朝日新書 アンドリュー・ゴードン「日本人が知らない松坂メジャー革命」 | カフェメトロポリス

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松坂がポストシーズンで初勝利というわけにはいかないので、ちょっと意気消沈しながら、銀座を歩いていたら、旭屋書店の平積みのところに、ハーバード大学の日本の歴史の専門家のアンドリュー・ゴードンという人が書いた、「日本人が知らない松坂メジャー革命」(朝日新書)があったので早速買い込んで読み終えた。

ボストンが松坂や岡島の活躍をどう期待し、どう受けとめたかということについてのポストシーズン前までの記録で、とても面白かった。

こんな件がぐっとくる。

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そんなボストンの誇りと興奮が、ある種のフラストレーションに変わったことがある。「松坂の活躍が期待ほどではなかったことも手伝って、前半戦終わりころには日本での関心がかなり冷めてきている」。そうアメリカのメディアがレポートし始めたときだった。おもしろいことに、それを知った「おらが松阪」を誇りにするボストン市民が反発した。(中略) 

626日、「USA Today紙」が「松坂フィーバー、日本では鎮静化」と報じたところ、奇妙な形の日本バッシング騒動が行った。

ラジオのスポーツトーク番組では、ホストも聴取者もこんな風に怒り狂った。

「日本人はどうなっているんだ」

「初めてやって来る異国のリーグに適応するのがどのくらい大変なのか、やつらはわかっていないんじゃないか」

「松坂がどれだけすばらしい仕事をやっているかを、日本人はわからないのか。登板する全試合でノーヒットノーランをやれとでも言うのか」

レッドソックス国家の市民が持つ偏狭さと国際友好主義が奇妙にミックスされ、市民らはこう考えたのである。

「日本人ファンなんかよりもおれたちのほうが、どれだけ日本人選手がよくやっているかを、ちゃんとわかっているんだぞ」

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こんな風な、味のある、文化交流の綾を今後も、アメリカの新聞を眺めながら、じっくりと追いかけてみたいと思った。