少し季節が進んできて、朝晩は肌寒くなる日も出てきました。空気が乾燥してきているので、星空もきれいに見える気がします。秋から冬の星空は、透明度が高く、一等星の数も一番多くみられる季節です。一等星をつないだ冬のダイアモンドで星の名前を覚えるのも楽しいです。一番有名な星座の一つ、オリオン座が見えてくる季節でもあります。
そんな魅力的な星空なので、多くの方に楽しんで貰いたいと思うのですが、一つだけ難点があります。それは「寒い」事です!先日も登山をして山頂で星を見ていたのですが、山頂に到着したらまずはダウンジャケットを着て、ウインドブレーカーを着て、と防寒対策は必須でした。そして人間と同様に、実は機材も防寒対策が必要になる場合があります。天体望遠鏡はガラス(レンズ)と金属で出来ています。冷えやすい素材なので、レンズが曇ってしまう事があります。冬だけではなく気温が一気に下がる時にはレンズの曇り対策は必須です。(夏でも気温が下がる朝方には朝露が付きやすいです。)実はレンズの曇りは、夜中じっと動かないでいる状況で発生します。つまり天体観測や天体写真の撮影の際には、レンズが曇りやすかったのです。ビクセンでは、この問題を何とか解決したいと考えてきました。レンズを外気温よりほんの少し温めてあげれば曇りは生じません。
スマートにこの問題を解決したいと考えていたときに、「発熱する布」の開発者と知り合う事が出来ました。この素材を知った時には、頭の中で全てが解決した気がしました。電熱線などに比べ断線の心配もなく、柔らかくて縫製加工が出来て、洗う事が出来る「発熱する布」は理想的な素材でした。電源がUSBモバイルバッテリーでも発熱可能であることも屋外での活動には最適でした。当社ではこれを「AHF(アクティブヒートファブリック)」と名付け、様々な製品開発を行っています。
最初に製品化したのは当初の目的通り「レンズヒーター360」です。
その後、やっぱり人間の防寒もしたいという事で「ヒーターカメラグローブ」も発売しています。
他には機材そのものを温めたり、寒さに弱いバッテリーを温めることのできるインナーバック「カメラバックインナーヒーター」もあります。便利なのですが、当社のタフトートに合わせた大きさなので、少し大きいかもしれません。
最近発売した「ヒーターラップシート」はマイルドファスナーとの組み合わせで、カメラなどの機材を包み込みやすく出来ています。布状なので、使い道は様々です。ラップすることも出来れば座布団にすることも出来ます。
光学機器メーカーがなぜヒーターを?と思われる方もいらっしゃると思うのですが、少しでも天体観測、天体撮影の環境が良くなればとの発想で開発を行っています。
ビクセンではこれからの季節、多くの方に星空を見上げる機会をご提供していきたいと思います。
ビクセンでは星空の下で自由に楽しんでもらうために、「スターパーティ」を提唱しています。会場の装飾はアウトドアメーカーのロゴスさんの協力もあり、まさにスターパーティとなりました。