新ゾンビ論 Vol.1 日本におけるゾンビ映画を考える。前編 | トンデモ・シネマの開祖

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今日から少しずつ、『新ゾンビ論』と題して不定期に連載していくつもりです。
第一回は2000年以降の日本におけるゾンビ映画を考えていこうと思うんだなぁ。

これは「サンズ SUN OF THE DEAD」を僕が作る際に書いたメモを纏めたもの。
公表するかどうかは、少し悩みましたが、10月の発売に向けて一応、宣伝がてら、公開しようと思います。
あくまでも主観的なもので研究結果ではないので、
専門の人やネット住民の方々が、必死で質問されたり、突っ込まれても面倒なので答えないと思う。

そもそも日本人とイタリア人はゾンビ好きが多いのは有名だが、
これは日本での「ゾンビ」(78)公開がイタリア(アルジェント)版のせいだという説がある。
つまり、そのぐらいアルジェント編集版の方が、
監督であるジョージ・A・ロメロ版より怖かったというのだ。
$それは、いつでもBだった

ただ、過激な惨殺シーンの多いゾンビ映画は基本、低予算映画系の所謂、B級ホラー映画である。

A級やエンターティメントとして扱われたのはつい最近の事。
2002年の「28日後...」と
2004年に公開された「ゾンビ」のリメイク版
「ドーン・オブ・ザ・デッド」
のヒットにより、
ハリウッドは中規模予算ゾンビ映画を組むようになったと言われている。
つまり、世界的にはそれ以前も以降もゾンビ映画の大半は低予算映画で、
その数は無数にある。

$それは、いつでもBだった

ただ、日本にはファンの多い割りには、何故かゾンビ映画が少ない。
たまにあってもコメディだったり、ゾンビが少数しか出て来なかったりする。

これには色んな理由や説があるが、どれも推測の域にしか達していない。
一つはゾンビは日本の風土に合わないと言うのだ。
そもそもゾンビはダン・オバノン監督の「バタリアン」(1985)の中で描かれているように墓場から蘇る。
しかし、コレは土葬である米国だからありえるが、日本は火葬である。
$それは、いつでもBだった

もう一つの理由は、アメリカ合衆国の多民族に比べると、日本人は9割以上が日本人であるという事。
皆、同じような顔出し、今程、昔は服装もバラエティに富んではいなかった。
その為、絵的には地味

その上、基本、民族性が同一だと考え方も似かよるらしい。
特に、人を脅かす事は下品な事と考える日本人は、
ゾンビの演技が非常にラフで、皆、同じに見える
大抵、片足を引きずって、トロトロ歩いてくる。
これはロメロ・ゾンビのイメージによる物だろうが、
実際にはロメロのゾンビは片足を引きずっているゾンビはそんなに多くない。
むしろ、ちゃんと歩いている。
(ただ、ロメロ・ゾンビは小走りはあっても、基本、走らない)

また、もう一つの理由は、ゾンビ映画に絶対に必要なのは特殊メイク。
しかし、海外に比べ、特殊メイクアーティストの人数が少ない日本では、非常に困難になる。
特に現在の映画ではゾンビメイクは非常に高度な技術を用いる事が多く、
その技術を持つ特殊メイクアーティスは限られている。
また、複数の特殊メイクアーティストが同時に多数の俳優をメイクしなくてはいけない事もあり、
海外と違い、メイクルームも限られる日本では、その点でもネックになる事が多いようだ

2000年以降、日本でもゾンビ映画を作ろうという動きが多数出没する。
理由は一概には言えないが、
一番の理由はゲーム「バイオハザード」(1996)の大ヒットの影響だと考えている。

2000年、最初に観たゾンビ映画「ザ・デイ・シャッフル!! 死霊の群れ」(2000)は、
なんとも日本の低予算でOVゾンビの前途を予感させる幕開けだった。
おそらく、9割の人が知らないゾンビ映画だが、決して、馬鹿にしてはいけないと思う。
それに、ちゃんとゾンビとエロスを混ぜ合わせ、ゾンビ発生のプロセスを描いている。
ただ、何分、ホテルだけそれを描くのは少々無理があったような気がする。
あと、見せ場が顔に射精するシーンだったりする。
$それは、いつでもBだった

同じく2000年には室賀厚監督の『JUNK/死霊狩り』(制作は1999年)は、
後に日本のOV界の定番となるゾンビハンター物の祖先といえない事もない。
(一般的は「BLOOD THE LAST VAMPIRE 」(2000)の方が祖先説が有力)
強盗の仲間の女性(嶋村かおり)がゾンビ島(沖縄だけど・・・)で派手なアクションを展開するというもの。
ただ、基本はルチオ・フルチ監督の「サンゲリア」(1979)に似ているような気がする。
メイクもゾンビというよりルチオ・フルチ風の全面ミイラメイクなのだ。
ただ、隔離された場所と言う設定は無理がなく、日本とゾンビの調和のバランスはなかなかのものだ。
ラストで女ゾンビが飛んだ時は、少しひいた。
$それは、いつでもBだった

2001年には北村龍平監督特殊メイクに仲谷進氏を迎えた
「VERSUS -ヴァーサス-」を発表している。
この作品の評価はインディーズ系とは思えないほど高く、北村龍平監督はハリウッドと契約する。
つまり、そのぐらいレベルも高く、面白い作品。
特に北村龍平監督のアクションの演出は当時の日本では考えられない程、ハイレベルだった。
ただ、やはり此処でも、ゾンビがメインとは言い難く、バトルアクションがメインだ。
$それは、いつでもBだった

そして、何より、仲谷進氏の特殊メイクは冴え渡っている!

後に、私の作品である「サンズ SUN OF THE DEAD」の特殊メイクを
仲谷進氏に手掛けて貰える事になるとは、その時は思いもしなかった。
運命とは不思議なものだ。

続く(またその内書きます)



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$それは、いつでもBだった
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