Awesome City Club「Awesome City Tracks」 | Rotten Apple

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[Japan,Rock/Pop]

01.Children
02.4月のマーチ
03.Jungle
04.Lesson
05.P
06.It's So Fine
07.涙の上海ナイト


邦楽インディやテン年代シティ・ポップという謎の括りに皆うんざりしてきているのかもしれない。インターネット上の膨大な音楽を消化した上で次々に現れる新たな才能に対して、もはや誰もがその定義を把握出来ぬまま日々拡大し続けている。
その定義とされているものをいくつかあげるなら、インターネット発信、虚構性、パーティー感、遅めのBPM、アイドル的ノンジャンル手法、90年代J-POP的ブラックミュージック、明確なビジョンを持った戦略的プロモーション、そして女性メンバー。その全てを押さえたAwesome City Clubという存在は雑多な定義を全て過去のものに変えてしまうような空気すら醸し出している。

メンバー構成とコンセプトを確立した上で活動を開始し、意図的にレコード会社争奪戦を引き起こしたACCによるメジャーデビューアルバム「Awesome City Tracks」。既に彼らのブレイクは確約されていたけれど、それをコントロールし着実に自分達のものにする素晴らしいアルバムを作り上げてきた。インディペンデントな活動が主流となる中、メジャーで売れることが一番おもしろいと判断した彼らの思い通りにきっと全ては動いていくのだろう。

マイフェイバリットバンド女子ランキング独走中のPORINさんの赤いワンピース姿がかわいい「Children」はどのジャンルにも振りきらないバランスの、ある意味最も彼ららしい曲。PORINさん生着替えMVが話題の「4月のマーチ」は脳内メルヘンな世界観と、マスアピール見え見えなプロモーションにあざとさが見え隠れする。
iTunesで先行配信された心地よさに酔ってしまうような「Lesson」はPORINさんコーラスが素晴らしいし、PORINさんの小悪魔的一面が顔を出す「P」や、唯一の新曲「It's So Fine」はトレンディーな架空のディスコで踊るPORINさんをイメージさせる。これだけのキラーチューンを並べつつチャイナドレス姿のPORINさんが出演するMVの製作が待たれるチャイナポップ「涙の上海ナイト」の大団円っぷりが泣けてきてもう頭が上がらない。PORINさん…。

先述した邦楽インディやテン年代シティ・ポップと呼ばれる大きな流れは、徐々にメインストリームへ雪崩れ込むと思っていたけれど案外早く収束してしまうかもしれない。それほど彼らの登場は必然的すぎたし、彼ら以上に時代をコントロール出来るような存在はそう現れないだろう。彼らには余計な文脈すら不要だ。最後にひとつだけ言っておくならPORINさんは生で観るとMVの10倍はかわいい。何かの間違いで結婚してほしい。