黄金龍星です。
前回のお話はいかがでしたか。
恐怖・・・普段何気なく感じている感情にスポットをあてて、お話を進めてみました。
人が日常的に持つ感情一つでもそれぞれの立場で色んな考えがあるのを知って、隆も何かを感じ取ったようです。
日常的過ぎて、気にも留めないことにフォーカスすることも大切かもしれませんね。
では続きをどうぞ。
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ニートの僕が子育てをしたら 第1章 第9話
僕が僕であるために
(8話後編を読む)
講義が終わってすぐに、僕はその足で岬を迎えに行った。
その帰り道の間に今日の授業について振り返ってみた。
あの講座を受講した人達は「災害や病気」について恐怖を感じている人が多いようだったけど・・・僕の中にはどんな恐怖があるのだろう。
少なくとも、これまでの僕の人生に於いて考えたことのないテーマでもあり、またとても刺激を受けた講座内容だった。
僕は僕自身を振り返って気づいたことがある
あの講座を受講している人達のようにきちんとした考えも、意見も僕にはない。
そして自分の中が空っぽだということ。
講座の中で発言をした人達は現実の世界でも同じように、自分の考えをちゃんと他人に伝えることができるのだろう。
僕には他人に伝える言葉を持っていない。
それは、僕はこれまでの人生に於いて、他人に伝える何かを積み重ねてこなかったからだ。
仮想現実の世界では女の子の父親だけど、現実の世界での僕は存在していないに等しい。
そんな自分の現実を振り返れば振り返るほど虚しくなっていった。
そんな何も無い僕に、この子の親の資格があるのだろうか?
バーチャル・パレンツという仮想世界の中であるとはいえ・・・僕も女の子の親だ。
この世界では少なくとも父親という形で存在している。
親であるということ
僕は「岬の父親」であること
だからこそ、僕がこれから僕の人生をやり直さなければならない。
惨めな人生のままで終わるのは嫌だ。
今回の講座を機会に、自分の中にある恐怖と向き合い乗り越えよう。
岬だって弱虫で空っぽの僕を父親として認めたくないだろう。
僕が僕であるために僕は今日から闘う。
そう決意した・・・帰り道だった。
(10話に続く)
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