数日前、夫が遅く帰って来た。
またポンコツ電車が遅れたのかとおもったら、違った。
話しはこうである・・

いつものように電車に乗り、テーブルで仕事をしていたら、少年が自転車を抱えて乗ってきた。
顔は赤く、震えているように見えたため、「ここに座るか?大丈夫?」と声をかけた夫。
少年は「大丈夫です。ちょっと殴られて・・」と語った。

少年が駅に向かうべく自転車をこいでいたら、後ろから来た車が自転車の少年にベッタリ張り付いた。車が少年を追い越した瞬間、車は急停車。
降りてきたドライバーから顔を4発殴られ、腹を蹴られて少年は倒れた。
ドライバーは立ち去り、目撃者はおらず。
少年はひとまず父親に連絡し、自分の駅に向かうべく、電車に乗ってきたのであった。

夫は「警察に連絡した?」と聞いたが、少年は「目撃者も無い。セキュリティカメラも無い場所で車の色だけ記憶し、ナンバーなど覚えていない。これでは探しようが無いと門前払いだった」と話した。
顔は赤く腫れ、大人に殴られたショックから少年は震えていたため、少年が父親に会うまで夫は付き添ったのだった。

これはイギリスで実によく怒る事件なのであるが、自転車は車道を走り、車も当然、車道を走るのであるが、自転車が車道を走る事を嫌うドライバーがいる。
ドライバーは自転車が前を走ると、当然、速度を落とさねばならないし、急いでいる時などイライラする。
車の運転のルールを守らない人がいるように、また自転車も同じ事が言えるが、しかし法律でそう決まっているのであるから、互いに譲り合い、理解し合うしかない。
が、なかなかそうは行かないのである。

車を運転するドライバーから殴られるサイクリストが多いため、ここ数年ではサイクリストが自分のヘルメットに小型ビデオを設置し、自分の目線の先にある車の映像を撮影しながら走る人も多い。

あまりにもこの事件が多いため、去年だったか、TVで実際にどれくらいのサイクリストがドライバーに殴られたりするのかという実験をしたドキュメンタリー番組があった。
番組内で明らかになったのは、攻撃的なドライバーも存在し、またマナーの悪いサイクリストもいるという事であった。

数年前、私はスピード違反をした。
免許の点数を引かれれば保険料が上がるので、講習を受けて免れた。
その講習で、ある参加男性が「俺は自転車に乗るサイクリストが嫌いや。見たら殺したくなるくらい邪魔に思う。だから、いつも車体が当たらない程度まで近づけ、車道から追い出す。コケさせた事も何度もある」と発言した。

講習の先生は元警察官であり、うち1人の先生はサイクリストでもあった。
先生は「法律で車も自転車も車道を走るのだから、お互い様とは思えないかな?」と聞いたが、男性は「思えないね。自転車に乗るなら、車に乗れよと思うね」と答えた。

先生は「あたなが仕事や生活で車が必要なように、彼らもまた、自転車が生活の1部だという理解は出来ないかい?」と聞いたが無理だった。
講習では、「マナーの悪いドライバーやサイクリストに出会っても、無視するのみ。あくまでこちらはマナーを守り、相手に仕返しなど考えてはいけない。リスクが高過ぎる。とにかく、自分を保つ事、マナーを守る事、距離をあける事を考え、相手が去るまで待つのが得策」と当たり前の事を言った。
が、これがなかなか出来ない大人が多いのである。

夫は殴られた事はないが、車が横を通り過ぎる際、クラクションをこれでもか!!と鳴らされる事は結構あると言っていた。

日本でも、このサイクリストが問題になっていると、この前日本に帰った時にTVでやっていたが、イギリスのように車からわざわざ降りて来て、人を殴る習慣だけは広まって欲しくないと願う。

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