毎日散歩に連れ出して、牛太郎、ようよう平助兄さんとならお散歩できるようになってきた。ただ、まだ階段が降りれないのである。
いままで4匹、コーギーを飼ってきたが、みな、最初は一様に階段は上れるが降りれないのである。ある日、ひょん、と、降りられるようになる。
ところで牛太郎の立たない耳。
兄弟の写真を見たときには、家族で「お兄ちゃんたちはみんなかっこいいのに……」と、(いつの間にか、家族の間では牛太郎は末っ子ということに……)なんだか気の毒になってしまった。とうの牛太郎は、きょとんとのほほんとしているのだが。道を行けば「ブルテリアですか?」「ボーダーコリーですか?」「なんていう犬ですか?」と、正体不明な犬扱い。
そんなとき、いきつけのペットショップで生き物の餌など購入しているときに、牛太郎の耳の話になり、なかなか立たないということから、店長さんが、倉庫の奥から「これ、売れ残りでよければ差し上げますので、ためしに使ってみてください」と、黄ばんだ箱を差し出した。「イヤーヘルパー」という、犬の耳の矯正セットであった。
もらったからにはものは試しと、一週間だけということで、試しに牛太郎の耳に使ってみた。
上の写真は、その時の牛太郎である。
牛太郎は、べつに気にするふうもなくそれをつけていた。
一週間後、テープを取ってみると、おお!見事に耳が立っているではないか!
「立った、立った、牛太郎が立った!」
家族は、アルプスの少女ハイジのように、牛太郎を囲んで踊り回った。
しかし……あいかわらずピリッしない感じ。
しかも、立っていたはずの反対側の耳が、なんだかぺろぺろにぐんなりしてきている。
ううむ
もういいや。
この、とぼけた魅力が牛太郎である、ということで。