おはようございます。
森信三、修身教授録より ~1~
まず最初に、この本は小学校教師を養成する師範学校での講義録です。

師弟関係には何ら利害の打算というものがない。
叱ったり叱られたりしても、利害打算の観念を離れている。
なので叱るべき時にはよく叱ることができ、また褒めるにも心からできる。
叱られる方ももっともとして受け取れ、褒められると心から嬉しく感じる。

自己に対して必然的に与えられた事柄(諸君を教えるということ)は、好悪の感情を交えないで素直にこれを受け入れ、さらに一歩をすすめて、これを「天命」として謹んでお受けすることが大切だと思う。
かくして初めてわれわれは、真に絶対的態度に立つことができると思う。
そして共に学ぶことを、真に自己を生かすゆえんとして、その最善を尽くすべきだと思う。

大よそわが身に降りかかる事柄は、すべてこれを「天命」として慎んでお受けすることが、われわれにとっては最善の人生態度と思う。
この根本の一点に心の腰のすわらない間は、人間も真に確立したとは言えないと思う。

言いかえれば、われわれはすべてわが身に連なるもろもろの因縁をかたじけなく思って、これをおろそかにしてはならない。

お互いに自分を投げ出し合って、共にこの一年間を学ばねばならぬと思う。