週刊朝日の橋下批判記事で、結局、朝日新聞が謝罪したようだ

確かに、出自の問題をとやかくいうのは、私も好ましいことではないと思う

前にも書いたことがあるが(というか養老先生の受け売りだが)、直せることでいじめられるいじめには、まだ人間を発達させる側面もあるが、変えられないことでいじめられるのは、差別である

チビであろうが、運動神経がにぶいだろうが、出自が悪いだろうが、親が貧乏であろうが、そういうことでとやかく言われるのは差別だと思う

子どもが成功者になったからといって、親が生活保護を受けることでいろいろと文句を言われるのにしっくりこないのは、その批判をしている国会議員がみんな金持ちの子だからだ

金持ちの子が成功者になったら、親の心配はしなくていいが、貧乏人の子が多少成功しても親の問題を言われるという構造が私には好きになれない

橋下氏はどちらかというと生活保護をたたくとか、親が貧乏していたら子どもが面倒を見ろという立場のようだが、もし週刊誌で書かれていたひどい親がまだ生きていて、生活保護を受けていたら、やはり気持ちよく親の面倒を見たのだろうか?それとも、政治家の有名税として、いくばくかの仕送りをするのだろうか?

虐待するような親にまで仕送りをしないと批判される世の中は私はやはりおかしいと思う

そういう点で、今回は心情的には、被害者の橋下氏に共感できるし、味方をしたいが、やり口がやはりあまり政治家としてはいかがなものと思う

朝日の取材は一切受けないというやり方で脅すのは、やはり強者の論理だろうし、政治家としてやってはいけないことだと思う

以前、確か産経新聞か、その傘下の週刊誌だったと思うが、大韓民航機の爆破事件で疑問点を挙げたことがあった

ラングーンの事件と違って、被害者がみんな出稼ぎ労働者であった点や、耐用年数の過ぎているような古い飛行機だった点、おあつらえむきに犯人が簡単に逮捕され、しかも恩赦を受けたり、死んだ方の犯人はわざわざ日本で御用になっているパスポートをもっていた点など、謀略の可能性を論じたというのが私の記憶だ

すると、韓国政府が怒って、ソウル・オリンピックを直前に控えながら、その新聞社のソウル支局を閉鎖すると脅した

慌てて謝罪したり、その手の謀略説を書かなくなった記憶がある

結果的に、その後の拉致事件の白状も含めて、北朝鮮が悪い国というのは疑われなくなった

しかし、今でも韓国のさまざまな謀略(の疑い)は日本のマスコミは書かず、そのうち、韓国系のパチンコ屋が北朝鮮系のパチンコ屋を抜かすようになって、ますますパチンコの批判もなくなった

こういう形で脅せば、少なくとも大新聞とテレビマスコミは橋下氏の批判はしなくなるだろう

それが非常に後味が悪い

そして、実際に週刊朝日で佐野氏は、おそらく橋下氏はそういうリアクションに出るだろうと予想している

それが見事に当たっている

昨日は、森田療法の研修会

森田療法の治療者や患者が森田療法的でなければと必要以上にかまえることが、かえって治療を行き詰らせる森田病の講義を受けた

これは、まさに心の治療のメタ認知である

でも、実をいうと、少なくとも日本の精神分析家は、この精神分析病にかかっている人はもっと多い気がする

森田というのは、目的本位だから、結果がよければそれでOKなのだが、精神分析は理論のほうを絶対視する人が多い

コフートの伝記や理論の変遷をみていても、一時期はおそろしく、「精神分析的でない」と言われるのを恐れていたが、そこから自由になることで、ものすごく理論も臨床も進歩している

メタ認知ができる心の治療法という点で、やはり森田はすごいと思った