2、3度うちの店に来て、改善点と気に入らん点を指摘
しに来たが、その時、うちの役に立たん10代のスタッフに対し、レジに意味なく立つのは何故?しゃべりに来てるなら帰ってもらって結構など渇を入れたらしい。
これを見たサボって金を貰いに来ているバイトらが一斉に辞表を出した。

「私はあの人に注意されたくない」、「多分あんな人と合わないから辞めます」と言ってきた。
笑ってしまった。
おう、おう辞めたらエエんちゃう?
注意されたから辞める、私に働けと言う、喋ってるだけなのに売り場に戻れと偉そうに言う…
この子達はどれだけ我が思想で育って来たのだろうか、これが欧米の所謂、嫌なことはしなくて良い教育の賜物なのかと怖くなる。

こうして自分に居心地の良い楽園を探し転職する。
有難いことに彼女らを採用する会社がある。
そこなら引き続きサボれる、携帯を見て過ごせる楽園であるのかもしれない。
そうして、いつの日か注意されたら、また転職するのであろう。
そういう意味で新しい風も悪くない。
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娘の小学校からの同級生Sがいる。
今年の7月まで一緒に登校していたが、うちの息子も入学したため、今月から娘は弟と弟の友達で発達障害を持つ児童を連れて登校するため別登校になった。

娘はそれを喜んで引き受けてくれた。
何故なら、去年から実はSの事が好きになれなくなっている自分に気が付き始めていたからである。
Sは友達の好き嫌いが激しく、小学校から一緒の児童以外とは付き合わない。
他の同級生がどんどん新しい友達を作る中で、Sだけが取り残された形で今に至る。

であるから、小学校から一緒の女子達はSを気遣い、昼休憩だけはSと同席することを継続し、他の時間はそれぞれに出来た友達らと話したりする。
それがSには気に入らなかった。
Sは同級生らが作った新しい友達の悪口を言うようになったのは2年前のこと。
娘らは、それが嫌になっていた。

それでも、なかなか新しい友達が出来ないSに寄り添うよう私が言っていたこともあり、娘は話したりする時間を作っては来た。
が…それに満足しないSが遂にキレ、娘含む小学校からの同級生に「私に話をしない、メールもしてこない、夏休み中の報告も誘いもない、遅れてきた私を待たない、他の生徒らとばかり話し、私をないがしろにした」と突然怒鳴り、絶交だと言った。

娘は悔しくて来たくしてから泣いた。
娘や同級生らは、彼女らなりにSを気遣いしていたのに、全く伝わっておらず、翌日からSは娘や同級生らの新しい友達にある事無いことの悪口を分散し始めた。
娘はこれに動揺している。

私は娘に言った。
まだ13歳で理解出来ないかもしれないが、Sは自分だけが取り残され焦っていたはず。
それが怒りとなり、間違った形で出してしまった。
小学校からの同級生だけがSの居場所だったのが、一人抜け2人抜け、それが新しい友達の方が楽しいからだとSは理解出来ないだけ。
今、悪口を分散し、自分が被害者だと言い尽きるまで静観しなさい。あんたがこの2年間で築いてきた新しい友達が、これで壊れるとは思えないけど、壊れたならそれまでの友達やったとわかるだけの事だと。

娘は泣きながら形「わかった」と言った。
女の子はややこしい…と言うが、ややこしい性格が一人いるだけで、全員を巻き込むからややこしい。
Sの母親から私にメールが来て「おたくの娘がうちの娘を理由なく避け始めたから怒鳴った」と書いてあった。
この母親も娘らが小学校時代 、同級生の保護者と3人絶交している。
我が娘が同級生と揉める度に保護者と揉める。

私はそれには乗らん。
娘にも、相手が悪口を言いふらしても、あんたは言うなよと言い聞かせてある。
その悪口がバレた時、孤独になるのはSだと娘には言った。
耐えるのは苦しい。
苦しいが、こうして人間関係のややこしさを回避する術を身につけることも学びである。
心を痛めながら、私は静観するしかない。
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息子がある部活に入った。
娘は「あー…その部活、頭の良い子が多いけど、オタクやと言われていじめられてる子がいた…」と、我が弟が入部するのを躊躇うように言った。
私は「どんな部活であれ、他人がそれを馬鹿にするのは頭の悪いやつがすることで、堂々と行きなさい」と息子に言った。

入部当日、部活が終わる夕方まで娘は弟が心配だからと、図書館で宿題をしながら待機した。
優しい姉である。

息子は嬉しい顔で学校から出てきて車に乗り込んだ。
楽しかったと言った。
行って良かったと言った。
部員は6人で、息子の学年は息子一人のみ。
先生も年上の児童も親切にしてくれたと言った。
私は息子に「先生の名前は?」と聞いた。
息子は「知らん。けど先生、発達障害やねんて。先生がそう言うてた」と言った。

凄いなと思う。
イギリスはそれがオープンである事と、その人に長けた才能を認めたなら役職が得られる、ごく普通の採用と何ら変わらない所が関心する。
以前は毎日部活があったが今は人数が減り、週1になった。
何でも良い。
熱中出来たらそれが青春。

私なんてバスケに熱中したが、今のような田舎生活をすると知っていたなら、絶対に園芸部に入っていた。
花を綺麗に咲かせられない庭のある家はイギリスでは駄目な主婦だと言われているような気がする。
野菜を上手く育てられない自分は、誰もが出来る事を出来ない劣等感を持つ。
園芸部に入っていたクラスメイトの男子2人は、今も園芸をやっているだろうか…
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9月から私は娘と息子、息子の友達を乗せて学校に送り迎えしている。
息子の部活、友達の部活、娘の部活日が違うため、お迎えはたまに友達のお母さんが担当したりして、母親連係プレーでやっている。

今朝も朝7:45に子供らを降ろし、Uターンして自宅に戻る途中、目に入るのは短すぎる制服のスカートにロングヘアーの女の子達が、
スマホを見ながら会話しているのかいないのか、真顔で歩く女子生徒達である。
何で友達と歩いてて携帯見んのかね、しかし…と昭和生まれのオバハンは首をひねりながら運転していた。

すると、右側の道から娘と友達が歩いて来たのが見えた。
娘は私には勿論気付かない。
娘と友達は身振り手振りで爆笑しながら歩いていた。
当たり前の光景がほっとする。
13歳、友達と通学してておもろ無いはずがない。
あの光景が今や、半数いやそれ以上かもしれないが、友達と歩きながら携帯に夢中になれる。

大人になったら、もう2度と仲良しの友達と爆笑しながら通勤する事はない。
どれだけ話しても話し足りない時間である。
娘よ、爆笑し続けてくれと願い、母は仕事に向かう朝である。
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前の職場で一緒で、今の職場も一緒に移ってきた同僚が、また前の職場に戻るために退職した。
今の職場というか、会社に嫌気がさして、やはり前の職場が実は良かったと実感できたからである。

私は前の職場の時に、その子の面接から関わってきたから、頑張り屋さんであり、優しく、強く、涙もろく、情に厚い子であるのを知っている。
また、ストレスが溜まっている日は目が鮮やかに青くなり、穏やかな時にはナッツ色に少し緑が混じった色であるのも私と本人だけが知っている。

3ヶ月前から目が青い日が増えた。
不意に流れる涙。
ストレスで耐えきれなくなっているのを耐えているとわかった。
前の職場に副店長の空きが出たことを伝え、退職を進めた。

昨日は一緒に働く最後の日で、私はカードと朝に焼いたアールグレイのケーキ、プレゼントを持って出勤した。
今日が最後と分かっていたから、顔を見た瞬間に二人とも同時に泣き出した。
そしてまた爆笑。
泣いて笑ってを1日繰り返し、最後は抱き合って泣いて別れた。
「私も近い将来、そっち行くかもしらんし」と言いながら。

空を見上げながら駐車場まで一人歩き、私は仕事を通して互いに別れが辛くて、泣くまでの人間関係を築けた今日まで頑張ってきて良かったと思った。
何度も限界があり、日本に帰ろうと考えたか知れない。
けれど、外国に住む日本人に出来て、私に出来ないはずがない。
根性じゃ…

あの時逃げずに良かった。
恋しい友達は日本にもいっぱいいる。
だけれど、今の私には私と別れる事に泣いてくれる同僚がいる。
これは本当に宝物。
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先週末、同僚のサヨナラパーティーで自称ジャパニーズレストランであるが、私には謎のアジア料理店へ行った。
同僚がカツカレーをオーダー…
止めといた方がええと思うけど…とは言えず。

カツカレーはキュウリのスライスが乗っており、しかも箸が来た。
スプーンはない。
これは至難の技である。
カツカレーを箸でいかれへん。

同僚は一口食べて、私に「これ…こんな食べにくいもんなん?」と聞いた。
日本人はカレーをスプーンで食べるが、イギリス人はナイフとフォークで器用に食べる。
結局、ナイフとフォークを貰った。

シェフに聞いてみたい。
あのキュウリのスライスは何処から得たアイデア、または事実なのか…
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イギリスで仕事をし始めてから、ずーっと苦手な事がある。
それは退職していくスタッフ、誕生日、引っ越し、結婚、病気、入院、身内を亡くした時などスタッフに送るカードに書くメッセージである。

語学力がないから、感動させるような内容が長々と書けない。
全くもって自分の勉強不足と分かっていて怠けた自分のせいである。
どうしても書きたい内容があり、まとまらない時は夫か娘に助けてもらうが、毎回時間がかかる。

来週月曜日は前の職場で1年半、今の職場で1年一緒に働いた同僚が辞める。
同僚とは言え、彼女の母親と私は4歳しか違わない。
娘のような年齢の彼女を育て、今の職場に共に来た。
それだけに月曜日は必ず涙ありの最後となる。
とは言え、彼女は今の職場の2つ隣の店に就職したから、いつでも顔を見れるのであるが…
話せば言葉は出てきて、書くとペンが止まる。

娘が中学に入り授業でスペイン語をやっている。
今年で3年目になるが、先日宿題でスペイン語で10分間喋るのを宿題専用サイトに録音するというのを私の隣でやっていて、紙も何も見ずにしゃべっていたから録音後「あんた、凄いな」と言った。
娘は「私はイギリス生まれ育ちの英語圏の人やから、スペイン語はお母さんが英語を習得するより遥かにラク。似てるとこあるから」と言った。

しかし娘によると、今年からスペイン語の先生がアイルランド出身の非常に強いアイルランド英語を話すスペイン語を教える先生であるから、去年まで習っていた先生が話していたスペイン語とまるで別物の言語に聞こえ、生徒が戸惑っているという。
幸い、トップクラスのスペイン語の生徒であるから、子供達がアイルランド訛りのスペイン語を理解するように慣れて行っている途中であると娘は言うが、それは正解なんか…と疑問はある。

まあしかし、スペイン語だって地方により訛りはあるかも知れないし、もしかしたら生徒が学んだスペイン語と前の先生の習得したスペイン語の地域が違うかもしれないし、私のスコットランド英語の友人がニューヨークのマクドナルドにバイトの面接に行ったら英語力を理由に受からなかったこともある。
英語と言えど1つに統一されていないし、柔軟に理解する力が付くと思えば有難い。

私にとって英語の壁は永遠なり。
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娘が持ち帰ったラズベリークリームチーズパイ…
これが、まあまあ旨かった。
何か…手作りのパイ生地をわざわざ作って数時間寝かせてから、また伸ばして…卵とバニラと生クリームを絶妙に混ぜて焼いて、カスタードタルトを作っていた手間をかけた美味しさと、クリームチーズに砂糖を混ぜて焼いただけでも美味しいならば、私はあの日頃の手間は何なのか…と笑ってしまった。

息子は9月から中学で調理実習が始まったが、まずは洗い物の仕方から習ったらしい。
聞いたとき、笑ってしまった。
洗い方て…
自分の使った食器を一切洗わない人材ばかりであるが、そんな家庭でお手伝いから知るような事から調理実習が始まり、翌年にパンとパイ作りを一年習うという飛躍…
どこの段階でゆで卵とか基礎的な知識を習うのかと思うが、多分それは無いのかもしれない。

製菓専門学校のような内容のものを手抜きバージョンで作るだけという、実に楽しい時間のような気がしてきた。
月2回あり、まるごと二段ケーキなども作ってくるが、考えてみたら月2回も子供が丸ごとケーキを食べて糖分の取りすぎなんじゃないのか?と考えたが、イギリス人なら月2回は少ないと思うから、まあ何というか…基礎的から始まり…みたいな事は考えられてもおらず、先生が作りたいものを作るか多分、先生が得意なものだけやるのかもしれない。
そう考えると、日本の調理実習は実によく考えられている。
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多分、アパレルファッション関係の店舗で働いている人なら一度は思うはずであるが、入荷した新商品を見て「こんなん誰が買うねん…」と思った経験があるはず。
しかし、そんな商品を必ず買う人というのがいて、人の好みの奥深さを知る。

デザイナーとは必ずしも売れる商品を作らない。
ほんまにこれ売れる思うて売り出したんか?
よう企画通ったな…と素人の私が思うデザインがあったりして、しかしそういう商品も、イギリス人には売れないが、スペイン語圏の観光客に売れたり、中国人観光客に売れたり、売っていて面白い。

今日はコートとセーターを売り場に出し、水着やTシャツは全て倉庫に眠らせた。
寒いからもう売れないし、ダウンコートが既に好調に売れ始めた。
水着を箱に入れながら、しかし尻の割れ目がかろうじて隠れるデザイン「ブラジリアン」というスタイルが、好調に売れた。
XLとLサイズは完売。
売れ残ったのはSとXSのみ。
あれを着た女達が世界中のホリデー先で尻80%を見せているのかと思うとXLの女の度胸はもう神様レベルなのかも知れない。
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