政府が6月からの導入を目指した高速道路の新料金制度は、民主党の小沢幹事長の反対で仕切り直しとなりそうだ。

 迷走の背景には、制度を考え出した前原国土交通相と、小沢氏の根深い対立も見え隠れしている。

 21日の政府・民主党首脳会議で新料金制度にノーを突きつけた小沢幹事長。22日、鹿児島市で開かれた党鹿児島県連のパーティーでは「国政に関しては発言しないようにしているのだが、昨日は高速道路の問題で、『小沢の野郎がなんだかんだ言った』といってマスコミが騒いでいる。まあ、私がみんなを代表して発言したことは間違いない」と述べ、新制度見直しを求めたのは有権者の「総意」であると強調した。

 実際、民主党内では、小沢氏の「お墨付き」を得て、新料金制度への批判が噴出し始めた。国会内で22日開かれた党の議員政策研究会小委員会では「有権者にどう説明したらいいのか」「値上げは容認できるものではない」などの声が相次ぎ、さながら前原氏の“欠席裁判”となった。

 小沢氏と前原氏の関係は良くない。日本新党や新党さきがけに所属し「自民党の金権政治打破」を唱えてきた前原氏にとって、自民党の一時代を仕切った小沢氏は「敵」でしかない。一方、当選14回の小沢氏にすれば、6回の前原氏は「ひよっこ」(小沢氏周辺)に過ぎず、前原氏に対しては常に批判的だ。

 新料金制度は、前原氏が国交省の政務三役でひそかにまとめあげたものだ。現行の料金割引は複雑なため、利害調整が難しいと見たためだが、党内には「前原氏は党との調整を怠った」との不満が強い。

 もっとも、新料金制度の迷走の「元凶」は前原氏ではなく、小沢氏との見方もある。

 小沢氏が昨年12月、鳩山首相に提出した2010年度予算案への18項目の重点要望には「高速道路の整備」が明記されていた。参院選を視野に、道路整備を求める地方の声に配慮したからだ。

 公共事業費の削減が続く中で、無料化と高速道路整備の両立は困難だ。前原氏が考え出した「苦肉の策」が、現行の料金割引の財源の一部を高速道路建設に充てる道路財政特別措置法改正案とも言える。前原氏は、各界で新料金制度への批判が上がっても、最近まで「小沢氏は理解してくれている」と周辺に語っていた。「前原氏としては、小沢氏の道路建設の意向も尊重し、新制度を考え出したつもりだった。まさか小沢氏から批判されるとは思っていなかったようだ」(前原氏周辺)との声も出ている。

 小沢氏が無料化方針を重視し始めたのは、新制度に対する有権者やトラック業界などの反発が予想以上に強く、参院選直前の6月からの「実質値上げ」はできないと判断したためと見られる。

 民主党の輿石東参院議員会長は22日の記者会見で、前原氏が新制度の見直し拒否を「現時点」としていることについて「見直しが必要となれば、見直す用意もあるということも含んでいる」と述べた。政府・与党内では、国会での混乱を回避するため、同改正案の成立後に上限料金を引き下げればいいとの意見も出ている。

 22日夜、首相官邸で記者団に、新料金制度を見直すのかどうかを聞かれた鳩山首相の答えは「すべて国会の審議で見直すかどうか決めて頂きたい」だった。

 小沢氏と前原氏の対立の中で調整に白旗を揚げた瞬間で、鳩山政権の掲げる「政策決定の内閣一元化」の金看板は羊頭狗肉(ようとうくにく)であることを公に示した格好だ。(政治部 白石洋一、経済部 栗原健)

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