北アルプス再訪テント泊・その1 | ONE FINE DAY

ONE FINE DAY

暮らしの中は楽しいこといっぱい。

ムスメがドイツへと旅立ち、向こうで楽しく過ごしているかなとハラハラ心配しながらも、このビッグチャンスを逃してなるものかと必死に仕事のやりくりをし、夫婦揃って何とか休みの都合をつけて確保した3日間。




行き先はいろいろ迷ったけれど、北アルプスのど真ん中に行きたいという私の希望を夫が受け入れてくれた。5月の燕岳はとても素晴らしい2日間だったけれど、東端から首を突っ込んでみたという感じだったので、今度こそどっぷり北アルプスに浸かりたかった。




7月下旬の週末がいちばん混雑する時期というのは承知していた。山小屋は一畳に2、3人なんて恐ろしい話も聞いていた。日本で一番人気のある燕山荘にお客さんが20人もいないほど空いているときに泊まったのによく眠れず、意外と自分が神経質だったことに気づいた私。だったら、この際テント泊しちゃう?と大きなハードルを飛び越えてしまった。今までもファミリーでのオートキャンプはよく行ってたけれど、テント、シュラフ、食糧…全部自分たちで担いでいく山キャンプは全く別物。装備を用意したり、水10リットルを背負って朝散歩トレーニングしたりと、私としてはこれまでにないほど真剣に準備に取り組んだ。









8月27日(金)




午前2時起床。2時半出発。


沢渡に5時40分到着。

6時のバスに乗り、上高地に6時30分到着。




午前7時、ひんやりした気持ちの良い空気の中、河童橋を出発。

ONE FINE DAY-270700河童橋


今日、目指すは涸沢。約17㎞、6時間の道のり。








梓川のせせらぎが清々しい。


10年以上前、まだ保育園児だったムスコと乳飲み子だったムスメを連れてこの川沿いを散策したねと懐かしく思い出す。あの時撮った、川岸で遊ぶ4歳のムスコとまだ若々しい夫の写真は私のお気に入りで、今でもキッチンに飾ってある。

あの頃は、まさか自分が山登りをするようになるなんて思わなかったな。

ONE FINE DAY-270744梓川







7時50分 明神到着。
明神岳を仰ぎ見ながら、ちょっとひと休み。

最高の青空。
ONE FINE DAY-270750明神





明神を過ぎてから、ものすごい睡魔が襲ってきた。


とにかく眠くて眠くて…歩きながら寝そうになる。

フラフラと半ば夢遊病患者のような状態で歩き続けた。

夫が心配して、荷物を少し移してくれた。

さらに涸沢を目指すのはあきらめて徳澤か横尾で泊まるかなんて言い出した。

でもこの時点では何も考えられない。
とりあえず、徳澤まで行って、そこで休んでから考えようと、何とか歩き続ける。










9時15分 徳澤園到着。

ONE FINE DAY-270915徳澤園


木陰で10分ほど仮眠。冷たいアイスコーヒーを飲んで、少し元気を取り戻す。

夫は心配するけれど、こんなところであきらめてなるものかと気合を入れなおし、横尾を目指して再び歩き出す。






10時30分 横尾到着。

ONE FINE DAY-271030横尾


槍を目指す人と涸沢方面に行く人、上高地へ戻る人が交差する場所。

活気あふれる空気に触れ、私も元気を取り戻す。








11時 横尾大橋を渡って、いよいよ北アルプスの中心へ入っていく。


ONE FINE DAY-271100横尾大橋




12時 本沢橋に到着。仮設のつり橋はゆらゆら揺れる。私が渡り始めると、後ろにいた人がすぐについてくる。お願い、もう少し離れてきてください~と心の中で叫ぶ。

ONE FINE DAY-271200本沢橋

橋を渡ってから川岸に下り、木陰でしばし休憩。

清流のさわやかな空気を含んだ風が火照った頬を撫でていく。

夫は川の水でじゃぶじゃぶ顔を洗っている。



横尾からの距離は半分以上来たけれど、時間的にはまだ3分の一くらい。

…ということは、ここから先はキツイってこと。

屏風岩を左手に見ながら傾斜のきつくなった道を黙々と歩いていく。

14キロのザックはやはり重く、だんだん辛くなってくる。

あの早朝散歩トレーニング、あの程度じゃ効果なかったのかなと思い、その一方で、毎日少しずつでも続けてたから、今この程度で済んでいるんだと考えたり、頭の中は行ったり来たり。

下ってきた年配のご婦人方に「もっと小股でね」とご指導受けたり、「あなたいい体してるんだから大丈夫よ」と励まされたり。




やっと雪渓に到着。雪があるだけで風がひんやりして気持ち良い。
しかも、雪道はちょっと得意なので、ペースを上げてサクサク登っていく。

ONE FINE DAY-271400雪渓







やがて、涸沢槍と涸沢岳が見えてきて、テンション↑↑↑↑↑

ONE FINE DAY-271420涸沢岳と涸沢槍



そしてついに…14時40分 涸沢ヒュッテ到着。
ONE FINE DAY-271440涸沢ヒュッテ




事前情報では、涸沢のテン場今年はまだだ雪がいっぱいらしいと聞いてたので、休憩する間もなくテン場に直行して場所の確保。雪の上にテント張ることも覚悟していたけれど、それほどではなく、岩の隙間に雪が残っている程度だった。





ONE FINE DAY-271520テント

テント設営完了!



北穂高岳、涸沢槍と涸沢岳、奥穂高岳、前穂高岳にぐるっと取り囲まれた涸沢の真ん中で、やっと一息ついた。

下の岩のごつごつが心配だったので、サーマレストのリッジレスト(S)とプロライトプラス(W's)の2枚重ね。だから重かったのね、私のザック。

でもおかげで3日間とても快適に過ごすことができた。



涸沢のテン場はヒュッテの方で水場やトイレを使わせてもらえる。

水は蛇口から出る飲料水が無料。

歯磨き粉を使わなければ歯磨きもOK。

トイレは1回100円でとてもキレイなうえに温かい便座で感激!

ちょっとびっくりしたのは、トイレから出てきた年配の女性が持ち合わせがなくて、連れの人に「今はどこでも100円かかるのよね~」と文句を言いながら借りてたこと。トイレに100円払うのが嫌だったら、自分のは持って帰ればいいのにね。



テントで横になったりなんかすると中途半端に寝てしまいそうになるので、必死にこらえ、5時頃早めの夕飯を食べ、夕暮れ時の空をぼんやり眺めて過ごす。


ONE FINE DAY-271915前穂ヒュッテ

灯りのついた涸沢ヒュッテと前穂と月。

きれいな半月。

うっすらピンクに染まった雲



ONE FINE DAY-271915常念
東方面の空。




7時半シュラフにくるまって就寝。

無事に一日目が終了した。