8月31日、大阪府社会福祉会館で開催された地区委員長の研修会に我が民児協からわたしを含めて3名が出席しました。
会場は、谷町7丁目にある社会福祉会館4階。府内の民児協から180余名が集まりました。政令指定都市の大阪市、堺市をのぞく各市の民児協の地区委員長の方々です。




[caption id="" align="alignnone" width="410" caption="縦長のこんな会場でした。"]縦長のこんな会場でした。[/caption]

プログラムは3本立てで、まず、オリエンテーションに続いて、DVD「つながるWA!―民生委員・児童委員のあゆみち活動」を見ました。
天井が低く、縦長の部屋でしたので、後部の座席にいたわたしなどは、DVDの画面が小さく、低くて見にくかったのは残念です。このDVDは、以前に市民児協の会合で拝見したものでした。

2本目は、松原市民児協の妻屋慶子さんの実践報告「地区委員会の取り組みについて」でした。これは同市三宅地区で展開されている「子育て支援事業(「三宅っ子フェスタ」「キッズカーニバル」「プラバンづくり」「ちびっこひろば」)と高齢者支援事業(「一人暮らし高齢者を支える活動」として高齢者世帯の調査、「一人暮らしの高齢者の集い「ふれあい広場」の開催などを具体的に紹介されて、他団体との協力体制など今後の課題についても触れられました。

午前中はここまで。お弁当とお茶が配布されて、会場で昼食をいただきました。お馴染み「味走・田乃膳」の美味しいお弁当でした。

最後は、立命館大学の津止(つどめ)正敏教授の「地区委員会の運営と役割について―地域を「仲介」する力―」と題する講演でした。これはおもしろかった!

まず、読売新聞の記事を引用して「民生委員鈴木さんのある一週間」を紹介され、その制度の成り立ちを4つのエピソード(岡山県の笠井信一知事の「済生顧問設置規程」、大阪府の林市蔵知事が「新聞売りの母子」の姿を見たところからはじまったといわれる「方面委員」制度、富山県魚津の米騒動、長野県上田市ではじまった「家庭養護婦派遣事業」)を通して語られました。

次に、現在の民児委の性格を①自主性、②奉仕性、③地域性と特徴づけ、「7つの機能<社会調査、相談、情報提供、連絡通報、調整、生活支援、意見具申>と3つの活動原則<住民性、継続性、包括・総合性」を説明されました。
ところが、近年地区委員会の活動基盤である地域における暮らしの「型」に大きな地殻変動が起こっており、すなわち核家族化から単身者世帯へと急速に推移している点を、各種の実態調査から指摘されました。
そうした「型」の変化は、「無縁社会」へと大きくシフトしており、これまで見られなかった単身者向けのサービスが商業レベルで動きだしている具体例を紹介されました。曰く、「話相手サービス」(基本料〈45分〉4千円、10分千円、4回1万5千円、8回2万8千円、月20万円)、「毎日2分のもしもしサービス」、「買い物難民」、「コンビニの主役は若者から中高年層へ」、「ベビーシッター・時給800円以上、シルバーシッター・時給千円以上」「お墓のおそうじ」サービスなどなど。

ネットでこれらを検索してみました。以下のようです。

話相手サービス
http://s.luna.tv/search.aspx?q=%e8%a9%b1%e7%9b%b8%e6%89%8b%e3%82%b5%e3%83%bc%e3%83%93%e3%82%b9&d=&s=0&gl=jp&hl=ja&client=lunascape&ptn=e31f722c-2b76-638a-92a5-709b0cb3a160

もしもしサービス
http://s.luna.tv/search.aspx?q=%e3%82%82%e3%81%97%e3%82%82%e3%81%97%e3%82%b5%e3%83%bc%e3%83%93%e3%82%b9&d=&s=0&gl=jp&hl=ja&client=lunascape&ptn=e31f722c-2b76-638a-92a5-709b0cb3a160

買い物難民
http://s.luna.tv/search.aspx?q=%e8%b2%b7%e3%81%84%e7%89%a9%e9%9b%a3%e6%b0%91&d=&s=0&gl=jp&hl=ja&client=lunascape&ptn=e31f722c-2b76-638a-92a5-709b0cb3a160

読売新聞の連載「買い物難民」参照。

墓掃除をネットで検索してみるといっぱい出てきます。
http://s.luna.tv/search.aspx?client=lunascape&s=0&gl=jp&hl=ja&q=%E3%81%8A%E5%A2%93%E3%81%AE%E3%81%8A%E3%81%9D%E3%81%86%E3%81%98
シルバーシッター こんな言葉があるんですね。同じく検索したら、
http://s.luna.tv/search.aspx?q=%e3%82%b7%e3%83%ab%e3%83%90%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%83%e3%82%bf%e3%83%bc&d=&s=0&gl=jp&hl=ja&client=lunascape&ptn=e31f722c-2b76-638a-92a5-709b0cb3a160

一人暮らしの高齢者、要介護の単身高齢者が、お互いに助け合って支え合って生きていく「新しい連帯」「顔と顔が見える連帯」が今求められているのではないか。そこに民児委地区委員会の活動モデルを見出すことができるのではないか、という提案だったように思います。
その具体例として、マンションの近隣付き合い支援サービス“かけはし”など、「出来る人が出来る事を出来る時に」のスローガンのもとに新しい暮らしのモデルを提示、「支えあう、たすけあう」という人間社会のありようの起源を、求めに応じて「助ける」チンパンジーの姿や、河合雅雄『子どもと自然』(岩波新書)に述べられているサルの生態研究に求められました。「子ども」「教育」「家族」といった人間関係を、求めに応じて「分ち合う」行動原理から「求められていなくても」「分ち合う」という一歩進んだ人間らしい「協力行動」「相互依存性」の社会が今のわたしたちの、現在の社会でないのか。そうした「分ち合い」を「当然視し埋め込んだ社会・経済システムや生き方の創造課題」ととらえて直して、対応していくのが、これからのわたしたちの進む道ではないのかと、提言されました。

久々にじっくり骨のある話が聞けて、という印象です。たいへん充実した時間でした。こうした提言を、日ごろの民児委の活動にとどまらず、常日頃の自身のありようにも活かせるようしたいものと、痛感した一日でした。