092 枯葉にまつわる話
今年は、すでに十分な台風がやってきて
とんでもない雨も降らしていますから
穏やかに紅葉が楽しめる秋になって欲しいです。
秋と言えば「枯葉」の季節。
秋のパーティーで
シャンソンの名曲「枯葉」をかけて
スローを楽しむ人も多いことでしょう。
そこで今回の「ちょこっと講座」は
すこし違う角度から書いてみようと思います。
下はYouTubeで検索した
ユーゴ・ストラッサーの演奏です。
いつ削除されても不思議じゃないので
画像だけは残るようにした上で
リンクを貼りますね。
ユーゴ・ストラッサーは
オリバー(オリバー・ヴェッセル・テルホーン)の本
“Music Was My First Love”に寄せた献辞の中で
次のように語っています。
私のオーケストラが成功してきた陰には、ADTV(ドイツ・ソシアルダンス教師協会)と競技ダンスとの大きな繋がりがあったからと言えましょう。
幸運なことに私は、何十年にもわたり国内、そして国際競技会で数えきれないほどの演奏をする機会を得ました。
同時に、最も有名なダンサーたちと知り合うことができ、彼らの素晴らしいパフォーマンスに惚れ惚れしたものです。
オリバーは「枯葉」の曲でフォックストロットを踊るのが大好きでした。
私のクラリネットのソロ部分では、とても繊細、かつ、誰も真似できない程の上品さで踊っていましたので、それが私たちを一層親密にしました。
そして、オリバー自身は本文の中で、
そうなった経過を
次のように書いています。
もし、あなたがこの先を読まれたら
この秋
「枯葉」の曲で踊るときには
きっと、オリバーの
この話を思い出すことでしょう。 (まさき)
* * *
私は数名の先生やコーチャーからダンスに対する物の見方を教わりました。
どなたも特別なものを持っていたので、一人一人から教わったことを全部合わせると、それは、ダンスはどうあるべきかという一つの完全な絵となって私の前に現れました。
そうした中の一人、あの偉大なカール・ブロイアーが、こんなアドバイスをくれました。
「大きな競技会の前に、自分が出場する競技会でどのオーケストラ演奏するかを事前に調べておきなさい」
以来、私はずっとそのアドバイスを守りました。
どの楽団が演奏するのか、そして、その楽団のリーダーとコンタクトするようにしたのです。
これは、昔も今もルール違反ではありません。
それにしても、こうした事をやろうとする人は誰ひとりいませんでした。
もしかすると、殆どのダンサーの考えの中で、音楽は大きな比重を占めていないのかも知れません。
しかしアドバイスを守った私は、だんだん多くの、そして、より頻繁にバンドリーダーたちと会う機会が増え、私はそれぞれのバンドのレパートリーの中から自分の好みを選曲し、テンポに充分注意するようにしたのです。
一例を挙げるとすると、あの有名なユーゴ・ストラッサーです。
1983年ジャーマン・クローズド・ボールルーム選手権が開かれる1週間前のことでした。
私はユーゴ・ストラッサーにお会いし、選手権の決勝で演奏する曲目選定は済んでいるのか尋ねました。
すると彼は、まだ決めていないが、私に何が良いかと聞いてきたのです。
当然、私は自分の好きな曲とテンポを記した紙を持って行っていましたので、それを見せると、彼はそれを受け取りました。
そして1週間後、彼は私が紙に書いたそのままを演奏してくれたのでした。
私のフォックストロットの最優先曲目は、作曲ジョゼフ・コズマ、編曲ハンス・エーアリンガーの「枯葉(Autumn Leaves/ Der Schleier fiel)でした。
それからというもの、信じられないでしょうが、ユーゴ・ストラッサーの楽団は、競技会であれショーであれ、私が現われる所では必ずフォックストロットの枯葉を演奏してくれたのでした。
しかも、私の好きな特別なテンポで・・・。
オリバーが私たちに遺してくれた
「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」
(神元誠・久子翻訳/白夜書房)には
素晴らしいダンスのヒントが詰まっています。