「強いジュビロ磐田を取り戻す」名波浩のサッカー観~ジュビロ編 #ジュビロ磐田 #Jリーグ | ヒロ・ゴラッソ

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「強いジュビロを取り戻す」

 名波浩のサッカー観【ジュビロ磐田編】


 昨年9月、僕の大好きだったサッカー選手がJリーグの監督に初就任しました。現役時代は日本代表の10番としてプレーし、ジュビロ磐田のレジェンドでもある名波浩氏。名波新監督の就任時点で、全22チームで構成されているJ2リーグは第33節を終了し、新監督に託されたリーグ戦は残り9試合のみ。それでも、ジュビロサポーターだけでなく、多くのサッカーファンが、この新米監督のサッカーに注目したはず・・・でした。




 注目度はJ2ながら監督就任会見から華やかで、 「前半戦は相手がジュビロをリスペクトし過ぎてくれたので勝ち点を拾えた。後半、苦しい状況になっているというのは、形が見出せない、リーダーが不在など色んな要素があると思う」とチームの現状分析も的確。

 「『名波がどういうサッカーをするのか』、『どういうイメージをしていてるか』っていうのは分かっている」と話す自身のサッカー観や導入したいコンセプトについても期待を抱かせ、監督就任を決断した理由についての質問に、「僕の中のリトル名波が『お前、行くところ分かっているだろう。四の五の考えるのは愚問だろう』と言ったんじゃないですかね」という、日本代表MF本田圭佑のACミラン移籍時の入団会見の言葉"リトル本田"発言を持って来る辺りもセンスを感じさせて注目されました。


期待を裏切り続けたジュビロ磐田

 レジェンドも苦心した2014年シーズン


 そもそも2014年のジュビロには、この年に開催されたブラジルW杯メンバーへも選出された日本代表DF伊野波雅彦、ブラジルW杯バックアップメンバー選出の元日本代表DF駒野友一や、2度のJリーグ得点王とアルベルト・ザッケローニ体制の日本代表で最も多く1トップを任されていたFW前田遼一という日本代表経験者の既存戦力に加えて、欧州から10年ぶりにJリーグに復帰した元日本代表MF松井大輔や、柏レイソルやヴィッセル神戸など、Jリーグで得点を量産してきたブラジル人FWポポも加入。2008年に大分トリニータでナビスコカップ優勝とJ1リーグ4位という偉業を成し遂げたペリクレス・シャムスカ監督も含め、J1から降格した2013年よりも戦力が上がっていると思われており、J2リーグの独走優勝を期待されていました。


 しかし、湘南ベルマーレが開幕から21戦20勝という驚異的なハイペースで前半戦から独走優勝に至った経緯は見事と称賛される中、ジュビロは期待を裏切り続けました。その湘南相手に、シャムスカ監督は完全に相手に合わせた3バックを採用したリアクションサッカーを持ち込むまでになっていました。それでも前半戦の21試合を13勝4分4敗の勝点43のリーグ2位で折り返したまでは良かったものの、後半戦に入って初めて対戦したJ2のクラブに周到な対策を採られた事と、日本代表候補のMF山田大記がドイツ2部のカールスルーエへ海外移籍して行った時期も重なり、後半戦に入って11試合で3勝4分5敗という第33節を最後にシャムスカ監督は解任。


 ただし、誰もが望んだレジェンドの監督就任後、9戦して僅か2勝5分2敗。最終順位もJ1自動昇格の2位・松本山雅から勝点で16という大きな差をつけられて4位へ後退。J1昇格プレーオフでは試合終了間際に攻撃参加したモンテディオ山形の元日本代表GK山岸範宏の劇的なヘディングシュートによる決勝点を決められて準決勝敗退。山形と山岸の"山の神伝説"の引き立て役にしかなる事ができませんでした。さらに名波監督就任後は3戦目で勝利して以降はプレーオフ含めて7戦未勝利という非常事態でシーズンを終了。非常事態は当然ながらJ2降格初年度は我慢していたクラブの運営状態にも響き、シーズンオフには大黒柱のFW前田遼一がFC東京へ移籍するなど主力選手の大量流出が待っていました。


 そんな絶望的なシーズンでしたが、J2からリスタートするからこそ、「名波さんのサッカーを浸透させやすい」土壌も揃ったとも言える部分はあると思います。そんな監督として初めてプレシーズンから指揮を執る事ができる名波さんのサッカー観を説きたいと思っておりましたので、このたび書き下ろしたいと思います。名波さんの現役時代のプレーを振り返りながら、【ジュビロ磐田編】、【日本代表編】を経て、【サッカー観】や【監督編】へと繋げていき、今季のジュビロ磐田を考察していきたいと思います。


 今回はその第1弾となる【ジュビロ磐田編】です。お楽しみ下さい☆


大卒新人ながらレギュラー&日本代表選出

 オフトに基礎を学び、ドゥンガに刺激を受けて成長




 現役時代は左利きのゲームメイカーとしてプレーした名波さんは1995年に順天堂大学からジュビロ磐田へ加入。2008年シーズンの終了まで14年間に渡るプロサッカー選手としての生活において、1999年の夏から1年をイタリア1部リーグのヴェネツィアで、2006年後半の半年をJ1・セレッソ大阪で、2007年シーズンの1年をJ2・東京ヴェルディで過ごしたものの、全てレンタル移籍でのプレーであり、その他の11年半プレーしたジュビロ磐田生え抜きのレジェンドです。その間、1998年のナビスコカップ、1999年のアジアクラブ選手権、2003年度の天皇杯という国内外のカップ戦優勝以上に、リーグ戦で日本のサッカーファンの誰をも魅了するサッカーを披露し、Jリーグ年間優勝3回(1997,1999,2002年、※1999年の後半は名波さんは不在。)、ステージ優勝は6回(1997後期,1998前期,1999前期,2001年前期,2002前期,2002年後期)を数え、2002年に至っては両ステージ共に制覇するJリーグ史上初の完全優勝を達成しています。


 ジュビロではルーキーイヤーの1995年から主力としてプレー。"ドーハの悲劇"時の日本代表監督だったオランダ人監督=ハンス・オフト監督から新人ながら重宝され、加入当初は左ウイングバックとしてプレー。徐々に中央のMFとして存在感を示し、新人ながら日本代表にも選出されるエリート選手でした。


 Jリーグは1993年に開幕していましたがジュビロは"オリジナル10"に入らず、翌年からJリーグに参戦したものの、日本代表で強烈なキャラクターを示していたFW中山雅史やオフト監督というネームバリューのあるクラブでした。その中でも1990年のW杯イタリア大会で地元イタリア代表としてプレーし、大会得点王を獲得したFWサルバトーレ・スキラッチ(1994~1997年)、ブラジル代表の主将として1994年のW杯米国大会優勝、1998年のW杯フランス大会準優勝を果たしたMFドゥンガ(1995~1998年)といった世界的スター選手も在籍しており、彼等からの影響を受けた日本人選手を中心として黄金時代を築きあげました。


 いかに当時のジュビロが凄かったか?を示す指標としては、ドゥンガがフランスW杯の初戦・スコットランドに勝利した直後のインタビューで、それまで日本でプレーしている事を揶揄され続けていた事に対して、「私が日本のJリーグでプレーしている事で"もう終わった選手"だと言われる事に対して反論する結果を示した。Jリーグは技術的に高いレベルでプレーしている」と語っていた事について僕はとても感動した事を覚えています。


 また、スキラッチは出身地のシチリア島のパレルモで立ち上げた自分のサッカースクールのオフィスには、イタリアW杯で6ゴールを記録して得点王を獲得した写真よりもジュビロでのプレーの写真が占拠されており、スキラッチ本人がジュビロの写真を指差して、「私の多くのゴールは名波によるモノだ。あんな選手はイタリアにはいない。」と子供達にも話しているそうです。


誰しもを魅了したジュビロ磐田の黄金時代

 藤田との黄金コンビ、魔法陣"N-BOX"の衝撃


 そんな名波さんとジュビロの黄金時代を語る上で外せないのは、清水商業高校時代の1年先輩でもあった元日本代表MF藤田俊哉さん(現・オランダ2部リーグのVVVフェンロのコーチ)の存在。名波さんは日本代表で10番を背負いながら、ジュビロでは常に7番。"ジュビロの10番"は名波さんが高校時代から、「憧れの存在。ずっと背中を追いかけていた」という俊哉さんであり続け、その存在もあってJリーグ4クラブからのオファーの中でジュビロへの入団を決めたのが名波さん。


 俊哉さんとの"ゴールデン・コンビ"はまさに阿吽の呼吸で成立していました。2人のテクニックの高さはJリーグでも別次元に達しており、ジュビロはこの2人を軸にした中盤のパスワークや構成力を全面に押し出したチームになっていました。ノールックパスの多さや、ゲームメイクに徹する名波さんと、フィニッシュに絡む俊哉さんの役割分担も自然と高校時代から整理されており、華麗で優雅なプレーぶりに相手チームのサポーターまで酔わせていたとさえ言えます。実際、僕は当時はガンバ大阪を応援していましたが、2002年のステージ優勝争いの直接対決で、2-4とガンバがリードしていながら延長戦の末に5-4で敗れた試合であっても、ジュビロのサッカーに惚れこんでいました。


 中でも衝撃的だったのは、名波さんをピッチの中央に置いた事で命名されていた通称"N-BOX"という日本代表経験者5人による中盤で相手チームをも魅了した魔法の布陣。斬新だったのは両サイドの俊哉さんと故・奥大介さんはウイングバックではなく"攻撃的MF"としてプレーしていた事で、名波さんは中央へ入って来るプレーが特徴の俊哉さんや、俊哉さんのポジションをカヴァーする服部さん等とポジションチェンジする"フリーマン"としてプレーしていました。特に俊哉さんは2001年と2002年には2年連続で二桁得点を記録し、2001年はJリーグ年間MVPを受賞していた事が、普通のウイングバックとしてプレーしていたわけではない事を証明しています。



ジュビロ磐田の"N-BOX"

高原直泰 中山雅史(川口信男)
名波浩
藤田俊哉 奥大介(西紀寛)
服部年宏 福西崇史
大岩剛(山西尊裕) 鈴木秀人
田中誠
ヴァンズワム

 この"N-BOX"はクラブW杯で「レアル・マドリードに勝利するため」に誕生したシステムで、日本人の特徴である運動量の豊富さをプレーの連動性として武器にして世界王者に対抗する、という"日本化"が叫ばれる現在の日本サッカー界にとっても指標になるようなサッカーが披露されていました。


 名波さんと俊哉さんの対談では、「(鈴木)秀人やマコ(田中誠)には『お前らは一生懸命ボール奪って早く俺らに渡せよ。お前らは余計なことしなくていいよ。あとは俺らが何とかするから』と試合中にも言っていた。」らしいです。逆に服部さんからしたら、俊哉さんの裏なんて守備面では危なっかしいとしか思っていなかったでしょうが、逆にそこを相手に狙わせてたというぐらいのカヴァーリング能力もあったわけです。最近では西野朗監督時代のガンバ大阪が、常に左サイドバックに入る選手(安田理大・下平匠・藤春廣輝)が守備面に問題がある点を利用して、このジュビロのサッカーに組み合わせると"5人目のMF"とも言えるDF山口智さんのカヴァーリングでボールを奪い取っていたのにニュアンスが似ているかもしれません。



 名波さんによるジュビロでのベストゲームは、この"N-BOX"が初めて最高に機能したと自他共に認められた2001年4月7日に国立競技場で開催された鹿島アントラーズ戦(3-2でジュビロの勝利)だそうです。とにかく、「簡単にボールが奪えた、支配できた」



 そんな名波さんが「ジュビロを選んで良かった」と言える理由は、「タイトルや黄金時代を築いたからではない。もし、面白くないサッカーでタイトルを獲っても、心の中には『別のクラブのサッカーの方が上だった』と悔いが残る。でもジュビロは勝っただけでなく最高に面白いサッカーを披露した。ジュビロを選んだのは俺だけではなく、みんなが選んでくれて、あのサッカーを実現できた事が何物にも代え難い財産です」



 本当にジュビロのサッカーはそれぐらい見事で、サッカーファンの誰しもを魅了していたのです。特に名波さんが2001年に半月板を負傷して手術する事がなければ・・・ジュビロはアジアを再び制覇して世界に名を轟かせていたのでは?そして、2002年の日韓W杯に名波さんが出場していれば韓国のようにベスト4ぐらい行けたんでは?なんて、あの頃からサッカーを見ている人にとっては共感してもらえるのではないでしょうか?




以上、次回は【日本代表編】です。しばしお待ちの上、お楽しみに☆


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新アンケート実施


「今季のジュビロへ期待する事は!?」



 と言う事で、このたび新しいアンケートを作成しました。


 ズバリ、昨季J1昇格を果たせなかったジュビロ磐田へ期待している事です。これから名波さんの連載をしていきますので、ジュビロサポーターではない方もご協力下されば幸いです。


 やっぱり、(上記写真の)新加入選手の元イングランド代表FWジェイ・ボスロイドですかね?選択肢にない場合は【その他】を選んでいただき、【コメント欄】にライターの方の記名をお願い致します。興味深い集計になると思いますのでご参加お願い致します。


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