生き物と
Tシャツが汗みどろになるということはなかった。
1時間足らずの散歩だが、
暑い日には、上りの間に汗だくになる。
国道を渡ったところで、少女の連れた犬にまつわりつかれた。
少女はまったくコントロールしようとしない。
みかん畑に上がる道で、
何とか離れてくれた。
みかんは、摘果前なのだろう、沢山小ぶりの実が付いていた。
午前中はすっかり霞んでいた初島が、
見えるようになっていた。
鳥のさえずりが聞こえ、
セミも何種類か聞き分けることが出来た。
数は少な目かも知れない。
蝶も群れ飛んでいた。
屋上には、小さなきのこが出ていた。
赤いもの、茶色のもの、黄色。
小さ過ぎて、可食としても、食べられないようなものばかりだ。
一日、
いろいろな生き物と接していた。
小さくても、けなげに生きていた。
今を精一杯生きていた。
自分を主張していた。