「栄養代謝学が欠けている」by佐藤務先生 on 『もうひとつの治療法』(原山建郎著) | 橋本三奈子のSalt Revolution(わじまの塩に魅せられて)

「栄養代謝学が欠けている」by佐藤務先生 on 『もうひとつの治療法』(原山建郎著)

人間に備わる自然治癒力で病気を治すということに挑戦しているドクター21人のルポをまとめた『あきらめないもう!ひとつの治療法 ―現代名医21人の挑戦』(2006年・厚生科学研究所発行)という本があります。

輪島の塩に魅せられて大手IT企業を飛び出した女社長の奮闘記-もうひとつの治療法


著者は、『主婦の友』デスク、『わたしの健康』編集長を経て、現在は、健康・医療分野を中心に、取材・執筆活動をなさっている原山建郎(たつろう)氏です。

この中に、日本初のビタミン外来を作った佐藤務先生のことをルポした「栄養素学はあっても、肝心の栄養代謝学がないのです」という章がありましたので、ご紹介します。

佐藤務先生は、稲毛病院整形外科部長/健康支援科部長という方。日本初のビタミン外来を千葉市・稲毛病院に立ち上げた方です。

整形外科を受診する方は、ひざの悪い患者さんが多く、体重コントロールが必要で、そのために、佐藤務先生は、肥満外来をつくり、体の代謝を高めて、やせるために必要な栄養素を含む食品をとる「アレ食べよう、コレ食べよう」作戦を実施したそうです。

ところが、患者さんの半分がかえって肥満するという結果を招き、その原因を突き止めるために、徹底的に、栄養学を学び、現代食を分析したのだそうです。

以下、引用してご紹介します。

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現代栄養学では、3大栄養素(炭水化物、脂肪、タンパク質)の摂取バランス、摂取カロリー量のコントロールはできているが、ビタミン・ミネラル・食物繊維など副栄養素の摂取量についてはほとんど配慮されていない現状が見えてきた。

「アレ食べよう、コレ食べよう」作戦には不足する栄養素の補給という「栄養学」はあったが、3大栄養素のカロリーと副栄養素の代謝バランスを考慮した「栄養代謝学」が欠けていた。

肥満外来の失敗から半年後、それを克服するためのビタミン外来が開設されたのである。

「現代人が肥満する原因の大半は、栄養過剰だけでなく、栄養失調からもきています。

3大栄養素である炭水化物、脂肪、タンパク質はとりすぎているのに対し、それらを代謝するために必要なビタミン、ミネラル、食物繊維などの副栄養素の摂取量が相対的に不足している。

そのために摂取したカロリーを代謝しきれていないのです」


この現代食に潜む「部分的、相対的な栄養失調」の原因として、次の3つが考えられると、佐藤さんはいう。

(1)素材そのものの栄養価の低下

(2)加工食品(欧米食)の増加
(3)ライフスタイルの変化
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現代食の分析を通じて、素材(食材)を加工すればするほど、安定した栄養素である3大栄養素は温存され、不安定な副栄養素が削られ、壊され、溶かされ、ますます高カロリー・低副栄養素になっていくことがわかる。

素材本来の力が失われ、代謝のできない食品、つまり生物が生きていけない食品に近づいているのだ。

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ライフスタイルの変化のひとつに、近年の高度情報社会における身体的・精神的ストレスの急激な増大がある。


絶え間なくストレスにさらされる心身は、抗ストレスホルモンを大量に分泌して防衛しようとするので、大量のビタミンが消費される。

また、タバコを吸っても、薬を服用しても、お酒を飲んでも、その度に体内のビタミンは破壊され、大量に消費される。

ただでさえ、不足がちなビタミン、ミネラル、食物繊維などの副栄養素はさらに減少し、ますます慢性的な栄養失調状態におちいることになる。


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残念なことに、加工には、「解毒・殺菌・保存・アレルゲンの不活性」という面だけではなく、デメリットもある。


それが「ビタミン・ミネラル・食物繊維を削りとる」作業でもあるのだ。
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精製しすぎた塩も、ミネラル不足を招き、その精製塩や化学調味料を使った加工食品の氾濫も、栄養過剰の栄養失調を招いているという現代ですね。

メタボリック・シンドロームの「メタボリック」は、「代謝」を意味する言葉。代謝の異常から来る症候群ということです。

不足しているものをサプリメントで補うという考え方もあるでしょうが、その前に、まず、やっぱり食事内容に気を配ることを考えたいですね。

食べたものを消化して代謝することが大切。

ナトリウムとマグネシウムの理想的なバランスで、炭水化物やタンパク質の自己消化分解を促す塩・「わじまの海塩」は、きっと、そんなあなたのお役にたてると思います。