SIMI LAB「Page 2:Mind Over Matter」 | Rotten Apple

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[Japan,HipHop]

01.Intro Mind Over Matter
02.Avengers
03.Dawn
04.Oasis
05.Karma
06.$$$$$
07.Kommunicator
08.Circle
09.Mind Over Matter
10.Worth Life
11.Player
12.Street
13.Yawn
14.Roots
15.Come To The Throne
16.We Just


SIMI LABに対する何とも言えない感情はなんだったのだろうかと思う。WALK MANという曲を引っ提げ突如シーンに現れたSIMI LABは中毒性のある最先端のラップとトラック、そして何よりも不安定なグループ像と多国籍な出で立ちが注目され、シーン内外を問わず話題の中心となっていた。しかし彼らに対する高い評価は純粋に作品としてのクオリティというよりは、シーンに現れた新たな才能への称賛のように思えた。彼らへの評価に対して何かしらの腑に落ちない思いを抱えていた人は少なくないはずだ。
Uncommonであることを押し出した分まとまりのない印象となっていた前作のリリース後、メンバーの変動やソロ活動を経てリリースされたこのアルバムは、確実に個々としてグループとしての成長が感じられ、ただの集合体ではなくグループとしてもクラシックが作れることを証明した一枚になっている。


タイトル通りの個性派集団ぶりを見せつけるAvengersに、菊地成孔のサックスが怪しげに絡むDawnや、フックが軽快なOasisと序盤から佳曲が並ぶが、特にアルバム後半の流れが素晴らしい。前作で一際存在感を放っていたThe Bluesのようなメロディアスで胸を打つ曲が次々に繰り広げられていく。

キャッチーなフックとOMSBのSIMI LABに対する想いが零れるリリックが印象的なCircle。
"誰かが辞めて、誰かが入る 何かの縁かも悲喜こもごも いつもの午後、あいつが消えて いつかの今日、こいつとマイメン
なんだっけなぁ、いつかのライブの後 いつかは解散?なんて聞かれたよ 知らねアホ、フザケんななんて声出ず 酔って泣いたよ そこだけ覚えてる
"

歌うようなフローとフックが気持ち良いWorth Life~Player。マイノリティであることの葛藤を綴りつつも先を見据えるRootsは彼らにしか作れないし、それぞれの帰路で素直な想いを綴るレイドバックしたYawnではUSOWAが良いラップをキックしている。
"この生活がいつまで続けられるか?俺たちが楽しんでる限りは永遠だろ
タバコの臭いが染み込んだ服を脱ぐ 耳に残る残響音が妙に心地良い 今は全身の力を抜いてくつろぐ 目を閉じておやすみ 皆が起きる頃に
"

MVにもなっているAvengersや先行カットされたWe Justのような"次世代ヒップホップ"らしさを感じさせる曲が一般的なSIMI LABのイメージになるのだろうしその良さも理解できる。しかし個人的にはアルバム後半のメロウな曲にこそ彼らの本質が詰まっているように思える。そこからは90年代ヒップホップに対する憧れやリスペクトが感じられるし、このアルバムの大半はNew 90's Hip Hopと呼びたくなるようなサウンドが繰り広げられる素晴らしい一枚だ。

そしてDawnと重なるようなサックスが特徴的な実質ラストチューンCome To The ThroneでのOMSBに最後のとどめを刺された。これはクラシックだろ。最高のチームだSIMI LAB。

"いつか観たドデカい世界の名場面が 目の前に来るのが見えたぜやべーな!
懲りずにBoyz be 大志を抱こう MiracleなTeam, これがSIMI LAB!

Still wanna be a player 座り続ける王座
勝者は Every time sure shot Here we go now
"