隣の売り場のオバハンが、ビーチサンダルのような靴で仕事に来始めたのは、3ヶ月ほど前のこと。
田舎百貨店ながらも、一応デパートなので、当然×。

しかし私は主任でもないから、注意する責任もないし、知ってはいたが無視していた。

驚くのは、12人いる役職の付いたマネージャーが、誰一人として、これに気付いてない事である。
何も見えていないマネージャー達なのである。

昨日、本社から偉いさんが来た。
偉いさんは、さすがにすぐ気付き、その日のマネージャー会議で、「なぜ誰も注意しない!!」と怒った。

「気付きませんでした」と胸を張って言えるはずもなく、なぜかその会議に、緊急で、私と向かいの売り場のおばちゃんが呼ばれた。

偉いさんの前で、「あなた達、知ってたの?」と1人のマネージャーが聞いてきた。
物腰低く聞いてきたなら、正直に答えてやろうと思っていたが、思い切り上から攻撃的に来たので、笑みを含んで「知りません」と言うたった。

私の直属の上司が、「いいや、T子が気付かないはずがないわ」と言い出した。
なぜなら、私はいつも細かい事を言うので、クレーマー的印象が強いからである。

「化粧品売り場の女が、化粧してないのはオカシイぞ!」「あの女がチョコレートを食べながら売っていたぞ、注意しろ」「あんたの管理が悪い」など、いちいち細かいことを訴えるから、上司からすれば、私がこのビーサンに気付かないワケないのである。

そう、その通り。気付いてましたよ、そりゃあ。

12人が、12人とも気付かなかったハズはないと思うが、そこはイギリス。あり得る話である。

結局、最後は「あの人は、会社の規則を守らない人だから、今後見つけたら、すぐに報告するように!!」と偉そうに言われ、なぜか今後の、第一報告者が私、第二報告者がシイラとなった。

全く意味不明のこの係り。
12人がするべき仕事を、なぜ私とおばちゃんでするのか・・

「これって、本来なら役職のある人がする仕事なのに、オカシイですね~こんな面白い会社、働いた事ないです~!!」と200%の笑みで嫌味を吐き捨て、オフィスを後にした。