ニートの僕が子育てをしたら 第1章(14) | ニートの僕が子育てをしたら

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ニートの僕が子育てをしたら 第1章 14話

魅惑の世界
(13話を読む)

初対面の挨拶を終えて、僕と岬そしてミサキさんと勇君の四人で
アニマル・ファンタジーに入った。


実は僕と岬はここには行ったことが無い。


ミサキさんと勇君は何度か遊びに来たことがあるようで、施設内で
人気のあるアトラクションについて色々説明をしてくれた。


ミサキさんの話の中で、僕の興味をとても惹きつける動物がいた。
それを動物と呼んで良いのか、わからない。


そうその動物の名前は、


河童


河童は動物なのかどうか疑問点が残る部分もあるが、
個人的にもとても興味がある生き物だ。


施設の入り口から三分ほど歩いたところに河童がいるらしい。

また河童はガラス越しに観ることができるそうだ。
僕は興奮しながらミサキさんに、


「河童を観に行きませんか。」

と誘うと、


「良いですよ。河童さんって眺めているとあっという間に時間が経ってしまいますものね。」


そんな彼女の言葉に僕の河童への期待度は高鳴る一方だった。
しばらく歩くと、河童が住んでいる部屋が見えてきた。


「どんな感じなんだろう。」


二十匹くらいの様々な河童が普通に生活をしている。


部屋の中央には川が流れており、かなり広い。
奥には山が見えるし、その下には森が広がっている。

そして古い茅葺屋根の民家がいくつかある。

男女?オスとメス?良くわからないが・・・家族単位で行動をしているみたいだ。

お母さんらしき河童が子供の河童にキュウリを取り分けたり、その傍でお父さん河童が、中央を流れる川で子供らしき河童に泳ぎ方を教えている。

緑色の肌で頭の中央部は白い。
背中には亀の甲羅がついている。
身長は小さめで、大人の河童でも130センチくらいだろうか。


小さい頃に親から買ってもらった「妖怪図鑑」に載っていた河童とほぼ同じで、
図鑑に載っているように、本当に相撲をとっている河童もいる。


こんなに多くの人に私生活を覗かれている河童はストレスが溜まらないのだろうか?という疑問を感じていたが、窓に以下の説明書きがあったので読んでみると、


「お客様から河童を観ることができますが、河童さんからは皆さんのことが見えないように特殊加工をしております。そのため河童さんの自然な暮らしを観ることが可能になりました。」

僕達の世界から河童の世界は覗けるが、河童の世界からは僕達の世界を覗けない。これって、僕の現実世界とこのバーチャル・ワールドの世界の関係のようだ。



感慨に耽りながら、僕は河童の営みをしばらく眺めていた。ある程度、河童を堪能した後はミサキさんのリクエストで人魚を観に行くことにした


僕は一度、岬と水族館で観たことがある。
あのショーはとても美しく興奮したショーだった。

「じゃあ次は人魚を観に行きましょう。」

と話していると、勇君が突然走り出した。
ミサキさんと僕でその後を追いかける。

多分、僕達は他の人から見たら、普通に家族に見えるだろう。
僕が父親でミサキさんが母親。

こんな綺麗な人が本当の奥さんだったらな・・・と妄想しながら僕は勇君を追いかけた。

施設内で一番人気がある「人魚の部屋」だけに凄い人だかりができている。

僕は人魚を観ようと岬を抱いて部屋の中に入った。
すると、部屋の中に、たくさんの人魚がいる。

目の前にひろがる幻想的な世界

透き通ったエメラルドグリーンの美しい海
ブロンドの美しい髪
ゴールドやサファイヤのようにきらめく人魚の姿

その煌びやかな世界を目の当りにすると、幻想の世界なのか現実の世界なのかが曖昧になってくる。


ミサキさんも勇君も人魚を観て興奮している。
岬も興奮して人魚を目で追っている


すると奥にある高台から一匹の人魚が海に飛び込んだ。

バシャーン

海底深くもぐって透明な海の中で揺らめいている
泳ぐ姿も優雅で神秘的だ。

本当に美しい。
人魚を観ている人達すべてがその美しさに声を失っている。


しばらくすると勇君の、

「ママお腹が空いた」

との声が聞こえてふと我に返った。

僕はミサキさんに、

もうお昼だから食事でもしましょうか?

と尋ねると勇君が、

「今日はママがお弁当を作ってくれているよ。」

と言った。

そんな勇君の言葉にミサキさんが、

「口に合うかな?宜しければ私のお弁当を食べて頂けますか。」

突然のサプライズに僕は気絶しそうになった。

(15話に続く)

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