おはようございます。
和英対照仏教聖典より、~14~

怨(うら)みは怨みによって鎮まらない。怨みを忘れて、はじめて怨みは鎮まる。

屋根のふき方の悪い家に、雨が漏るように、よく修めていない心に、貪(むさぼ)りのおもいがさしこむ。

愚かな人は怠り、智慧(ちえ)ある人は努め励む。

心は抑え難く、軽くたち騒いでととのえ難い。この心をととのえてこそ、安らかさが得られる。
怨みを抱く人のなすことよりも、かたきのなす悪よりも、この心は、人に悪事をなす。

悪い行いもすぐにはその報いを示さないが、灰に覆われた火のように、隠れて燃えつつ、その人に従う。

過ちを示し、悪を責め、足らないところを責める人には、宝のありかを示す人のように、仰ぎ仕えなければならない。

堅い岩が風に揺るがないように、賢い人はそしられてもほめられても心を動かさない。

おのれに勝つのは、戦場で千万の敵に勝つよりもすぐれた勝利である。

おのれこそはおのれの主(あるじ)、おのれこそはおのれの頼りである。だから、何よりもまずおのれを抑えなければならない。

五官(眼、耳、鼻、舌、身)の戸口をかたく守って、心静かな人が、道を修める人である。

執着を離れると、ものの姿をよく知ることができる。

過ぎ去った日のことは悔いず、まだこない未来にはあこがれず、とりこし苦労をせず、現在を大切にふみしめてゆけば、身も心も健やかになる。
過去は追ってはならない、未来は待ってはならない。ただ現在の一瞬だけを、強く生きねばならない。

汚れのない人の生活は滅びず、欲に打ち勝ってこそ、自由の人といわれる。