本日は、難しい内容のメッセージをいくつかいただいた。

ちょっと不勉強なので現時点で私からレスポンスはできないが、自分で思うところがあれば何か書いてみたい。

昨日のブログでうまく伝わらなかったかもしれないが、たとえば子育てのようなもので、虐待のようにかなりの確率で子供に悪影響を与えるものはあるが、「勉強しなさい」「いい子でいなさい」程度のことでおかしくなる子は確率的にそんなに高くないし、逆に「勉強しなくていい」「いい子でなくていい」とか、放任しておくより、おかしくなる確率はむしろ低いくらいである。

ただ、私がもっと重要だと思うのは、絶対に正しい子育てとか、絶対に悪い子育てというのはそんなにあるものではない。

私に批判のメッセージを寄せてくる人は、ほとんどのケースで、私が間違っているという書き方をしてくる。こういう可能性のほうが高いのではないかという書き方をして批判する人がほとんどいない。肯定的な意見を書いてくださる方の中には、「確かにわかりますが、こういう可能性も考えられるのではないでしょうか?」という疑問を呈してくれる。

現在の認知科学や認知心理学の考え方では、決めつけをやる人は認知的に未熟と考えられているし、精神医学の考え方でも心に悪いとされている。私もうっかり決めつけをやることもあるが、基本的には、こういう可能性もあるから考慮に入れてくれというのが、本意である。

要するに、アダルトチルドレン論にしても、こういう子育てが悪いという決めつけをするのが納得いかなかった。昨日のタレントさんも自分の体験を語るのはかまわないが、他の人もみんなそうだという決めつけをしたり、そういう風にほかの人まで信じさせるのはいかがなものかと考えたのである。ましてやそのタレントは子供がいないから無責任なことが言えるが、子育てする側に、「勉強しなさい」「いい子でいなさい」と言ってはダメだということは酷すぎると私は思う。むしろ、そういうことばを受け取る子供が、でも勉強しなくていいときもある、いい子でなくてもいいときがあると思えるようにしてあげられるようにしてほしいと私は思うが、これだって仮説である。

日本のマスコミはたとえば、人間を善人とか悪人とか決めつける。その人のいい面と悪い面の総合評価をしようとしない。

小沢一郎という人はマスコミに悪人と決めつけられ、人格や政治信条も含めて全否定された形で表舞台から姿を消すことになった。

選挙に負けるのが怖い民主党の政治家からも避けられるようになった。

自民党政治の負の部分を引きずった政治家といわれる。

たとえば、陳情を受けて、地元に利益還元をする。東京の人間には腐ったことにみえるだろうが、そうでもしないと東京と地方の格差は縮まらない。

昔、某有名政治家(さらにときの人になっている)の元秘書から、20年くらい前のまだ社会党があったころの話だが、自民党と社会党の秘書が違いすぎるという話を聞いたことがある。

自民党の秘書は、なんやかんやいって有権者に儲けさせてもらっているという感覚をもっているし、自分も立候補したいから地元民の陳情を含めていうことをよく聞く。しかし社会党は、秘書が官僚で、政治家のほうも自分の理屈のほうが正しいと思って、地元民のニーズを知ろうとしないというのだ。

小沢氏を斬り、今の政治家は、自民党も民主党も地元民のいうことより、テレビや新聞に好かれることのほうが重要なテーマとなり、お題目ばかりを唱える。

それで本当にいいのだろうか?

そして、自民党も民主党も、「絶対に正しい」ことを信じているようだ。これでは宗教政党を笑えない。宗教政党のほうがはるかに柔軟で、今度の選挙の後には与党になっている気がするし、末端の大衆のことをよく聞く(もちろんその宗教に入っている人だけだが)気がする。

今、いちばんマスコミに好かれ、そのおかげで人気急上昇中のみんなの党はどうか?

立候補するメンツも若手財界人などが多い。

基本的には規制緩和論、アメリカ型改革を目指す政党ということだろう。社会保障の方向性も見えてこない。法人税を下げて、消費税を上げることだけは確かだ。実は、手本のアメリカは社会保障は薄い代わりに、法人税は比較的高く、消費税は比較的安い国だということが知られていない。アメリカのような弱肉強食の国でさえ、この手の格差拡大への緩衝材が入っているのだ。オバマが相続税を上げたことを日本の大マスコミはどこも報じなかった。

ただ、一つ面白いことを渡辺氏から直接に聞いたことがある。

今の経済政策は財政政策ばかりやって、金融緩和が中途半端だ。これでは絶対に景気がよくならない。むしろデフレを誘発している。私がやるなら金融政策だ。

というものだった。

金融政策というと政策金利のことばかりと思われるが、どれでか金融緩和ができるかのほうが大切だ。

私が読んだ経済関係の本の中でもっとも面白かった本の一つに、ドイツ人のエコノミスト、リチャード・A. ヴェルナーという人が書いた、『謎解き!平成大不況』という本があるが、それにも似たようなことが論じられていた。

私は実は、日本で必ずしもそれがうまくいくとは限らないと思っているが、試す価値はある。

というか、不況脱出のためには試せることはなるべく試したほうがいい。財政政策でもいいだろうし、ケインズ流の公共事業でもいいし、私が言うように累進の強化とセットで経費控除を大幅に認めるというのもあり得るだろう。

10年くらいの間に試せることをなるべき試しておかないと、日本は三流国に沈没してしまう。

どれが正しいかわからないが、どれかが正しい可能性があると思って試せることは試す。どれが正しいかを決めつけるより試してみるという姿勢のほうがおそらくは建設的だ。

そのために渡辺氏のみんなの党にも一回くらいは買ってもらっていいというのが私の考え方だ。