SG2.1×42 | びっくりビクセンBlog

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八代目によるビクセンの褻(ケ)

新しい双眼鏡をリリースしました。

SG2.1×42

SG2.1×42


2.1倍という低倍率の双眼鏡です。

口径は42ミリありますので、

中型の双眼鏡になります。


この双眼鏡は、私とオプトミヤウチ(以下ミヤウチ)さんの

社長との会話から生まれました。

今年に入ってから、ミヤウチさんと意見交換する

機会が何度かあり、双眼鏡についても

意見を交わしてきました。

ミヤウチさんはご存知の方も多い対空双眼鏡の

名機を作ってこられたメーカーです。

ビクセンとは、競合メーカーでもありますが

レンズを通じて、星空を楽しんで貰いたい

という気持ちには、共通するものがあります。

「もっと星空を楽しめる双眼鏡が欲しいですね。」

この一言で、SG2.1×42プロジェクトが

始動しました。

ビクセンには、

「たくさんの方に星空を見上げてもらう」

というビジョンがあります。

以前から双眼鏡で広い星空を楽しみたい、

星座を眺める双眼鏡があったら面白い

と考えていたので、この気持ちを

ミヤウチさんにも伝え、共感してもらえたのが

嬉しかったです。


通常ではコラボする関係にない両社ですので

このプロジェクトは、ミヤウチの社長と私、そして

当社の工場長で進められました。

双眼鏡設計の初期段階から、お互いに

意見を出し合ってきました。

業界でも、このような開発の進行は

珍しいのではないかと思います。


プロジェクトを進めるうちに

もうひとつのこだわりが生まれました。

ミヤウチさんもビクセンも埼玉を拠点とする

企業です。そして埼玉には光学関係のメーカーが

多く集まっています。

せっかくだから埼玉県内の企業だけで

作ろうということになったのです。

これは、当初は考えていなかったのですが

部品メーカーさんなどに見積りを依頼していると

全てが埼玉県内であることに気がついたのです。

正確にはうっすらと気がついていたのですが、

あらためて埼玉の「地の利」を感じて

これもコンセプトに加えました。

商品には「Made in Saitama」と

印字してあります。


SG2.1×42はガリレオ式という光学設計と

なっています。双眼鏡には通常プリズムが

入っているのですが、これがありません。

「オペラグラス」を想像して頂けるとわかり

やすいかもしれません。


ガリレオ式の欠点は、通常の双眼鏡に

比べて覗きにくいことなのですが、

接眼レンズを大きくして、メガネをかけている

方でも使いやすいようにしました。

倍率は、2.1倍です。低いように思われるかも

しれませんが、42ミリ口径の対物レンズが

集めてくれる光を無理なく自分の瞳まで

運んでくるのには、ちょうど良い

倍率になっています。

ピントの調整は左右それぞれで行います。

通常の双眼鏡は真ん中のリングひとつで

調整します。鳥など動きの早いものを

追いかけるときは、そのほうが便利です。

しかし、星空は一度ピントを合わせると

動かすことがありません。また、点光源の

星を見るので、ピント位置は鳥や風景よりも

シビアになります。このような時には、

左右の目に適正なピントを与えてあげるほうが

気持ちよく見ることができます。

なので、左右のピントを別々に合わせられる

構造としました。

他にもこだわりの詰まった双眼鏡として

発売でき、なんだか嬉しいものになりました。

星空を愛する人に手にとってもらえたら

嬉しいです。

よろしくお願いします。

商品については、こちらをご覧ください。

SG2.1×42

追記)2013/12/16

見掛視界(実視界)のご質問が多いようです。

ガリレオ式は厳密には定義できないので

説明が足りていなかったようです。

レンズと目の距離(アイレポイント)によって

見掛視界(実視界も)が変動します。

目安は、

アイポイント8.4ミリで見掛視界25.2°

アイポイント5.6ミリで見掛視界28°

です。見掛視界を犠牲にすれば、

アイポイントはもう少し離しても

大丈夫です。眼鏡の方にもお使い頂ける

のは、このアイポイントと視界の関係に

余裕があるからという事になります。

















実は…

老眼が進んでいる私にとって

この双眼鏡は、「星空老眼鏡」なのです。

少し分解能の衰えた目には

星の点(光源)は、ちょっとつらい。

(この季節の金星がギラついていたり)

残念ながら、商品企画書では不採用となったので

このブログでひそかに「星空老眼鏡」をご提案したいと

思います。あまり認めたくはないけど、どうやら老眼

が進んできた同志の皆さん、この双眼鏡で

すっきりとした星空を取り戻しましょう!