昨日は、精神神経学会の面接試験。

一次試験のレポートは合格していて、面接だけなのだが、やはり緊張する。精神科医なら緊張しないだろうと思うかもしれないが、私は共感を大切にするタイプの人間なので、不安になったことがないような人に不安はわからないだろうし、緊張したことがないような人に緊張はわからないという立場だ。幻覚は見たことはないが、被害妄想的になったことはあるし、アメリカ留学初期に一過性に妄想的になったことについては論文を書いたこともある。そういう点で、精神科医なら緊張しないだろうと思っているような人が試験官だったら、その人のほうに精神科医をやめてほしいくらいだ。

いずれにせよ、何らかのテストを受けることは常に勉強になる。緊張はいやだったが、ときどき、資格試験にチャレンジしようかと思っている。

一生勉強と人に言うだけでなく、自分もやらないといけない。

さて、ここしばらくのブログの記事に反響が多い。

私の読者に限ってなのかもしれないが、子供をただ増やすことより教育が大事だということをわかってくださる人が多いことがわかった。さらに、公教育がしっかりしていないと、親があまり教育熱心でなかったり、貧しかったりするとろくな教育を受けられないため、それをどうにかするにはどうしたらいいかなどというメッセージもいくつかいただいた。

実は、私は、これは大きな問題だと思っている。中学受験であれ、東大受験であれ、医学部受験であれ、専業主婦の子供が有利であることがさまざまなデータから明らかにされている。

このため、母子家庭は、経済的な面だけでなく、母親不在が子供の学力に影響を与えているようだ。これは、貧しい層だけの問題ではなく、たとえば夫婦で医者とか弁護士とかいう場合でも、子供の受験のために、母親が仕事をやめないと、子供の受験で苦い思いをすることが多いそうだ。そして、子供を医者にするために、母親が医者をやめ、5年10年と医者を休んでいるうちに、自信がないために医者に戻らない女医さんがかなり多いことも明らかになっている。これが医療崩壊の一端を担っているそうだ。現在、医学部新入生の3-4割が女性のため、今後はさらに、この問題が深刻になるかもしれない。

あるいは、子供の教育のために、子供が中学くらいになると田舎から都会に移る医者もいる。地方の公教育がしっかりしていないことが医療崩壊に大きな影響を与えている。

実は、アメリカではこの問題をどう解決しているかというと、中学生くらいからボーディングスクールという寄宿制の学校に子供を入れる。そうすれば、母親が医者や弁護士を続けながら、一般以上のいい教育を子供が受けることができ、そこからハーバードやエールのような大学に入る。もちろん、勉強だけでなく、教養や趣味も十分な機会が与えられ、礼儀も覚える。それ以上に、プール付きの豪邸に住んでいた子供が、中学高校では、10畳ほどの部屋を二人や三人でシェアする経験になる。これも必要なことだ。

そのようないろいろな意味で、日本でももっと教育のしっかりしたボーディング・スクールをたくさん作るべきだと私は考えている。

ただ、それでは金持ちだけがいい教育となってしまうと言われるだろう。

私は、貧しい子供や親が片親であったり、教育熱心でなかったときにも利用できる、無料に近い、貧しい層用のボーディング・スクールも作るべきであると、それ以上に考えている。

あるいは、学力が一定以下だったり、ルールがきちんと守れない子供は、それが回復するまでボーディング・スクールを利用してもらう。これについては、強制にしてほしいくらいだが、希望者がボーディング・スクールに入るようにすれば、多少差別感情が和らぐだろう。そのボーディング・スクールから名門大学や医学部に何人も入るようになればなおのことだ。

それでも、やはり差別といわれるのだろうか?あるいは、自由を奪うとか、人権侵害だからとか?予算がないと正直に言わないで、マスコミを使って、そういう話になるのが目に見えてくるのが日本の病理である。