「基本的に先生は弱者の味方と存じますが、お金持ちといわれる人々でも心を病んでいる方々への治療など通じて、もっと精神科などへの抵抗感や偏見がなくなることを願っています。」というメッセージをいただいた。

これは私の本意といえるものだ。実際、金持ちや勝ち組と言われる人が当たり前に心のケアを受けるようにならないと、精神科や心の病への偏見はなかなかなくならないだろう。これは私も信じるところだし、このメッセージは理解してもらってうれしい感じが強い。

地方の教員の方で、優秀な生徒が入ってきたが、東大合格の実績がないので緑鐵で指導できるかというメッセージもいただいた。

もちろん、緑鐵に入っていただければ、なるべく優秀で実績のある講師をつけて全面的に応援したい。あるいは、前に四国のドラゴン桜というべき高校の先生を紹介したが、私の勉強法をできのよさそうな生徒10人くらいに読ませて、無名校から半分東大に合格させたという話もある。

この手の話は本心から協力したいが、私が直接に応援しやすいのは緑鐵に入ってもらった方がということだけ伝えておきたい。

本日は、その緑鐵の講師になりたいという東大生の採用面接だった。

私の本を何冊も読んでくれた人が多く、また全然気付かなかったが緑鐵の元受講生も来ていて、嬉しかったが、ちょっと泣かせる話があった。

やはり東北の公立校からたった一人理科Ⅲ類に入った女性がいた。聞くと、父親が教育熱心な人で、私の本を何冊も読んでいて、地方にいながら、私の勉強法で娘を勉強させて、非常に成績が上がった。ところがお父さんが高校生の時に亡くなってしまったという。で、父親の遺志をついで、私の勉強法で、あるいはさらに工夫を重ねて勉強して、田舎の公立校から東大の理Ⅲに合格したというのだ。

こういう話を聞くと、いろいろと本を出していて本当によかったと思う。批判する人もいるが、役に立つ人もいる限り、著書は出し続けたい。

さて、先日、日本で学歴社会への幻想という素朴概念が崩壊したという話をしたが、欧米は日本人が考える以上に学歴社会だし、その幻想をもっている人が多い。アメリカなどは、学歴さえ付ければ、社会の負け組から這い上がれると思うので、命がけで兵役に入り、イラクに行く若者も少なくないし、非常に不利な条件の学資ローンを借りる人も後を絶たない。

なぜ私がこんなことを書くかというと、『受験のシンデレラ』が日本では評価されないのに、欧米の人でほめてくれる人がやたらに多いということがある。

ヨーロッパでは、モナコの映画祭でグランプリをとったし、パーティでもみんながすごくほめてくれる。シンデレラストーリーは万国共通という側面もあるが、やはりフランスも学歴社会なので、この話が通じるところがあるようだ。

アメリカ人も、お世辞かもしれないが、私の知り合いはみんなほめてくれる。モナコの映画祭にきていた、アメリカ人の監督も女優もすごく泣けたと言ってくれたし、私の尊敬する精神分析医のトマス・オグデンも絶賛してくれた。

自慢をするつもりでなく、この映画が欧米の人にはわかってもらえるのに、日本人には冷やかな目で見られる、たとえば受験の勝者になる映画にどういう意味があるのか、東大に受かったからと言ってどういう意味があるのだという批判を浴びせる人が多いし、現実に客が入らなかったということでも、今の日本人のメンタリティと会わなくなったのではないかと、つい思ってしまうのだ。

おそらく日本人が学歴社会という幻想を素朴に信じていたころなら、この映画ももっと受け入れられたのではないか?

逆にいうと、昔ながらのど根性ものとかサクセスストーリーのような素朴なものを喜べる人にはぜひ観てもらいたい、最近のねじり曲がった日本映画より素直に泣かせるという自負はある。

昨日も書いたが、正論のシネマサロン『受験のシンデレラ』の問い合わせ先は、産経正論調査室03-3243-8454とのことだ。

またこれについての詳しくは、
http://www.sankei.co.jp/seiron/kokuti/0416cinema.html
を参照してほしい。