日曜日は母の日であった。
土曜日、スーパーの入り口には花束の数々がズラリと並べられ、人が殺到していた。
旦那から「花いる?」と聞かれたが、「要らん」と答えておいた。

実はイギリスに来て間もない頃、とあるTV番組を見た事と、同時期に雑誌か新聞かで当時問題視されていた記事を読んだ事がキッカケとなり、以後あまり花を好んで買わなくなったのである。

そのドキュメンタリー番組と雑誌か新聞記事の内容は、普段私達が何気に買っている花はアフリカで育てられている事、それに携わる人達は破格に安い賃金で農薬まみれになり、しかもマスクもせずに働かされている・・という内容であった。
であるから、国民は花を買うのをやめ、この過酷労働を強いている団体か企業を潰そう!みたいな事が何度か番組やニュース、新聞などに掲載されていた。

また花屋によっては、「うちの花はアフリカの過酷労働の末に育てられた花じゃありません」みたいな広告を打ち出していた時期があった。

農薬の真っ白な煙の中で作業する女性達が映し出され、その映像がショックだったのだろうか・・今でも花を見ると「アー・・あの人達が・・・」と思ってしまうようになった。
農薬によって受ける身体的被害・・みたいな事も番組内でやっていたから、余計にインパクトが強かったのだと思う。

ガーデニングなどまるで興味がないのに、数年前からチューリップやヒヤシンス、パンジーなど育てている自分がちょっと気色悪いのであるが、綺麗に咲いたチューリップも、どうせ子供に長靴で踏まれて可哀想なので、ここ数年は庭のチューリップを切り、花瓶に入れて家の中に飾る事にしている。

土曜日、スーパーに並べられた無数の花束を見ながら、今日のこの母の日のために、あのアフリカの人達は不眠不休で働かされたのではないか・・その結果、こんなに沢山の花束がこの日に間に合っているに違いない・・と、1人で想像するのであった。

事実か否かは分からんが、何となく売られている花に負の印象を持ってしまった英国暮らしである。

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