つ、ついに観られました!
今年上半期最大の注目映画!
1991年公開、エドワード・ヤン監督作品
「牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」
色んな人から、「面白い!}という話を聞いていたのですが
いかんせん、236分(3時間56分)という長い上映時間も
相まって、観るのを躊躇っていたのですが、
思い切って映画館で観賞!
感想としては…
「一言では言い表せないほど圧倒的な面白さ」
「236分があっという間!」
「何度も観たい傑作!」
とにかく、「スゴイ!」の一言です!
ただ、予習無しで鑑賞するには
人間関係が複雑な映画ではあります。
そこで、ここでは、
「牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」を観ようか
迷っている方に向けて、映画鑑賞前に知っておきたい見所などを
お伝え出来ればと思います
まずは、あらすじから!
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
1960年代初頭の台北。
建国高校昼間部の受験に失敗して
夜間部に通う主人公、小四(シャオスー)は
不良グループ〝小公園“に属する
王茂(ワンマオ)や飛機(フェイジー)らといつもつるんでいた。
小四はある日、怪我をした少女
小明(シャオミン)と保健室で知り合う。
彼女は不良グループ小公園のボス、通称:ハニーの女で、
ハニーは、対立する不良グループ〝217”のボスと、
小明を奪いあい、相手を殺して姿を消していた。
ハニーの不在で統制力を失った小公園は、
今では中山堂を管理する父親の権力を笠に着た
滑頭(ホアトウ)が幅を利かせている。
小明への淡い恋心を抱く小四だったが、
ハニーが突然戻ってきたことをきっかけにグループ
同士の対立は激しさを増し、小四たちを巻き込んでいく。。。
本作は、実際に台湾で発生した
台湾初の未成年による殺人事件を題材にした映画である。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
…はい、これを観ただけでも
人間関係が複雑ですね。
でも、この映画を観るうえで
事前に把握しておきたいことは…
「主人公は、小四(本名:張震)という男の子」
「小四には、2人の悪ガキ仲間がいる」
「小四は、”小公園”という不良グループの
リーダーである”ハニー”の恋人(小明)に恋をする」
「小四は、”小公園”と”217”という
不良グループの争いに巻き込まれる」
この4点だけでとりあえず大丈夫です!
前に、ブログにチラッと書いたことがあるのですが
「登場人物が多い」、「人間関係が複雑」な
良作映画は、「登場人物がグループ分けされている」
ことが非常に多いです。
この映画では、厳密には
「小四と、その悪ガキ仲間」
「小四の家族」
「それ以外の大人たち」
「”小公園”」
「”217”」
この5つのグループに分けられていますが、
中心の物語を抑えるには、
「小四と、その悪ガキ仲間」
「”小公園”」(不良グループ①)
「”217”」(不良グループ②)
さえ分かればとりあえずは大丈夫です!
物語は、
「小四が、”ハニー”の彼女(小明)との淡い恋物語」で始まります。
そこから、どのように物語が転がるかは観てのお楽しみ!
さて、物語の概要が分かったところで
「この映画の注目ポイント」をご紹介しようと思います。
私が感じた注目ポイントは…
「ムダに割られていない完璧なカット」
「あえて”見せない”」
「小道具に持たせた設定の妙技」
主にこの3点です。
① 「ムダに割られていない完璧なカット」
この映画の特徴は、
「基本的に1シーン1カットで、
”切り返し”と呼ばれるカットが少ない」ことにあります。
実は、映画を観ながら
この映画のカットの合計数を数えてみたのですが、
上映時間が236分と長尺なのに対してカット数は「580」です
この数字から、1カットあたりの平均の秒数を
算出すると、約24.4秒、1分で2カット強になります。
一般的な、上映時間2時間ぐらいの映画だと
大体1000カット、1カットあたり約7.4秒ぐらいになると
言われています。
ここから考えても、この映画が
「いかに少ないカット数で効率よく物語を表現しているか」が
お分かり頂けるかと思います。
それだけ、1つ1つのカットにちゃんと意味を持たせて
ムダのない映像に仕上られています。
② 「あえて”見せない”」
これは、
「人物の顔の表情、街の風景にあえて影を落として
暗くし、見えなくすることで観客の想像を掻き立てる」
という意味です。
なかでも、注目してほしいのが、大体180カット目にある
「白い壁を用いての影絵のテクニックを使ったカット」です!
あまりにもさり気なさすぎて、気をつけていないと
見逃してしまいそうなカットなのですが、
人物の顔も見えないのに表情が想像できるように出来ています。
最近の映画には、映像や言葉で説明をしすぎているものが
散見されます。
そのような作品とは異なり、この映画では
ムダな説明を省いて、解釈を観客に任せているところに
大きな特徴があります。
こういった、「観客のチカラを信じてくれる」映画が
もっと増えてほしいなと、感じました。
③ 「小道具に持たせた設定の妙技」
この映画で、注目をして欲しいのは
「小道具に与えれれた設定」です。
これが、この映画のクライマックスに
つながるポイントになります。
この映画は、背景に
中国と台湾との歴史関係や
日本と台湾の関係などが関わってくるので
そのあたりに、注目をして頂ければと思います。
この映画、内容や設定が深すぎて
中国の歴史なども絡めて話すと一晩以上かかりそうな
勢いなので、詳しくは、もっと自分の考えがまとまってから
書いてみようと思います。
今日は、ここまでにしようと思います。
お付き合い、頂きまして有難うございます。
エドワード・ヤン監督の作品の
4Kデジタルリマスター上映はまだ続きます!
今後は、ホウ・シャオシェンが脚本、出演している
「台北ストーリー」という映画が上映されます!
※ 「台北ストーリー」は、上映時間119分と
2時間未満なので、非常に観やすい映画です
この注目作をより楽しむためにも
「牯嶺街少年殺人事件」
是非、劇場で御覧ください!
※ この映画、かなり人気が高く、
劇場が満席になることがほとんどなので
早めにチケットを手配しておくことをオススメします