薬くすりクスリ


5月末にハワイ島に行った時、体調は万全だったのです。


朝は5時に起きて、誰もいないプールサイドやビーチを散歩し

日中はジャングルに行ったり山を登ったり

夜はビールやワイン、時にはウィスキーを飲んで10時には就寝。


そんな8日間のまん中あたりに、ふともらしたひと言が今にして思えば

今回の入院に至る体調異変の兆しだったのかもしれません。


「人差し指の先が死んでる気がする」


右手人差し指の爪と指腹が離れたようになって、裂けて痛い。

指腹の一番上部分の皮膚が硬くなって、かかとの皮みたいになってる。

お風呂上りにはふにゃふにゃになって、爪で押しても感覚がない。


「テープでも貼っておけば」

夫にそう言われたけれど、なにしろサハラは裸族だから

指にテープ一枚貼るのも嫌で、そのままにしておいたのでした。


+ + +


7月中旬から背中と両腕に湿疹が出はじめた。

でも、あまり気にしなかった。


8月初旬、食事をするとなぜだかクタクタになってしまい椅子に座っていられなくなり、「ちょっとだけ」と横になると、朝になっていた…ということが何日か続いた。けれど、翌朝には元気になっていて、ナニゴトもなかったように動けるので気にしなかった。いや、実はとても気にしてたのだけど、「こんなことぐらいで…」とか、「涼しくなれば大丈夫」とか、自分の不調に知らんぷりを続けた。


9月初旬の月曜日、体調不良の原因が婦人科系にあるのではないかと思い、婦人科の診察を受けた。年に一度、誕生月に受けている健康診断を今年は受けそびれてしまったこともあり、ガン検診も受けた。


その診察と検診を受けた婦人科で2種類の薬を処方され、それを飲んで3日目から体がザワザワし始めた。まずい…、そう思って飲むのをやめた。水曜日、婦人科に電話したら休診だった。その日から首に赤みが出てきた。


木曜日、首の赤みは顔に広がり、腕には湿疹が出始めた。電話が通じた婦人科の先生にそのことを伝えると、「薬が合わなかったんですね、もう飲むのをやめてください。ガン検診の結果は来週の月曜日に出ますので、その時にその湿疹の様子を見せてください」と言われたけれど、次の月曜日、その婦人科に行くことはなかった。


なぜなら、金曜日から顔が腫れはじめ、土曜日には信じられないくらい炎症をおこし腫れ上がってしまったから。背中も両腕も炎症をおこして真っ赤になっていた。たった3錠だけ飲んだだけなのに、こんなに顔が腫れるなんて…。


夜になって、アトピーでお世話になった野村先生に電話した。

「薬疹だなぁ。明日来れるかぁ。とにかく来なさい」


日曜日の朝起きるとますます顔が腫れていて、歩くのもつらいほど朦朧としていた。夫の運転で片道2時間弱。保冷材と氷で顔を冷やしながらも、ほとんど意識がなかった。


前夜の電話で婦人科で処方された薬のことを伝えてあったので、サハラの腫れた顔を見るなり野村先生は

「ステロイド剤を飲まなきゃだめだ」

そう言った。


はっ?ステロイド剤?しかも飲む?

「嫌です!」


「嫌なのは分かるけど、そんなに顔が腫れたってことは薬疹もそうだけどね、同時に肝臓機能障害、腎臓機能障害も心配だからね、血液検査で調べなきゃならないよ。とにかく今はステロイド剤を飲まなきゃならないよ」


「……。分かりました」


ステロイド剤を飲んで3日経った頃、顔の腫れはひいた。

最初の3日間は2錠、それから4日間は1錠。

プラス、抗アレルギー剤と抗ヒスタミン剤を飲んだ

野村先生は毎晩電話をくれてサポートしてくれた。


それで今回の騒動は終わりだと思ってた。



翌週の日曜日(野村メディカルクリニック は日曜も診察)、良くなった状態を野村先生に見せに行った。

「ありゃ、ヘルペスが出たな。免疫力が落ちてるんだな~。まぁ、これは抗生物質で良くなるから。血液検査の結果、腎臓も肝臓も問題なかったし、心配しないで、もう大丈夫だから」


なのに…。

ヘルペス治療のために飲んだ抗生物質(バルトレックス)が合わなかったのかどうか、またもやその晩から具合が悪くなった。また顔が腫れ出した…。一晩中眠れないまま、朝を待って野村先生に電話をすると「とにかく来院するように」とのこと。


それが9月18日の祝日。ウチから野村先生のところに行くには、第三京浜に乗り港北インターで降りるのだけど、その日は連休の最終日であり、さらに9月15日にオープンした港北イケア 渋滞が起きていた。再び顔が腫れたショックで思わず「イケアのばか」と思ってしまう。いや、イケアはなにも悪くはないのだけど。ふだん第三京浜の港北インターって、こんなに混んでいないので、つい八つ当たり…。


で、またステロイド剤が出た。

最初の3日間は2錠、それから4日間は1錠。

それで治るのだと思ってた。


けれど、その日から微熱が出て3日目の夜には39.4度になった。

野村先生が心配して何度も電話をくれた。

高熱が出た時点で、夜間救急センターに行った方がいいと、今までの診察と治療の過程をまとめてファクシミリで送ってくれた。それが紹介状になるからと言って。


そうして入院することになった。


あらためてする、検査のための再入院は、ヘルペス治療のために飲んだ抗生物質(バルトレックス)が顔を腫らした原因なのか、それを調べるためのもの。バルトレックスの副作用でそのような症状が出るケースは少ないらしい。サハラは過去に2度ヘルペスを患った経験があり、当時はゾビラックス(抗生物質)を飲んで治った。今もゾビラックスはあるけれど、その新型というか進化したのが今回飲んだバルトレックスとのこと。


サハラの場合、今後も体調を崩したり免疫力が落ちた場合、再びヘルペスになる可能性は高いらしく、その時、この進化した新しい抗生物質であるバルトレックスが飲めないと困る…とのことで、検査をしておいた方がいいと言われている。


正直、今の治療と検査のための再入院に対し、すべてOKだとは思っておらず、セカンドオピニオンも考えている。

今日も長くなってしまったので、そのことに関しては、またあらためて。


+ + +


「薬はショートカットなんだから、安易に飲んじゃだめだよ」

首が赤くなり始めの、まさかこんなにオオゴトになるとは思ってなかった頃、友人からそう言われた。ほんとにそうだね。毒にも薬にもなるね、ほんと。


今思うと、5月末に感じた右手人差し指の異変…。

あれは体からのサインだった。

それを見逃した、鈍い自分。

反省至極。