立った、立った、クララが。。。牛太郎が | 渡辺やよいの楽園

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小説家であり漫画家の渡辺やよい。
小説とエッセイを書き、レディコミを描き、母であり、妻であり、社長でもある大忙しの著者の日常を描いた身辺雑記をお楽しみください。

さんぽ
 
 毎日散歩に連れ出して、牛太郎、ようよう平助兄さんとならお散歩できるようになってきた。ただ、まだ階段が降りれないのである。
いままで4匹、コーギーを飼ってきたが、みな、最初は一様に階段は上れるが降りれないのである。ある日、ひょん、と、降りられるようになる。
 ところで牛太郎の立たない耳。
 兄弟の写真を見たときには、家族で「お兄ちゃんたちはみんなかっこいいのに……」と、(いつの間にか、家族の間では牛太郎は末っ子ということに……)なんだか気の毒になってしまった。とうの牛太郎は、きょとんとのほほんとしているのだが。道を行けば「ブルテリアですか?」「ボーダーコリーですか?」「なんていう犬ですか?」と、正体不明な犬扱い。
 そんなとき、いきつけのペットショップで生き物の餌など購入しているときに、牛太郎の耳の話になり、なかなか立たないということから、店長さんが、倉庫の奥から「これ、売れ残りでよければ差し上げますので、ためしに使ってみてください」と、黄ばんだ箱を差し出した。「イヤーヘルパー」という、犬の耳の矯正セットであった。
  もらったからにはものは試しと、一週間だけということで、試しに牛太郎の耳に使ってみた。
  上の写真は、その時の牛太郎である。
  牛太郎は、べつに気にするふうもなくそれをつけていた。
  一週間後、テープを取ってみると、おお!見事に耳が立っているではないか!
耳
「立った、立った、牛太郎が立った!」
 家族は、アルプスの少女ハイジのように、牛太郎を囲んで踊り回った。
 しかし……あいかわらずピリッしない感じ。
 しかも、立っていたはずの反対側の耳が、なんだかぺろぺろにぐんなりしてきている。
 ううむ
 もういいや。
 この、とぼけた魅力が牛太郎である、ということで。
いねむり
いねむり2