新星・宝田ではなく、熟練の荒川に軍配!【プレナスなでしこリーグ2部7節、C大阪堺Lvs日体大F】 | ヒロ・ゴラッソ

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新星・宝田ではなく、

  熟練の荒川に軍配!

プレナスなでしこリーグ2部第7節】

開催日:2017年5月7日 13:00 KICK OFF

会場:J-GREEN堺S1メインフィールド(大阪府)

C大阪堺L 1-2 日体大F

【得点者】<C大阪堺L>松原志(58分)

<日体大F>平田(50分)、嶋田(59分)

前節まで無敗同士による昇格争い直接対決はアウェイの日体大Fが勝利。 写真/筆者

 

『育成のセレッソ』は男子だけじゃない!

 
 GW初日は伊賀で快晴の中のサッカー観戦でしたが、この日は・・・もう暑い暑い夏日。一気に気候替わり過ぎじゃないですかね?

 

 GW最終日となる5月7日の日曜日。筆者はJ-GREEN堺に足を運び、気温よりも熱い熱い、昇格争い直接対決となる、プレナスなでしこリーグ2部・第7節のセレッソ大阪堺レディースVS日本体育大学フィールズ横浜の一戦を現地観戦して来ました。

 

 ホームのC大阪堺Lはここまで4勝2分の2位。一方のアウェイの日体大Fは5勝1分の首位を走るチーム。どちらも全18試合中の6試合という3分の1を消化した時点で無敗をキープしているチーム同士による頂上決戦にして1部昇格争いの直接対決。2位フィニッシュだと1部・9位のチームとの昇降格プレーオフを戦う必要があるため、この首位攻防戦の勝利が2部優勝と自動昇格の行方を占う重要な一戦となりました。

 

 C大阪堺は常に平均年齢が17~18歳代という極度の若手偏重ながら、昨季は2部初昇格で3位へと大躍進。2010年に『セレッソ大阪レディースU-15』となった中学生年代のチームが現チームの起源で、2012年4月に初めて年齢制限のない『セレッソ大阪レディース』となり、2013年1月から現チーム名の『セレッソ大阪堺レディース』となったチーム。つまり、2012年のシーズンを最年長の15歳で迎え、今年で20歳になる世代が現チームの最古参。この日はベンチ入りした14歳の中学生MF善積わらい選手も途中出場した程の若いチームです。

 
 『育成のセレッソ』は女子でも健在で、昨年11月から12月にかけてパプア・ニューギニアで開催されたFIFA U-20W杯には、FW西田明華選手、MF林穂之香選手、MF松原志歩選手と3人のアタッカーを送り込むなど、 成績以上に男子と同じく育成が形になって来ています。
 

開幕6戦連続得点中のFW宝田沙織

 得点ランク独走9ゴールの17歳

開幕6試合連続得点中で9ゴールと得点ランクトップを快走中のFW宝田は17歳。byC大阪堺L公式ブログ

 

 若手の逸材が揃うC大阪堺L。中でも、17歳にして開幕から6試合連続得点中のFW宝田沙織選手に注目が集まります。

 

 6試合で9得点を挙げ、この試合前まで2位で複数選手が3得点で並ぶ得点ランキングをすでに独走。全18試合の3分の1を消化した2部リーグの得点女王になるのが現実味を帯び、ここまで4勝2分の無敗で2位と堂々と昇格争いをするチームを牽引する存在になっています。

 

 筆者も足を運んだ前節の岡山湯郷Belle戦でも、攻守が切り替わった瞬間に左サイドのスペースでボールを受け、スピードを活かしたドリブルからの正確なシュートを決めていました。

 
 決して派手なテクニックを持ち合わせているわけではないですが、点取り屋として自分の身体能力に見合った技術と得点感覚が備わっているという本格派のFW。現在は高校3年生のストライカーに注視してこの試合のレポートを綴りたいと思います。
 

【試合速報】C大阪堺L今季初黒星

日体大Fが試合巧者ぶり遺憾なく発揮!

 

 昇格争いに直結する緊張感のある試合。開始から20分程は常にアウェイの日体大Fが主導権を握る時間帯が続きました。1つ1つのパスが正確で、「止めて、蹴る」技術以外は際立った個人能力を発揮する選手もいないし、アタッキングサードに入ってもドリブルを使う事が少ない。

 

 こう表現するとゴールへ向かっていないように思われるかもしれませんが、とにかくパススピードがおそらく1部のチームより速いので、それがハイテンポを生み、その中で元日本代表のベテラン2人=37歳のFW荒川恵理子選手と33歳のMF伊藤香菜子選手が落ち着きとアクセントを加えるため、頭の回転が速そうなメリハリのついた攻撃と攻守の切り替えの速さは2部とはいえ、首位に立っている実力は本物だと試合序盤から感じさせられました。恐らく今のサッカーは1部でも中位以上の実力はあると考えられます。

 

 ホームのC大阪堺Lはそんな完成度の高い日体大のパスワークに対して運動量を活かしたプレッシングで対抗。中盤でボールを奪えた際にショートカウンターで一気にフィニッシュに迫るという攻撃の中、FW宝田選手や左サイドMF松原志選手の突破力や決定力という個の能力で鋭さは見せていました。

 

 緊迫した中でも守備的になり過ぎず、「個」のC大阪堺L・「組織」の日体大と、お互いの良さも披露しつつ、前半をスコアレスで折り返した後半の序盤に試合は大きく動きました。

 

 50分、日体大は<4-4-2>のダブルボランチの1角として出場していたMF伊藤選手がドリブルで持ち込み、右サイドから中央へ走り込むMF平田ひかり選手へ浮き球の絶妙なラストパスを供給。平田選手の左足でのシュートが決まった日体大が首位決戦の先制点を奪いました。

 

 ただし、すぐさまC大阪堺Lも反撃。両チームが共に短時間に何度も決定機を作った58分、カウンターで宝田選手がドリブルで抜け出し、自ら右45度からの鋭いシュート。GKに防がれるも、ゴール前に詰めた松原志選手が決めて1-1の同点に。松原志選手は宝田選手に続く得点ランク2位タイの今季4点目。

 

 しかししかし、直後の59分でした。いったん試合が落ち着いたかに見えた矢先、中盤でぽっかりと前が空いた事を確認した日体大の10番にして主将MF嶋田千秋選手が決断。GKに届くあたりで急速にドライブ回転のかかる超絶ロングシュートが突き刺さり、日体大がすぐさま1-2と勝ち越しに成功。

 

 1度流れが大きく動いたこの時間帯をダブルボランチの嶋田ー伊藤両ベテラン選手を中心に今度はテンポを落とす事で、前掛かりになったC大阪堺Lの選手達をいなす事に成功した日体大。冷静な判断力でシンプルにパスを通すだけでカウンターから幾度も決定機を演出。

 

 日体大は3点目を奪う事はできなかったものの、C大阪堺Lのパワープレーを危なげなく防ぎ、アウェイながらも試合を支配したまま1-2と勝利。負けても2位を維持したC大阪堺Lに対して勝点5差で首位独走態勢となる大きな勝利を挙げました。

 

【HIRO'S ROOM】FW荒川恵理子

→宝田にない要素を備えたFWの神髄
 
試合終了後に挨拶する日体大FのFW荒川(9番)。得点こそなかったが、力強く柔軟なポストプレーで勝利に大きく貢献。写真/筆者
 
 (説明しよう!【HIRO’S ROOM】とは、筆者=hirobrownことhiroが観た試合で、気になったポイントや選手などを独断と偏見でピックアップして部屋で独り言を呟くコーナーである)
 
 今回は17歳にして得点ランキングを独走するC大阪堺LのFW宝田沙織選手に特化した内容にしたいので、その宝田選手に不足している要素をたびたび披露した日体大Fの元日本代表FW荒川恵理子選手をピックアップ!
 
 この試合、自身のシュートこそ1本で決定機で決めきれなかった荒川選手ですが、豊富な経験を活かした相手DFとの駆け引きと共に、37歳ながらもフィジカル能力の高さを遺憾なく発揮。
 
 前線に送られた5分5分のボールに対して何とか自身の体に当てて、マイボールにすると、何度も巧みな身のこなしでマークについたC大阪堺Lの若いDF達をスクリーンアウトして突破。
 
 ショートパスによる細かい繋ぎの場面でもワンツーの的として柔軟なポスト役となり、荒川選手の存在によって日体大の攻撃は中央へのクサビの脅威とそれによって出来るサイドのスペースを活かしたワイドな攻撃も活きました。
 
 ポゼッションとカウンター、ロングボールとショートパス、速攻と遅攻など、様々な攻撃の形を見せた日体大には荒川選手の存在感が大きかったのに対して、宝田選手はカウンター時の急先端として脅威を与えました。ただし、ゴール前に人数が密集した状態ではあまり効果的にボールに絡めず。終盤は攻撃的な選手を投入するチームの中で中盤に下がってプレーするなど、土壇場で自ら試合を決めるような存在にはまだまだ遠いかもしれません。
 
 大ベテラン・荒川選手とは違い、適応できるプレースタイルと状況判断はまだまだ。何と言っても年齢が37歳と17歳。2倍以上の年齢となる女子サッカー界のレジェンドと比べるのもお門違い。
 
 課題は“伸びシロ”でしかない17歳の得点女王=宝田選手。6試合連続得点は止まりましたが、新たな目標とするFWが見つかったという点でも有意義な試合だったのではないでしょうか?
 
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【なでしこリーグ1部全チーム紹介】

3月25日から開幕した今季のなでしこリーグ。byなでしこリーグ公式HP
  

 当ブログでは先週末から開幕したプレナスなでしこリーグ1部参加の全10チームを1チームずつ紹介する記事を掲載しています。この機会に是非、ご一読ください。詳細は下記バックナンバーをクリックして下さい☆
 
【なでしこリーグ1部全チーム紹介~『Shooty』リライト版】
 
第1弾、<マイナビ・ベガルタ仙台編> 
第2弾、<浦和レッドダイヤモンズL編>
第3弾、<ちふれASエルフェン埼玉編>
第4弾、<ジェフユナイテッド千葉L編>
第5弾、<日テレ・ベレーザ編>
第6弾、<ノジマステラ神奈川相模原編>
第7弾、<アルビレックス新潟L編>
第8弾、<AC長野パルセイロL編>
第9弾、<伊賀FCくノ一編>
第10弾、<INAC神戸レオネッサ編>
 

 それでは皆さん、今週末も各サッカー会場でお会いしましょう!
 
 それではまた(^.^)/~~~

 
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