昨日は、福島の未来館館長の下村満子さん(元朝日ジャーナル編集長)の誘いで、受験のシンデレラの上映会とトークショー。

予想外の(私にしてみたら予定通りの)好評で、ちょっとうれしい。

前も触れたことがあるかもしれないが、この映画は、実は地方の人に観てもらいたいと思って作った映画だ。

貧しい高校中退の少女が、がんで余命1年半を宣告された受験界のカリスマと出会い、さまざまな受験テクニックの伝授を受け、東大合格を目指すという話だが、この受験テクニックの話にしても地方の人に知ってほしい。実際、地方と東京の格差は大きくなっているし、地方の子どもたちのあきらめもよくなっている。でも、勉強のやり方次第で、東大受験は夢でない。それが言いたかったのだ。実際、映画をみると勉強がやる気になると言ってくれる子どもたちは多い。

あと、受験のカリスマの男にしても、がんでぼろぼろになりながら受験指導をするのではない。緩和医療というものを受け、痛みやだるさを取ってもらうから、死の間際まで、がんと気づかれずに、元気で受験指導を続けられる。

ドラゴン桜は底辺校の生徒がたった1年で東大合格を目指す話だが、今の底辺校の子どもたちは小学校の基礎学力の段階で欠落しているから2年計画にした。

シンデレラストーリーだからこそ、いろいろな意味で、リアリティにこだわったのだ。

この緩和医療にしても、もちろん地方にも先進的な医師はいるが、まだまだ啓蒙が足りないのが現実だ。しかし、緩和医療のための医療用麻薬を出している会社に、この映画の宣伝の協賛を求めてもどこにも断られた。昔、水戸の国立病院に勤めていた時代に、私がお願いした協賛金くらいを平気で一ヶ月で飲み食いに使っていた製薬会社(今は、医療用麻薬のトップメーカーである)もあった。

本当に悔しい。

その製薬会社がタレントを使って医療用麻薬のPRをするのを見るたびに、本気で啓蒙をする気があるのかを疑ってしまう。

ただ、今のところ、その会社を実名で書かないことにする。

というのは、まだまだこの映画のことをあきらめていないからだ。

今、地方の放送局や地方の新聞社とタイアップしながら、たとえば、土曜日の午後のように、2時間ドラマの再放送をやっているような時間帯に、安くてもいいからこのフィルムをかけてもらって、地方の人に見てもらえる機会を作る準備をしようと思っている。

その際に、やはりスポンサーが必要なので、緩和医療のテレビCMをやっているようなところにもお願いしないといけない。

それでそでにされたら逆上するかもしれないが、映画を撮って、興行で失敗した以上、今後は同じ轍を踏みたくない。

資本主義の世の中ではスポンサーは神様だし、ましてや次回作のスポンサーになってくれるところにだったら、どんなにでもぺこぺこするし、主義信条を曲げてもいいとさえ思う(たとえば、パチンコ屋がスポンサーになってくれれば、パチンコ屋の批判をする)

映画だけは命なのでわかってほしい。その代わり作品は、なるべくすばらしいものにするから期待してほしい。