NBAファイナルから見るサッカーの可能性~組織VSレブロン #ガンバ大阪 #日本代表 #NBA | ヒロ・ゴラッソ

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 今からサッカーの話をします。でもバスケットボールの話をしながらです。過去にサッカーの記事を書いてきたかどうかは過去記事をチェックして確認してください。



史上最高視聴率を記録したNBAファイナル

 ウォリアーズの組織VS帝王・レブロンの「個」




 今週、今年のアメリカのバスケットボールリーグ=NBA(ナショナル・バスケットボール・アソシエーション)のファイナルが行われました。対戦カードはレギュラーシーズン(リーグ戦)最多の67勝を挙げたゴールデンステイト・ウォリアーズが順当に勝ち上がって来たのとは対照的に、レギュラーシーズンの序盤戦から負傷者続出によるチーム成績の不振からシーズン中に主力選手を刷新したクリーブランド・キャバリアーズ(以下、キャブス)が勝ち上がって来ました。



 ウォリアーズは「バスケットボールの神様」マイケル・ジョーダンを擁したシカゴ・ブルズの黄金時代のメンバーだったスティーブ・カーが今季からヘッドコーチ(サッカーで言う監督に相当)に就任。カーの現役時代のように3ポイントシュートが巧く、パワーよりもスピード重視の軽量系の選手が多いチーム編成で、通称「スプラッシュ・ブラザーズ」と呼ばれるステファン・カリーとトレイ・トンプソンがチームの中心。特にカリーは今季の年間3ポイント成功数で自身が持つ記録を大幅に更新。さらにプレーオフに入ってからの3ポイント成功数がこれまでのレジー・ミラーが持つ最多記録である58本を2倍近く上回って新記録を樹立。実はクレイ・トンプソンも同記録でミラーを抜いて2位に入ったぐらいの3ポイントの名手です。


 対するキャブスの注目は自他共に認める「世界最強選手」レブロン・ジェームズ。レブロンは現在30歳にしてチームとしてのNBAファイナル優勝2度を始め、それ以上に個人タイトルとしてはシーズンMVP4回、ファイナルMVP2回、新人王と得点王も1回ずつ獲得しているバスケットボール界の帝王です。そのレブロンは昨季まで所属したマイアミ・ヒートで4連続のファイナル出場で2度優勝しており、ヒートで全てを手にした上で今季からは「古巣でプレーしたい」としてキャブスに復帰。見事に個人としては5年連続6回目のファイナル進出となりました。


 この2チームによる今年のNBAファイナルは4勝2敗でウォリアーズが優勝したのですが、NBA史上最高の視聴率を記録。ウォリアーズの「組織」VSレブロンという「個」という明確なチームの特徴が出たのが実力派チームの対決で、初戦から2戦連続で延長戦へもつれ込む接戦の連続。最近のNBAでは間違いなく最も盛り上がったファイナルでした。


レブロンを活かすためのロースコア狙い

 ファイナル1試合平均35.8得点の驚異的数字



 キャブスのレギュラーシーズンは全82試合中の39試合を終わった時点では19勝20敗と負けが先行する苦しい成績が続き、プレーオフ進出すら危ぶまれる事態。しかし、試行錯誤を経て現在の陣容を揃えてからは連勝街道を走り、その後の43試合を34勝9分。リーグ2位でプレーオフへ進出しました。


 しかし、キャブスの負傷者続出はプレーオフに入ってからも続き、レブロンに継ぐポイントゲッターのカイリー・アービングや3番手のポイントゲッターであるケビン・ラヴまで負傷。NBAでは3人のスター選手が各チームにいるのですが、キャブスはファイナルに来てからアービングが初戦で負傷してからはレブロン1人の状態で最後まで戦いました。もともとシーズン最多勝利のウォリアーズの方が格上である事と、レブロンの右腕と左腕となる選手が両方とも負傷欠場する緊急事態。それもアービングが負傷したファイナル初戦で敗れたわけで、このまま4連勝でウォリアーズが優勝すると思った人も多かったファイナルでした。


 ただし、キャブスはそこから2連勝して逆転。特にレブロンは第1戦~第3戦までで123得点を記録。これまでのNBA最多記録を更新しました。バスケットではだいたい1人で1試合20得点できる選手はビッグプレーヤーの仲間入りで、平均30得点を越える選手はスーパースター級になると言えるのですが、レブロンの数字は驚異的です。しかもレブロンの場合は得点だけでなく、リバウンドやアシストでも2桁を記録する事が多く、「トリプルダブル」(得点・リバウンド・アシスト)の常連。それでもレブロン擁するキャブスは2勝4敗で敗れました。敗れた第5戦もレブロン個人では40得点14リバウンド11アシストです。レブロンはファイナル6試合で1試合平均35.8得点、13.3リバウンド、8.8アシストを記録したのです。


 そのキャブスが世界最高の選手の個を最大限活かすために取った策とは何か?それはロースコアに持ち込む事です。NBAでは100得点を下回る試合を一般的にロースコアと言えるのですが、キャブスがファイナルで挙げた2勝は共に95.96得点、特に第2戦は延長戦の末の記録ですから、如何に彼等が打ち合いを避けるように戦ったか?が解ると思います。そして、それがこの戦力差を縮めて接戦を演じれた要因になります。


 もちろん、そこにはレブロンがゴール下のリバウンドでも強さを発揮できる事、逆にウォリアーズがセンターという長身選手が担うポジションの選手を起用しないという細かい要素はあるのですが、スーパースターが1人だけのチームが完成度の高い組織的なチームと対戦する場合には打ち合いは不利でしょう。


 そして、ロースコアを意識しているのが顕著に見えたのはウォリアーズの優勝が決まった第6戦の第1クオーター。バスケットではボールを持ってから24秒以内にシュートしないとファウルになるのですが、キャブスはその24秒バイオレーションを3回取られるなどターンオーヴァー9回も記録してしまいました。ターンオーヴァーが多かったのもパスを回して時間を長く使ってロースコアを狙うためでした。


ウォリアーズのファストブレイク狙いが奏功

 パスを回す相手には引いてインターセプト


 そんなキャブスに対して、ウォリアーズは3ポイントシュートを狙うとレブロンやセンターを起用しているキャブスのゴール下の強さに後手にまわる事が露呈され、ウォリアーズの1勝2敗で迎えた第4戦からコンセプトを変更。キャブスの攻撃時にはしっかりと引いてマンツーマンで守備に入り、パスは回させておきながら、コースを追い込んだ時にターンオーヴァーを狙い、そのままボール奪取から一気にゴールへ向かう「ファストブレイク」(いわゆる速攻)を徹底して狙いました。


 大柄な選手が多いキャブスにはこれが奏功し、試合序盤は運動量が多くなるものの、そこは選手層の厚さ(というよりキャブスが選手層が薄すぎる)を活かして選手交代を密にして解消。前半は3ポイントは狙わずにファストブレイクで確実に2ポイントずつ奪ってリードを奪い、後半になってからオープンな打ち合いになる時間帯になってから外が空くので、そこでカリーやクレイ・トンプソンの3ポイントが炸裂。第6戦はその流れを象徴するようなウォリアーズの戦略的快勝でした。



NBAに見るサッカーの可能性

 個と組織、守備と攻撃、日本サッカーは?



 思えば、サッカーでもディエゴ・マラドーナを擁した1986年メキシコW杯優勝、1990年イタリアW杯準優勝のアルゼンチン代表、ロベルト・バッジョを擁した1994年アメリカW杯準優勝のイタリア代表はそのスーパースターの個人技を活かすために、まずはロースコアを狙ったチーム作りとゲームプランを組む事から組織されたチームでした。レブロンのキャブスに似ているのかもしれません。


 また、昨年のブラジルW杯優勝のドイツ代表は何処からでも得点できる強みを持っているため、特にロースコアを狙うプランは持っていませんでした。その上で速攻と遅攻は両立できるチームであるのは選手層の厚さゆえ。決勝でもリオネル・メッシの運動量が上がらずとも交代させる事ができないアルゼンチンとは対照的でした。そのアルゼンチンが決勝トーナメントに入ってから1-0,1-0,0-0(PK勝ち),0-1とロースコアが続くキャブス型のチームだったのかもしれません。


 2010年の南アフリカW杯優勝のスペイン代表はロースコアで優勝しましたが、2008年にEUROで優勝した時は打ち合い上等の攻撃集団で、長身選手のいないウォリアーズ型でした。


 圧倒的な個人技を持つ選手がいる場合、勝敗を分ける「違い」となる部分をその選手に託すためにロースコアを狙う。要所を抑える守備はスカウティングの徹底と共に重要な要素ではあるものの、集団で戦いたいチームは打ち合いの方が良いのではないか?


 ましてや背が低い事を劣等感として持つ必要がない事を、高さが勝敗の肝にもなる重要な要素であるバスケットボールで証明したウォリアーズの優勝は、日本のサッカー界にも参考になる部分が多分にあるのではないでしょうか?


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「宇佐美貴史と武藤嘉紀、どちらが日本代表や欧州で活躍できる?

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