二ートの僕が子育てをしたら 第3章 (2) | ニートの僕が子育てをしたら

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こんにちは。
黄金龍星です。

いかがお過ごしでしょうか。

主人公 隆も随分、落ち着いて来たようですね。

個性的なビジネスの先生がこれから登場します。

さっそく本編をどうぞ。

----------------------------------------------------------------------------------------二ートの僕が子育てをしたら 第3章 二話

こんな先生がいるなんて



メガネの男性が紹介すると、男の人が壇上に上がった。
  
  
「これからお前らにビジネスを色々と教えてやる。良いか!文句や言いたいことがあるなら、いつでも言って来い。
  
全部潰してやる。わかったか?
  
それと、一応必要なことは教えてやるが、手取り足取りはしないぞ。それが俺の流儀だ。ここは学校じゃないんだ。
  
  
意識を切り替えて、俺の教える方法に早く慣れろ。それができたら、お前らは誰にも負けない超一流のビジネススキルが必ず身に付く。歯を食いしばってついて来い」
  
  
  
その壇上の男が一方的に、自分の言いたいことを言って僕達に色々と押し付けてきた。すると前にいる女性が、
  
  
  
「そんな乱暴な言い方で今後もお話をされるのでしょうか?私はちょっと心配です」
  
  
  
と言うと、
  
  
  
「それは失礼いたしました。皆さんを驚かせて申し訳ございませんね……とでも言えば良いのかね?お嬢さん。そんなくだらないことに気を配るな。お前らがきちんと俺の言うことを身につけたら、いくらでも丁寧な対応をしてやるよ。
  
  
俺とお前らは対等ではない!
  
  
ことを認識して置け。
  
悔しかったら早く上がって来い!お前らが俺の認める人間になったら、ちゃんとした大人の扱いをしてやる。
勘違いをするな。
  
  
さっきにも話をしたよな。
ここは学校じゃない。
  
  
戦場だ。皆で助け合って苦難を乗り越えよう!なんて言っている内は、絶対に苦難を乗り越えることはできない。
  
一人一人がしっかりと力を身につけて、自分の問題は自分の力で乗り越えることができる。そういう人間の集まりだけが苦難を乗り越えて行けるということを憶えておけ。
  
わかりましたか?お嬢さん」
  
  
壇上の男が、前にいた女性に真剣な目をして答えた。
すると、その女性は突然部屋を飛び出した。
  
  
「はい。早くも一人脱落か。まぁ毎度のことだ。お前らも俺のことが気に食わないと思うなら、今すぐ出て行っても良いぞ。ほれ、時間をやる」
  
  
そんな壇上の男の言葉に、一瞬教室内に妙な緊張感が走った。
そして、しばらくして結構な数の人達が立ち上がり、部屋を出て行った。
  
  
ひと段落着くと、
  
  
「お前らも良いぞ。俺は何も困らない。遠慮をするな」
  
  
そんな壇上の男の話に三上さんは楽しそうに笑っている。
僕は三上さんに、
  
  
「なんで、楽しそうな顔をしているの?」
  
  
と聞くと、
  
  
「だって凄い刺激的じゃない?こんな先生会ったこと無いわ。最近、退屈していたから調度良かった。坂上さんはどうするの?」
  
  
そんな三上さんの問い掛けに、
  
  
「うん。僕も残るよ。どんな人であれ、マイヅル先生を信頼しているから、大丈夫でしょう」
  
  
と答えた。
  
  
すると壇上に立っている男が、
  
  
「よし!スッキリしたな。残っているのは3名か。まぁいつものことだな。では、残った諸君には、ご褒美として飲みに連れて行ってやる。今から行くぞ。早く準備をしろ」
  
  
と言って壇上から降りた。
  
  
みんな、目が点になっていた。
その中で三上さんだけが、さっさと片づけをしている。
  
  
「おもしろい先生ね。ああいうタイプの先生は初めてだわ。なんか、ビジネスの世界!ッて感じ」
  
  
と興奮している。
  
僕はそんな三上さんを見て、
  
「やっぱり、変っている」
  
と心の中で呟いた。
  
僕も急いで部屋を出る準備に取り掛かった。
  
  
僕達が部屋を出ると、部屋の外で壇上の男が待っていた。
  
  
「よし!これも社会勉強だ。俺の贔屓にしているお店に招待してやる」
  
  
という男の言葉に、三上さんがにっこり笑っている。
  
  
僕達はその男の後ろについて、教室を後にした。
  
  
研修会場からしばらく歩くと、あまり綺麗じゃないちょっと薄暗い歓楽街のような場所を僕達は歩いていた。
  
  
「高級な品の良いお店でも期待したか?お前らが一人前になったら、喜んで招待してやる」
  
  
と笑いながら、どんどん歓楽街の薄暗い路地に入って行く。
僕は三上さんに、
  
  
「三上さんは、こんな風な薄暗い町に入ったことあるの?」
  
  
と聞くと、
  
  
「ううん。はじめてだから楽しみだわ」
  
  
と本当に楽しそうな顔をしている。
不思議な女の子だ。
  
  
僕はこの世界の綺麗な面しか、これまで目にしたことが無い。
僕が生きている現実世界でも、こんな町に行ったことも無い。
  
  
そんなことを考えていると、
  
  
「よし、ここにしょう」
  
  
と一軒の煙がモクモクしているお世辞にも綺麗とは言えない店に、あの男が入っていった。
  
  
「ご無沙汰しています。今日は新しい若い奴らの歓迎会ですので、宜しくお願いします」
  
  
とお店のカウンターの奥にいる頭の剥げた男性に言うと、
  
  
  
「おう、ダイゴ先生。相変わらず教え子に好かれないね。こんなに良い男なのに」
  
  
  
とカウンターの奥で笑っている。
  
  
しかし店内に入って、僕は意外なことに気が付いた。
  
  
一見すると古ぼけたお店だが、中に入るとそんな外観と違い綺麗に整理されている。そしてお店の店員さんも、とても雰囲気の良い人達ばかりだ。
  
  
僕達は一番奥の席に座った。
すると例の男が、
  
  
「お前ら見た目に騙されるなよ。ここのお店はちゃんと計算をして、わざとこのようなスタイルで営業をしている。一見するとわからないが飲食店が成功する秘訣が、この店には凝縮している。今日はしっかり勉強をさせてもらえ」
  
  
と言った。
  
  
この男、いやこのダイゴ先生というのは不思議な魅力がある人だ。
さっきまでの高圧的な印象がいつの間にか消えて、知らないうちに惹き込まれている自分がいる。
  
よし、この先生を信じてみょう。
僕は一流のビジネスマンになって、岬が自慢できるお父さんになる。
  
そう静かに心の中で決心をした。


第三話につづく