“一人二役” マルケイがペアに挑戦 icenetwork翻訳 | WFS JAPAN

WFS JAPAN

WFS公式日本語版

Two disciplines, one skater: Marchei's bold move
by Vladislav Luchianov
special to icenetwork



ヴァレンティナ・マルケイは今シーズン、シングルとペアに参戦する -Getty Images


2つ以上の仕事を抱えている人ならば言うだろう:ある意味、2つと真正面から向き合うのは非常に挑戦的なことであると。しかし、その仕事があなたにとって最高の情熱である場合には、インスピレーションに導かれ、全ての努力が新しい強さを作り、エネルギーを増すことに向かって行くのだ。

上記のことは、新たな道を歩み始めた5度のイタリアチャンピオンであるヴァレンティナ・マルケイに完全に当てはまる。28歳の彼女は先月、ペアに挑戦することを発表し、世界を驚かせた。そして彼女とペアを組むのが、ステファニア・ベルトンとのペアで3度イタリア選手権を制し、2013年ヨーロッパ選手権では銅メダルを獲得したオンドレイ・ホタレックに決まったことが、多くの人たちに更なる驚き与えた。

マルケイとホタレックは既にトレーニングを開始しており、チームとして順調に進み始めた。しかしマルケイは、シングルスケーターとしてのキャリアもまだ諦めてはいない。今シーズン、彼女はどちらの競技にも参戦するつもりなのだ。

Icenetworkはマルケイに彼女の新たな挑戦についてや、これから直面するであろう様々な課題について、話を聞くことが出来た。


Icenetwork: 先月、カナダのコーチであるブルーノ・マルコットはicenetworkとのインタビューの中で、あなたとオンドレイ・ホタレックとのペア結成について認めていました。この件について少し教えていただけますか?

Marchei: もうトライアウトなんかじゃないわ。私達はこのまま挑戦していきたいと思っているし、今のところペアを楽しんでいて、4年計画の目標も立てたの。2人で滑り始めてまだ7週間。私はゼロから始めて、なんとか頑張っているわ。シングルとして20年もキャリアを積んできたから、ペアを組むことが現実のものになるなんて思いもしなかったけれど、でもそれが好きとかどうとかいう間もなく、あっという間にこうなったのよ。


Icenetwork: あなたはこれからもシングルスケーターとしてのキャリアも続けていくそうですね。シングルとペア、どちらにも挑戦することによって抱えることになる負担について心配はありますか?

Marchei: ええ、今まで通りシングルも続けていくつもりよ。オンドレイとは6月半ばから一緒に練習を始めたのだけれど、その前にはロンドンのロビン・カズンズの元に行って、シングルスケーターとしての可能性を広げる為のスキルも磨いてきてもいるのよ。シングルが本当に好きだから。それがこれまでずっと私の夢だったし、オリンピック出場の経験は素晴らしいものだった。これまでずっと一緒に過ごしてきたことを手放してしまうのは、とても辛いことよ。ええ、確かにとても大変なことだと思うけれど、でも出来うる限り、私はどちらでもベストを尽くすわ。


Icenetwork: 大会によっては、それぞれの競技が同じ日に行われていることも、しばしばあります。もし、1つが終わった直後にもう1つ、というような状況になった場合には、どのように対処する予定ですか?

Marchei: 未経験のことだから。かなり大変なことになるでしょうね。でも練習ではここ数週間経験してはいるのよ。正しい時に正しくエネルギーを使うことが大切になってくるわね。だから持久力を付ける為に有酸素運動を行ったりしているけれど、自分自身と折り合いをつけることも大切だと思うわ。

オンドレイとのトレーニングがあるので、昨年と同じだけの時間をシングルに割くことは出来ないから。でもペアを始めて以降、私はずっと強いアスリートになったと思うの。それはシングルスケートにとっても良いことだと思うわ。


Icenetwork: オンドレイとペアを組む前は、誰かとペアを試してみたことはありますか?

Marchei: ええ、ブライアン・ジュベールと遊び感覚で試したことはあるわ。でもサイドバイサイド・ジャンプを跳んだだけで、他のペアエレメンツはやらなかったわ。


Icenetwork: トレーニング地はどのようにして決めるおつもりですか?シングルのコーチはデトロイトにいて、ペアのコーチはモントリオールとミラノですね。

Marchei: ペアにも挑戦すると決めたからには、トレーニング地のことも決断しなければならなかったわ。オンドレイは来年、アナ(カッペリーニ)と結婚するの。だから彼はこれまで通りイタリアでトレーニングを続けることを望んでいたのよ。もし彼とのペアを望むならば、私はそれを受け入れる必要があったから、これまで過ごしたデトロイトを離れて、フランカ・ビアンコーニの元でシングルのトレーニングもできる様に地元に戻ったの。

6年も地元から離れていたのですもの、戻れて嬉しいと思ってるわ。簡単な決断ではなかったけど、でもスケーターとして今ある情熱やモチベーションの方が、再び生活が変わる不安よりも勝ったのよ。デトロイトは人生が変わるほどの経験だった。ジェイソン(ダンジェン)とユカ(佐藤)は最高のコーチたちだった。彼らからはスケートについて、そして私自身についても沢山の事を学んだの。一緒に過ごしてきたワーキングチームのみんな、それにチームメイト達のことは、この先もずっと感謝するわ。共に経験したクレイジーなあの3年間を支えてくれたことに感謝してる。


Icenetwork: ブルーノ・マルコットはあなたがペアでもかなり良くやっていて、既にスロートリプルサルコウも成功させていると言っていました。トレーニングの進み具合はどうですか?

Marchei: あなたが先ほど言った通り、私達はモントリオールとミラノでトレーニングすることになるわ。ペアを組んで3週間しか経っていない時にブルーノとリチャード(ゴーティエ)の元に行ったの。目的は新しいエレメンツを習うことだったのだけど、この挑戦がバカらしいことなんかじゃないってことも明らかにしたかった。結果は時間と共に表れるのでしょうけど。彼らと、そこにいるスケーター達との2週間は素晴らしい時間だったわ。

とても短い期間だったけれど、私達は沢山のことを達成することができたし、いつも笑いがあって、1日1日の小さな目標を楽しみながら過ごせたの。彼らの元で初めてスロートリプルサルコウも成功したのよ。リフトやダブルツイスト、デススパイラルなど、ペアで思い浮かべる全てのエレメンツにも取り組んだわ。

何度も何度も何度も繰り返すことに、私のパートナーがどれ程忍耐強かったか言葉が無いわ。一度ステファニアと全て達成した後にまたゼロの状態から始めるのは、彼にとってとても大変なはずよ。でも私たちそれぞれのこれまでの経験が役に立っているし、お互いのスケートに対する情熱が限界を突き破る後押しになっているわ。ミーガン・デュハメルとエリック・ラドフォードや、他のスケーターたちも私達をとても助けてくれたの。来月からまたその全員でトレーニングするのをとても楽しみにしているわ。あのリンクのポジティブなエネルギーは伝染するのよ。ブルーノとリチャードが私たちと一緒に働いてくれることをとても光栄に思っているし、フランカ・ビアンコーニと一緒に、彼らも私たちのチームの一員としていてくれることを嬉しく思っているわ。


Icenetwork: ペアスケートでは何を達成したいですか?

Marchei: 現時点での目標はナショナルズに出場して、ヨーロッパ選手権と世界選手権の出場権を取りたいと思ってるわ。その為に、私達の準備が整っていたら10月あたりの大会に出場して、ミニマムスコアをクリアしなければならないわね。若しくはナショナルズの後にでも。私達は4年計画を立てたのよ。そうでなければ、この新しい冒険に踏み出しては行かなかったと思うわ。物事がうまく進むには時間がかかることだけれど、でも私たちは忍耐強いもの。大丈夫よ。


Icenetwork: ペアスケートで生じてくる連帯責任にはどのように対処しているのですか?

Marchei: 私もそれについては考えたの。シングルからペアへ転向する時の最大のギャップは、リンクの上でもう一人のスケーターに対処をするこということだから。私は自分に対して厳しいの。長い間ジェイソンとユカから受けたレッスンで最高だったことは、自分自身と折り合いをつけることだったわ。そして私がペアに挑戦することをジェイソンに告げた時に彼が言ったことも、まさにそれだったの。毎日が挑戦だけれど、でもオンドレイと私はリンクの上でも外でも同じアプローチをするのよ。この段階で一致しないことがあるのはとても大変なことだわ。でも私たち二人ともがハードワーカーで夢を追っていて、そして良き友人同士なの。


Icenetwork: 今シーズンのプログラムについて教えていただけますか?

Marchei: シングルでは、昨シーズンのプログラムを引き続き使うのだけど、SPは少しバージョンアップさせるつもりよ。ヴォーカル入りの“Torna a Surriento”にするの。FSは私の宝物。去年の夏にそれに取り組み始めた最初の瞬間から、ずっとずっとこのFSが大好きなの。“Nyah”は私の一部。だから離れることはまだ出来ないわね。

ペアでは、オンドレイと私はSPに“Malagueña”を選んだの。私達のヘッドコーチのフランカ・ビアンコーニはこの選択に興奮していたわ。振付はマッシモ・スカリよ。カメラの注目を一人で集めることに慣れていた後で、誰か他の人と一緒にリンクに立つのは簡単なことではないけれど、でも時間が経つにつれてそれにも慣れてきているわ。それにオンドレイは物事をやりやすく、私が快適なようにしてくれるの。


Icenetwork: 出場予定の大会は?

Marchei: シングルとペアの両方やっていくのは、とても大変なことになるのは解ってるの。時には決断も下さなければならなくなるはずよ。最良の決定をする為にはじっくり考えるわ。現時点では、エントリーされたGPF(スケートカナダとロステレコム)に出場する予定だけど、先のことは誰にも解らないわね。