2010年の京大理系数学 乙・5です。
http://server-test.net/math/php.php?name=kyoto&v1=1&v2=2010b&v3=1&v4=5&y=2010b&n=5
以下に解答例を記します。
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(1) 有理数d(≠0)をd=q/p・2^r (rは整数,p,qは奇数)と表したときのrの値をO(d)と定義します。(素因数分解の一意性により、rは一意的に定義されます(dの既約分数表示を考える))
3=4-1として二項展開すると
① 3^a=1-4・a+4^2・a(a-1)/2!-4^3・a(a-1)(a-2)/3!+……
ここで、正整数kに対し一般に
② O(k!)=〔k/2〕+〔k/4〕+〔k/8〕+……
≦k/2+k/4+k/8+…… (有限和)
<k
が成り立ちます。(〔〕はガウス記号。2段目の和はその値が0にならない有限項の和)
よって
③ O(4^k/k!)≧2k-(k-1)=k+1 (1≦k)
③およびa=2^nより
④ O(4^k・aCk)≧n+k+1≧n+3 (2≦k)
すなわち①の3項目以降はOの値がn+3以上になります。
また、O(4・a)=n+2です。
一般にO(x)>O(y)ならばO(x+y)=O(y)なので、①より
⑤ O(3^a-1)=n+2
これにより、題意が成り立つことが示されました。
(2) m=s・2^t (sは奇数,1≦t)とし、次の二項展開を考えます。
⑥ 3^m=(4-1)^m=1-4・m+4^2・mC2-4^3・mC3+……
(1)と同様に考えて、⑥の3項目以降のOの値はt+3以上になります。また、O(4・m)=t+2なので、⑥より
⑦ O(3^m-1)=t+2
ここで、3≦tならばt+2<2^tが成り立ちます。(∵ 2=1+1として二項展開すると2^t≧1+t+tC2+tC3>t+2)
よって3^m-1が2^mで割り切れるならt≦2です。
t=2ならばO(m)=m=s・2^tがt+2以下となるのはs=1,すなわちm=4の場合です。
同様に考えてt=1の場合も可能なのはs=1,すなわちm=2の場合です。
逆に、m=2,4の場合は実際に3^m-1は2^mで割り切れます。(それぞれ4|8,16|80となります)
以上により、題意は証明されました。
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3=2+1として二項展開してもなかなかうまくいかないようです。4-1と考えるところがポイントですね。