ラッセル・ブランド  チュニジアの大虐殺と政府の偽善
Tunisia Minute Of Silence - Total Bullshit: Russell Brand The Trews (E350)  



先日のチュニジアのビーチでの大虐殺を追悼するということで、一分間の追悼の時間がありましたが、あれは何か意味があるのでしょうか?それとも、単なる政策に関連した空虚で無意味なジェスチャーに過ぎないのでしょうか?

私たちの政府は相変わらず兵器を世界中に売りつけ、その結果として自国の市民の命で支払うことになっているわけです。


デイビッドキャメロン首相の演説の動画:
「昨日のチュニジア、フランスで起こった残虐なテロリスト攻撃は、邪悪なテロリストの存在を世界中に暴力的で悲劇的な方法で思い出させることになりました」


Rブランド:
こちらに、非常に素晴らしいコメントをいただきました。トム・マッセンさんからです。


コメント:
私は今日、6月27日土曜日にイギリスに帰ってきました。それまではチュニジアに滞在し、襲撃のあった時に問題のホテルにいました。

すべてのメディアは襲撃を行った過激派についてばかりしか報道していませんが、ホテルの従業員(本物のイスラム教徒)の信じられないような行動についてはまったく伝えられていません。

従業員達は、滞在客を落ち着かせ、情報を提供しただけでなく、通常と同じように仕事をし、さらになんと、頭のおかしいガンマンが襲ってきた場合に備えて、ホテルの入り口に無防備なまま立ってガードをしてくれていたのです。

もし彼らのような本物のヒーローがいなければ、もっと多数の死者がでていたでしょう。

【関連記事】「滞在客を殺すなら、俺たちを先に殺してからにしろ」チュニジアのテロ襲撃で、イスラム教徒の地元の男性たちが観光客を守ろうと人間の盾になっていた(DailyMail


(画像:SKY NEWSより。写真の中央黒い服の人間がテロ襲撃の犯人で、背後の男性たちが人間の盾になっていた地元のイスラム教徒)




Rブランド

お気づきでしょうか?(このような攻撃のあった場合は)いつも宗教的背景が異常なまでに強調されています。

しかしマッセンさんが教えてくれた通り、素手で銃撃から、ホリデーに訪れていた西洋人中心の滞在客を守ろうとしたのもイスラム教徒でした。問題はそれ程単純ではないようです。

ではキャメロンがこの問題について語る時に、何がアジェンダになっているのでしょう?

首相が自らの目的を果たすために、彼が開口一番話したのはこのようなものでした。

(キャメロン首相の動画)
「彼らは私たちに戦争を売りつけたのです」


(Rブランド)
「彼ら」って一体、誰なんですか?過去10年のテロリスト攻撃をまとめているような感じです。

(キャメロン首相の動画)
「私たちはこのようなテロリスト攻撃は望んでいません」

(Rブランド)
もちろん、誰もテロリスト攻撃なんて好きなわけないでしょう(笑)!

キャメロン首相は過去10年のテロリスト攻撃について話していますが、私たちの国イギリスは、過去10年の間に外国で軍事活動や兵器の売買を続けており、それがこのような結果を生み出しているのです。


私たちが公に「敵国」としてみなしている23カ国に、未だに兵器を売り続けています。

イギリスの外交政策が本当に民主主義に基づいたものであるとすれば、イギリスはなぜ弾圧的な国家に兵器を売りつけているのでしょうか?



(以下略)

【コメント】

チュニジア襲撃の際に、イギリス人観光客の多いビーチであったという報道から嫌な予感がしていたのですが、実際これまではイスラム教に対してまだ理解のあった人間の一部でさえ、反イスラム教に変わっています。

しかしイスラム教徒のホテル従業員が観光客を守ろうとしたという話は、あまり大きく報道されることはありませんでした。

ラッセルブランドはアメリカのニュースなどについても、テロ攻撃の際には「イスラム教徒」によるものということが強調されている一方で、キリスト教過激派が行った最近の大量虐殺に関しては、「キリスト教の過激派が」とはほとんど表現されていないということも指摘しています。

イギリスでテレビの有名司会者ジミー・サベルが小児性癖の持ち主で、出演の子供などに手を出していたことが発覚してイギリスでは大きな議論を巻き起こしていましたが、その際にも「キリスト教徒が子供に手を出す!」とは一度も表現されていませんでした。


要はメディアはイスラム教徒全体が悪というイメージを植え付け、一般市民同士を分断して争い合わせ、戦争を可能にしたいだけなのだとしています。






チュニジア襲撃の犠牲者の友人がラッセル・ブランドと対面
Friend Of Tunisia Victims Confronts Russell Brand  



そしてラッセルブランド自身もこの動画の公開後、メディアから「ラッセルブランドが、チュニジアの犠牲者への一分間の黙祷が無意味だと発言!」といった煽り記事が出ていたのでしょう。

(日本でもよくある光景ですが、ある人間の発言の一部だけを取り上げて、悪人に仕立てあげる手段ですね)


下の動画は、チュニジアの襲撃で実際に犠牲になった方の友人が車の運転中にラッセルを見かけ、車内から彼を呼びつけた時の様子です。

動画のコメントには運転手の息子を名乗る人物が、この動画はやらせなどではないと力説しています。


彼は開口一番、「おいラッセル!チュニジアの黙祷がくだらないだって?私の友人がそこで亡くなったんだけど、それがくだらない?」と食って掛かっています。おそらく運転手の男性はラッセルの動画を見たわけではなく、そのようなラッセルに対して否定的な報道だけを見て鵜呑みにしていたのでしょう。

そこでラッセルは自己紹介と握手から始め、改めて自分の考えを運転手に説明しています。

つまり、イギリス政府は中近東の圧政的な国々に兵器を売りつけ、さらに軍事活動を展開しつつも、チュニジアでテロによって自国民が犠牲になったことには追悼しており、それでは言っていることとやっていることがまったく矛盾していて偽善的なだけだということです。


日本政府が、震災の被害にあっていまだに仮設住宅に暮らしている人間がいる中、原発の再開に躍起になったり、新国立競技場には莫大な予算をつぎ込み、その一方ではたとえば福島震災の追悼記念日に国会などで黙祷をしたとしたら、それと同じようなものでしょう。


それでも多くの人間はセンセーショナルな報道が好きなようで、テレビで仮想敵(イスラム教徒)のことを糾弾すれば、それを観ている人間も純粋にそれを信じ込んでしまい、そのような別の事実が客観的に見えなくなっているのかもしれません。メディアがほとんど伝えないというのもあるでしょう。

また、今回の事件で犠牲になったイギリス人観光客については写真つきで派手に報道されていましたが、イギリスが外国を武力によって攻撃し犠牲になった市民の様子が克明に報道されることもほとんどありません。


メディアのイスラム教徒批判の増加につれ、外国人排斥主義者が増加しているようです。実際に話をした人の中には本気で、「イスラム教徒がイギリスを攻めに来る!」と恐怖に駆られている人さえいました。

恐怖と憎悪感は、人間をコントロールするには最高の手段であることは世界共通のようです。



***

さらにイギリス国内(ロンドン)では、テロ攻撃に備えて特殊部隊SASを含む兵士や警察官1000人以上を動員し、擬似的なテロ攻撃に対応するための模擬訓練を行っています。(standard紙

イギリス国内の警備も、これでさらに強化できることになりました。イギリスも緊縮財政で警察への支出をさらに削減することが決定されていますが、ある警察官の話によれば、現在でもすでに本当に問題な犯罪者の対応にはあまり時間がかけれず、仕事は溜まっていく一方だそうです。その上、テロ警備もとなるとさらに凶悪な犯罪者が増えることでしょう。


このような「テロ攻撃」が起こるたびに「国内の防衛・警備」を強化ということで、国民全体に対する監視は強まり、警察国家、全体主義、排斥主義的傾向が高まっています。


しかし一部の国民の関心はその仮想敵に集まっており、国のそのような変化を疑問視しないばかりか、望ましいもので必要なものだとさえ考えていますし、国内でテロ行為よりも多くの人間が政策(緊縮財政など)が原因で亡くなっていてもそのような報道はないので、そういった内政上の問題に目がいかないようです。


日本政府は集団的自衛権を強行採決と再び独裁国家的な側面をみせていますが、外国の戦争に参加し、あるいは兵器を売りつけると当然のように「反応」が起こりますしその犠牲に遭うのはいつでも一般市民です。

イギリスで戦地から心や身体に大きな傷を負って帰った兵士たちが、まともに面倒もみてもらえずホームレスになっています。

アメリカでは国内の「テロ攻撃」によって亡くなった人の数は、国内で警察官に殺害された国民の数よりもはるかに少ないものだそうですが、警察官の凶暴さや恐ろしさを伝えようとすることはほとんどないようです。

日本のテレビや新聞などの報道は内容も視点も非常に似通ったものであり、報道に対する制約も非常に大きいようで、報道の自由度が世界的にもかなり低めであるのも頷けるほどです。


どうも日本が同じ道を辿り、さらなる全体主義に向かっているように思えて仕方がありません。