FAQ2: ギリギリ野郎 | 早稲田ドクター日記(旧早稲田MBA日記) ~男芸者のアカデミズムへの挑戦~

早稲田ドクター日記(旧早稲田MBA日記) ~男芸者のアカデミズムへの挑戦~

現在、総合商社で働きながら、アカデミズムへの挑戦のため、早稲田にてMBAを取得後、2009年春より早稲田大学商学研究科博士課程に進学。経営戦略、新市場創造型ビジネス、イノベーション論あたりが研究領域。実践・研究・教育の3つが人生の柱。

続いて、次の質問です。やや具体的な話になってしまいますが、ギリギリ野郎の記録として、書き残しておきます。



Q3:呑んだくれていたのに、いつ準備していたのか?

この質問が一番、多かった。。。


新年会が7,8回あったけど、そんな呑んだくれてないと思うんですが・・・。え、それって呑んだくれているだろって?


呑んだくれていただけじゃないことを証明するべく、ちょっと詳しく書いてみたいと思います。



ドクター準備を行なうにあたり、修士論文を提出して再起動してから、実質的に準備期間は3週間しかありませんでした。


まず出願するだけでも、かなり大変で、出願まで3日程度しかなかったので、深夜 まで提出用の論文を書き直し、さらに搾り出すようにして研究計画書を書きました。



しかも出願日の早朝に論文データが全て消える と言う恐ろしい危機に見舞われています。

この時は、深夜、部屋で発狂しました。三田署、いや高輪署警察が来なくて良かったです・・・。





次が最大の難関である、英語の筆記試験対策


当初、初見の英文を読んだ瞬間、すさまじく英語力が低下しているのを知って愕然とし、本当に涙目になりました。大学受験時代の感覚で言うと、偏差値60ぐ らいのレベルに落ちていたんじゃないかな。



情けない話、一文一文を精読して主語、述語など構文を取って、それから訳語を考えると言うリハビリ訓練のような ことをしないと、とてもハイレベルな博士課程の英文を読めないところまで落ちていました。



この英語力じゃ、さすがに今回は間に合わないかなと、ちょっと諦めかけた気持ちも芽生えそ うでした。心の奥底でも、本当は半年ぐらい時間を置いて少し休養して、しっかり準備して9月入学を目指そうかと言う気持ちもあったぐらいです。



しかし、その甘えを吹き飛ばしてくれたのが、最初、修士課程在学者は受験料が無料だと聞いて気軽に受験するつもりだったのが、ナント、社会人大学院生にはそれが適用されず3万円もしたんです!!!!


これ、レッドブル109本相当ですよ!


と力説して書いている自分が、とても小さく思えます・・・。


こうして気軽に受けるわけにはいかなくなりました。



さらに、先生に博士課程を相談した際、「ウチのゼミで、社会人で修士からストレートに入った人はいません。普通、受かりませんから、とりあえず2、3回の受験は覚悟しておいてください」と言われ たのですが、私は「前例破るの大好き!」な天邪鬼な性格なので、むしろこれで火がついてしまいました。



そして、人生で滅多に使ったことの無い”本気(マジ)”を出してみることにしました。



マジになった私は、詳細は省きますが、5年分の博士課程の過去の入試問題全てに目を通し、出題傾向・語彙レベル・解答パターンを2日かけて徹底的に分析しました。



早稲田MBA日記  ~アカデミズムへの挑戦~-doctor200902173
↑ 出題テーマ、出典の時期などを徹底分析し、”傾向と対策”を探る



分析を通じて、ドクター試験は3問中2問が選択問題であり、この取捨がかなり重要なことがわかりまして。これらの緻密な過去問題の分析の結果、
不得意な会計分野は捨てる、空所補充問題を選択する、(内容がわからなくても)持論を展開できる論述が多い問題で勝負する

などなど、一連の極めてテクニカルな最も効率的と思われる戦略パッケージを作り上げました。



これらの戦略が決まって、やっと勉強を始めます



この戦略に最も合致する”トレーニング方法”として私が選んだのは、2008年10月―11月の「Economist 」の中でビジネストピックの英文をひたすら読むと言う荒行でした。



しかし天下のEconomist、さすが本当に難しかった・・・。。



でも、本番よりハイレベルな英文を読む高地トレーニングでもしないと、とても2,3週間では間に合いません。知恵熱が出そうでしたが、踏ん張りました。


この荒行いや苦行は深夜にまでおよび 、途中、仮眠が必要 だったり時間を勘違いしたり と完全に体内時計が壊れて行き、自分がおかしくなって行きます・・・。



早稲田MBA日記  ~アカデミズムへの挑戦~-doctor200902172
↑並べてみると、2週間でもけっこう量をこなしてます。




そうそう、卒業旅行で行った熱海

今だから告白すると、皆さんが新幹線で行く中、「鈍行の旅が好き!」「特急料金がもったいない!」とか言って、一人で鈍行列車を使ったのですが、これも本当は勉強時間が欲しかったからなのです(皆で行くと絶対、車内から呑んでしまうと思った・・・)。


すみません。


それにしても、熱海の温泉に沈んだ翌朝の帰りの車中、二日酔いでEconomistを読んだ時は、本当に気持ち悪かった・・・。


真鶴あたりで早くも失神しそうでした。。





まあ、こんな感じの準備をして、さらに2月に入って昨年に出題された過去の英文を読んでみると、語彙力は依然として不足しつつも、何とか読めるレベルには仕上がってきました。



そして、試験当日。試験開始してからは、事前に何度もシュミレーションした通り、戦略に従って、最初に問題文のタイトルと出典を見て解答用紙から問題パターンを確認し、しっかり想定通り出題されていた会計を捨て、論述メインと空所補充の問題で勝負をかけます。



しかし!ここで想定外だったのが、、何とGoogleとかITシステムなど私の専門領域に近いテーマの英文が出ているじゃないですか。


語彙力が圧倒的に不足していた私にとって、これはまさしく神風以外のなにものでもありませんでした。
この時ばかりは、「東郷神社 に初詣に行ってといて、本当に良かった!」と思いました。


試験が終わった時は、正直、「かなり神風の吹いてくれた今回でダメだったら、次回の試験で同じ分野は出ないだろうし、かなり苦しいな・・・」と逆にプレッシャーを感じたぐらい幸運に恵まれました。




筆記試験の翌日は、4名の先生方との口述試験。これも禅問答のようでつらかった。試験後はエクセルシオールカフェ で呆然としてました。



そうそう、留年の夢を見たのは 、絶対にこの口述試験と先の英語の筆記試験の影響です。








Q4:本当にいつもギリギリで何とかなってますよね?


自分でもギリギリの爆発力をいつも安定的に使えたら、とてもすごいコになれるんじゃないかと思うのですが、どうしてもそれができません。


『なんでも「あとでやる」としてしまう人が知るべき10個の真実 』 を読んで、ちょっと落ち込んだり、反省したけど、でもちっとも直りません・・・。



と、かなり直前のギリギリの準備のようなことも書いていましたが、一方で、何を隠そう実は去年の5月から1.5ヶ月に一回ぐらいの不定期ペースで、今回、めでたく同時合格をはたしたゼミ長 と二人で勉強会をやっていました。


フフフ、この辺、抜かりないのですよ。。。



この勉強会では、私が気合を入れて早い時期から語彙力を増やしたり英文の多読をしなかったために試験用の英語力向上にはすぐにつながりませんでしたが、何よりドクター試験で何が求められているのか、もっと言えばドクターや研究の世界がどう言うものなのかを、早い時期から深く知ることができました。



何度も本気でドクターと言う未知の世界に飛び込むのか自問したり、そして英語試験でもドクターのレベルと言うのを先に知れたので、これらの底力があってこそ、超短期トレーニング(=ギリギリ)が結果、通用したんだと思います。




私が大学時代ぐらいだったかに知って驚いたんですが、マリナーズのイチローって大リーグに行く数年前から、日本での練習で既にメジャーリーグのボールを使って練習をしていたと聞きます。周囲はメジャー行きが決まってから、ああだこうだと評論をしてましたが、本人ははるか前から当然のことのように準備していたわけです。



この話にボクはすごく感銘を受けて、基本的には常に何事もギリギリな私ではありますが、一方で早めの抜かりない準備への着手は徹底するようになりました。





よく「そんな前から手をつけて、でもそれでやっぱり止めるってなったら、時間とお金が無駄になるじゃないですか?」とか言われることもあるけど、そんなもん、人生の消費税みたいなもので、消費税をケチってたら絶対に実物は手に入らないと、ボクは思うんですけど、どうなんでしょう?






以上、ギリギリ野郎からの回答でした!





ちなみに、独身貴族の撃墜野郎&ギリギリ野郎と比べて、連日深夜までお仕事に邁進され、さらにご家族へのサービスも欠かさず、それでも今回、合格された根来ゼミ同期のゼミ長は、本当に本当にすごいと思います。