身体の細胞と塩との関係について
「良い塩・悪い塩で健康に大差がつく」(H12年・廣済堂出版発行)という本があります。
監修は、札幌・弘漢療法院院長で、60年におよぶ東洋医学、とくに電磁気、イオン、磁場による病理研究の専門家という川村昇山氏。著者は、中医師資格を持つ杉野孝一郎氏。
何が良い塩で、何が悪い塩なのか。この本の内容をこれから数回に分けて紹介していきたいと思います。
本題に入る前に、まずは、前提知識として、身体の中の塩の役割について、知っておくべきことから紹介します。
人間を始めとする動物の身体は、細胞がいくつも集まってできているということはご存知ですよね。
第1回は、その細胞と塩との関係について、です。「身体のしくみと塩」という節から引用して紹介します。
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内臓も筋肉も骨も皮膚も、すべて細胞によって作られていて、その細胞の一つひとつは、生物が生命を維持していくために必要なものを含んでいます。
つまり、細胞の一つひとつが正常な働きをしなくなると、それぞれの組織はその機能を果たせなくなります。
細胞は、血液や体液から必要な物質を内部に取り込み、不必要な物質は外部への排泄して機能の維持を保ち、細胞自らの生命を維持すると同時に、生物の身体全体を作り上げているわけです。
そして、細胞が正常な働きをするための必要なのが<浸透圧>です。浸透圧とは細胞と体液のあいだの圧力のことで、生命活動を維持するための保たれるべき浸透圧が決まっています。
この浸透圧が保たれないと、細胞は正常な形状を維持していられなくなり、つぶれたり、膨張したりして破壊されることになります。
一つひとつの細胞が一定の浸透圧を保ち、正常な形状を保持したうえで機能して初めて、人は生命を維持できるのです。
実は、細胞を守っているこの浸透圧の維持に不可欠な成分が塩分なのです。体内に入った塩は、必要な量を残して、あとは体外へと排泄されます。
塩は体内で代謝されることによって、人の身体を作っている細胞の一つひとつを常に一定の浸透圧に保っている
のです。
また、各細胞の浸透圧を維持するためには、一定量の塩分とカリウム・カルシウム・マグネシウム・鉄・銅などが必要です。
つまり羊水に含まれる成分です。これらの成分が一定の比率で体内に残存していることも、浸透圧を維持するうえで重要なことなのです。
しかし、これらの成分は、身体の新陳代謝にともない、体外へと排泄されます。ですから、常に補充が必要となってくるわけです。
羊水と同様の成分を含有する海水は、これら必要なミネラル成分をほとんど含んでいますので、海水を濃縮した塩を補充していれば、細胞に必要なミネラル成分を補充することができます。
加えて、塩は塩素とナトリウムのイオンへの働きによって、身体に必要なものを体内に残し、不必要なものを体外への排泄していきます。つまり、身体の新陳代謝を正常に働かせて、血液をはじめとする体液すべてを浄化しているのです。
血液や体液が浄化されるということは、身体のそれぞれの器官をも浄化することになり、身体全体の機能を正常に保つ役割を果たしているのです。
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細胞を正常な状態に保っているのが、ナトリウムやカリウム、カルシウム、マグネシウムといったミネラル成分というわけですね。そして、それらのミネラル成分は、「補充」と「排泄」が必要ということです。
この「排泄」ということが今後のポイントになりますよ。次回に続きます。