私の周りでは、「議員立法=議員が条例を作ってはいないのではないか」といった声を聞いたことが、ほぼありません。議員が条例を作ること、いや、よほどの人でない限り条例に対する関心はないものと思います。

個人的には、やはり議員・議会として条例を作り、区民にアピールしたい思いは大いにありますが、議会内の会派間の理解・協力や条文作成能力など、かなり高いハードルがあります。品川区では、平成19年「品川区文化芸術・スポーツのまちづくり条例」が議員立法として挙げられますが、1会派から原案が提出され、他の会派が賛同して成立したもので、議会全体で議論したものではありませんでした。(条例としては立派なものです)

片山善博元鳥取県知事は、条例は住民の権利を制限し、あるいは義務を課す必要がある場合に作るものだから、無理やりこしらえるのはやめた方がよく、無意味であるだけでなく住民にとって迷惑だ、とした上で、首長から提出されるたくさんの条例の多くは、国の制度や施策に従ったもので、自治体独自の政策条例と呼べるものはほとんどないのが現状とし、「条例について議会にはもっと取り組んでもらいたいことがある。それは執行部が提出する条例案をよく吟味すること」「多くの地方議会では、国の助言や指導に基づく条例案には何も問題がないと踏んで無傷で通してきたが、この種の条例案には地域にゆがんだ結果をもたらすものがないわけではない」と指摘している。その代表例として、昨春愛知県や京都府などで発生した公立学校教職員の駆け込み退職騒動を挙げている。確かに、退職手当の額を引き下げる条例を改正した後、3月前に大量の教職員が早期退職してしまい、卒業を前に学校現場が混乱したが、これは国にならった条例に思わぬ欠陥があったということでありましょう。職員だけから説明を聞いたのでは議会がミスを発見するのは困難だが、直接当事者(この場合は、退職予定の教職員)から公聴会等で意見を聞くだけでミスに気付いたかも知れません。

条例案を修正するのも、地道ではあるが立派な議員立法と言えるかもしれません。