【麗し大和】

 アフロヘアの仏さま。東大寺の末寺、五劫院(ごこういん)の本尊は、ぷっくりとして子どものような顔に長く伸びた髪(螺髪、らほつ)が目を引く、ちょっと変わった仏像だ。五劫思惟(しい)阿弥陀如来坐像(鎌倉時代、重文)という。

 五劫といえば落語「寿限無(じゆげむ)」の「寿限無寿限無五劫のすり切れ…」。一劫は、天女が3年に1度舞い降りて羽衣で岩をひとなでし、岩がすり切れてなくなるまでの途方もなく長い時間とされる。人智を超えた長い間、ひたすら思索した法蔵菩薩が阿弥陀如来になった瞬間の姿で、すっかり髪も伸びてしまったというわけだ。渡邊良憲住職は「大願を成就してほっとしたようにも見える」と笑う。

 寺伝では、開山で東大寺の鎌倉期復興に尽くした重源(ちょうげん)が宋から持ち帰った仏像3体の1つといい、長髪の仏さまは東大寺勧進所阿弥陀堂をはじめ十数件と珍しい。両手を衣の中に入れた姿も異国風だが、由来について興味深い説を聞いた。

 「重源が持ち帰った鋳造仏を日本で模造したのでは」という岩田茂樹・奈良国立博物館学芸部長補佐。仏像には構造上不必要な細工痕があり、それはオリジナルの鋳造あとを忠実にまねたからと考えた。素材も日本産のヒノキのよう。実は五劫院はわが家の菩提(ぼだい)寺なのだが、見慣れたご本尊にそんな謎があったとは…。

 東大寺再建という長期プロジェクトを指揮した重源にとって、五劫もの間座り続ける仏は、心のよりどころだったのかもしれない。(文 山上直子)

 ※要事前予約。8月1~12日は一般拝観可。

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