W杯準決勝、オランダVSアルゼンチン~”メッシのチーム”でなく”マスチェラーノのチーム”【J特】 | ヒロ・ゴラッソ

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必然のブラジルの惨敗。攻撃的なドイツと守備的なブラジルという入れ替わったスタイルに実力の差を深刻に捉えるべき!!


【W杯準決勝】


ブラジル1-7ドイツ


開催国ブラジルの1-7という惨劇により幕を開けたブラジルW杯準決勝。ネイマールの腰椎骨折は残念で、主将CBチアゴ・シウバの出場停止も無念でしたが、正直言ってブラジルには決勝に行ってもらってはいけませんでした。開催国であり、サッカー王国ブラジルでありながらネイマール1人に頼ったカウンター攻撃のみしか攻撃パターンがない守備的なサッカーの内容はともかくスタジアム建設も満足にできず、インフラ面も当初の計画から大幅に遅れて頓挫したり、突貫工事で耐震性の低い施設の多さも酷いです。世界中から多くの観光客となるサッカーファンを招待できる立場にありませんでした。

 また、毎回試合前にスタジアム一体で国歌斉唱をアカペラでするのはホームアドバンテージとしてアリですが、それがFIFAの制限する時間をオーヴァーする事を平気で毎試合している態度にも納得ができません。もしこの大敗によって反省するならば、サッカーの内容以外にも反省すべき点が多々あるのでそれをブラジル代表の責任にしない事とリオディジャネイロ五輪ではこんな酷い運営を繰り返さない事を誓ってもらいたいです!!


 また、ことサッカー面に関しても2000年以降の育成大改革を政府を通して学校の単位として認定してユース、ジュニアユース年代の育成を施し、2004年以降はヨアキム・レ―ヴがヘッドコーチで2年、監督として8年継続性を持ってやってきたサッカーに対して、「ネイマールがいれば、チアゴ・シウバがいれば・・」と言ってる時点でもう負けである事に気付かないブラジルには勝てるはずがありません。


 そして、そのサッカーの内容というのが守備的なブラジルに対して、終始華麗なパスワークによる流動的な攻撃で翻弄するドイツという今までとは逆になったスタイルにも大きな問題がある事にブラジルは深刻に捉えるべきですね!!


オランダ0(PK2-4)0アルゼンチン

強力攻撃陣を抱えながらも守備に問題を抱えて大会直前に守備に軸足を置いたチームへシフトした両強豪


 共に下馬評では守備陣に難ありと言われた者同士で、確かにDFタレントが足りない事で大会前に規模こそ違えど守備に軸足を置くチーム作りに傾倒したアプローチで挑んだ大会でベスト4まで勝ち上がってきました。


 オランダは大会前に伝統のピッチを幅広く使った4-3-3の攻撃的なシステムとポゼッションで主導権を握るスタイルから、システムを5-3-2として相手の攻撃を受け止めてからのカウンターで、ファンぺルシー&ロッベンの2トップと司令塔・スナイデルのゴールデン・トリオの個人技と決定力に賭けたリアクションサッカーに大幅修正。ただし、最終ラインは下がりすぎずに中盤のスペースを消してデ・ヨング等ボール奪取力に長けたボランチや3バックのCBが積極的にインターセプトを狙いやすい”攻撃的守備”が奏功。また、準々決勝・コスタリカ戦ではPK戦突入直前にGKを交代して勝利を挙げるなどルイス・ファン・ハール監督のチーム作りと采配が冴えわたっています。もともとDF陣中心に無名の若手選手を積極起用して世代交代を施しながらも、本大会に入っての5試合で実に登録メンバー23選手中21選手起用している事や、システムも5-3-2を基本に4-3-3や3-4-3など多彩に使い分けるなど、監督の起用法には試合前から注目が集まっていました。


この日はコスタリカ戦のメンバーからの変更は3-4-3の3トップの左を任されたデパイが外れ、負傷が回復したMFデ・ヨングがボランチに復帰した1カ所のみ。ただし、システムは5-3-2でスタートしてカウンター狙いに徹してきました。


アルゼンチンは守備陣の不安定さから初戦のボスニア・ヘルツェゴビナ戦を5-3-2でスタートしながら、後半から4-3-3に切り替えて2連勝。3戦目のナイジェリア戦でFWアグエロが負傷離脱してからはメッシをFWに組み込んだ4-4-2に変更してから安定し始め、準々決勝のベルギー戦からはCBに大会直前に2年半ぶりに代表に招集されたデミチェリスが初先発で完封に貢献して守備がさらに安定。デミチェリスの存在はMFマスチェラーノに全てを依存していたビルドアップでも2段階の起点になる効果を施すなど、チームは大会を通して最適なシステムとDFラインの高さ、ビルドアップの起点を見出してブラッシュアップさせた状態で準決勝を迎えました。

 しかし、1試合平均8kmという乏しい運動量で”走らないメッシ”の負担をカヴァーし続けながらもメッシ並みのチャンスメイクやラウンド16・スイス戦の決勝ゴールなどフィニッシュでも頼りになっていた攻守における大黒柱・ディマリアがベルギー戦で負傷して欠場。変わって、そのベルギー戦でも途中出場から高い守備意識で勝利に貢献したエンソ・ぺレスを今大会初先発に抜擢した1カ所の変更による4-4-2でスタート。


高い守備意識を浸透させた緊張感張りつめた試合


 前日の開催国の惨敗とは打って変わって緊張感が張りつめた試合はオランダが攻撃時もデ・ヨングがメッシをマンマークで監視する徹底ぶり、対するアルゼンチンもスペイン戦で時速37kmという驚異的なスピードを誇るロッベンの突破力を阻止するために、全体が引く事でスペースを消すという、違ったアプローチながら相手対策を駆使して高い守備意識を浸透させて試合に入りました。


 基本的には相手のミスを待つ我慢比べの試合展開となり、オランダは13分にスナイデルが相手のパスミスを拾ってミドルシュートを放ちましたが、前半のオランダのシュートはこの1本のみ。


 アルゼンチンは両サイドMFのラベッシと初先発のぺレスがスムーズかつ積極的に試合に入り、巧みな動き出しで最終ラインからの裏へのパスや、イグアインのポストプレーから好パスを引き出す。狙いは相手左SBブリントの裏から、インターセプトに積極的に前へ出る左CBインディの両脇というポイントにウイークポイントに沿った攻撃。

 15分、ぺレスが右サイドからドリブルで切り込み、ゴール前至近距離でFK獲得。メッシの強烈なキックがGKを襲うもコースは甘く得点ならずも、この後も右サイドに流れたラベッシが裏を突いてチャンスメイクし、イグアインへの速いクロスを供給するなどアルゼンチンペースに。

 28分の左CK、ラベッシのキックを中央でガライがヘッドで飛び込むも、ゴールならず。


 慎重な前半はオランダがシュート1本、アルゼンチンシュートが3本で、両チーム合わせて枠内シュートはメッシのFKのみという数字が証明していました。それでもボール際の競り合いは凄まじく激しく、許容範囲内のラフプレーも見応えもあって、両チームの集中力の高さから観ている者にも緊張感を感じさせた前半が終了。


後半もその流れは変わらず。今大会冴えわたるファンハール采配も後半開始から警告を受けていたCBインディに替えて、右SBにヤンマ―トを投入して、カイトと左SBに回して、ブリントをCBに下げる1枚目。負傷明けのデ・ヨングのスタミナ面のタイムリミットを意識したであろう61分のデ・ヨングからクラシ―に同じポジションの選手を変えただけの2枚目。という、やや消極的な采配。


 アルゼンチンは前半同様に右サイドにラベッシかぺレスが流れてビルドアップから好パスを引き出しての突破から好機を作る。58分にはラベッシが右サイドを抜け出して切り返してのピンポイントクロスが間一髪でDFブロックにて防がれましたが、75分にはこの試合最大の決定機。右サイドで受けたぺレスが縦へ突破し、GKとDFの間へと低い高速クロスを供給。イグアインが合わせたシュートは外側サイドネットでした。


 主導権を握りながらも均衡を破れないアルゼンチンは81分に負傷上がりのメッシの盟友・アグエロとパラシオという共にスピードに長けたFWを投入してカウンターに人数を割いて虎の子の1点をもぎ取りに出るも、試合終了間際に決定機を迎えたのはオランダでした。

 90分、バイタルエリアでロッベンがスナイデルとの連携で前を向いてエリア内に侵入して抜け出す。しかし、これをメッシ以上の存在感でアルゼンチン代表チームを牛耳る攻守の要・マスチェラーノの超ファインスライディングタックルで防ぎ、試合はそのままスコアレスの延長戦へ。


PK専任クルル投入はなく、延長でも決定機を作っていたアルゼンチンが決勝進出!!


 延長に入ってからはオランダがブレーキのエースFWファンペルシーに替えて長身FWフンテラールを投入して、PK専門守護神クルルを投入する選択を捨てて積極的に出たものの、ロッベンとカイトがミドルシュートを放つのみで、フンテラールの高さを活かすハイボールも使わない肩すかしの単調な攻撃に終始。

 アルゼンチンは115分にロングボールのセカンドボールを繋ぎ、イグアインの浮き球スルーパスに抜け出したパラシオがGKと1対1に。しかし、キックも出来たタイミングになぜか判断を誤ったヘディングシュートは弱く、GKの手中に。

 117分にはバイタルで受けたメッシがドリブルでDF3人を引きずりながら右サイドへ流れ、強引にゴールライン際まで突破。ファーサイドフリーの途中出場マキシ・ロドリゲスへ右足で好クロスを供給するも・・・ボレーシュートはジャストミートできず。


 試合はスコアレスのままPK戦へ。


先行のオランダが最初のキッカー=フラールがアルゼンチン守護神GKロメロの好守に防がれて意気消沈。アルゼンチンがメッシが最初のキッカーを務めてきっちり決めると、オランダの3人目スナイデルもロメロが防ぎ、コスタリカ戦でPK戦突入寸前に交代させられたオランダGKシレセンは1本も止められずに2-4でアルゼンチンが決勝進出。


”メッシのチーム”でなく、”マスチェラーノのチーム”

 ~圧倒的な個人から派生するグループ戦術に重視される五輪の重要性


 この試合も含めて決勝トーナメントに入ってアルゼンチンのメッシは3試合無得点。メッシのために運動量も周囲の選手が負担する”メッシのためのチーム”構成が出来ており、この日は所属クラブではクリスティアーノ・ロナウドを、アルゼンチン代表ではメッシのカヴァー役で1人で2人分をこなすディマリアという”世界最強2大スターの影の演出者”が負傷欠場するや、メッシの負担はイグアインとラベッシが半分ずつ受け持って走り周り対応。


 しかし、このチームは主将・メッシのチームではありません。


キャプテンマークを巻いているのもメッシですが、実質的には前主将のMFマスチェラーノのチーム。

マスチェラーノは自分でキャプテンをメッシに託す方が良いとアレハンドロ・サべージャ監督に申し出て、監督も同意の上でメッシにキャプテンを託して”メッシのためのチーム”作りにスムーズに移行。主に2005年のワールドユース(U20W杯)優勝や、2008年の北京五輪金メダルといったメッシと共に下部年代でタイトルを獲得したメンバー構成でメッシが気持ち良くプレーできるチームになりました。


 ただ、ピッチ上では完全にマスチェラーノがリーダー。ビルドアップ時に最終ラインに下がった時には誰もがボールを預けて攻撃のスイッチのほとんどは彼が担っています。そこへベテランCBデミチェリスが加わって連携を取る事と同様に、前線でもメッシと息の合うアグエロやディマリアはワールドユースや北京五輪でも一緒にプレーした選手です。個人派生からグループ戦術を構築していく上で有効にチーム作りは進むんです!!


「欧州では五輪なんて軽視している」などと言いますが、それは事実であるのは同じ年にEUROがあるから。だからこそ、欧州以外の地域の国は五輪や下部年代での国際大会を重視しており、アルゼンチンはアテネ、北京の五輪連覇や90年代後半からワールドユースで幾度も優勝してきたメンバーを重視しています。これをもっと重要視する事が日本サッカーを観る上で大事な事です!!日本にとって五輪は強化と育成の面で非常に大きなウエイトを占めています。


 この試合のマン・オブ・ザ・マッチはPK2本を止めたGKロメロでしたが、そのPK戦も90分に迎えた大ピンチでのマスチェラーノの渾身のスライディングタックルが無ければありませんでしたし、そのPK戦に入る前にもマスチェラーノを中心とした円陣になっており、GKロメロへは直接声を賭けに行っています。


 所属クラブのバルセロナではCBを務めながらアルゼンチン代表ではボランチを務める難しい立場ですが、逆にCBでの経験をボランチで活かす低い位置からのビルドアップをアルゼンチン代表にも取り入れた事で、カウンター以外にもポゼッションで落ち着く時間を作れています。また、どちらのポジションでプレーしても”マスチェラーノのプレー”を出せている事が素晴らしいですね☆


 マスチェラーノを観ていると”本物のポリバレント(多様性)”の意味がわかりますね!!決勝でもメッシよりも彼に注目してもらいたいです!!その上で、日本の選手はポリバレントなのか、ただのユーティリティ(器用)なだけなのかを吟味してもらいたいです!!


予想的中率がぐんぐん上がる!!大会MVPも当たるか!?


 そして、僕の大会前の予想がここへ来て当たりまくっています!!

決勝カードも当てましたが、ベスト8辺りから的中率がどんどん上がっています!!


 そんな僕の優勝国予想はアルゼンチンで、MVPはマスチェラーノでした。またまた的中するでしょうか!?


 確認☛「大会直前W杯予想」 http://ameblo.jp/venger/entry-11876083680.html


最後はそんなMVP候補のファインプレー場面を!!!凄いですね!!

なんせこのプレーを振り返った本人は「股が開いて肛門が痛かった」と言ってます。(笑)

マスチェラーノの人間性も面白いですね☆



グループ 予想 結果 ベスト8進出国
A ブラジル ○ブラジル 予想 結果
クロアチア ×メキシコ ブラジル ○ブラジル
B スペイン ×オランダ コロンビア ○コロンビア
チリ ○ブラジル チリ ×オランダ
C コロンビア ○コロンビア 日本 ×コスタリカ
日本 ×ギリシャ フランス ○フランス
D イタリア ×コスタリカ アルゼンチン ○ドイツ
イングランド ×ウルグアイ ドイツ ○アルゼンチン
E フランス ○フランス ポルトガル ×ベルギー
スイス ○スイス ベスト4進出国
F アルゼンチン ○アルゼンチン
ナイジェリア ○ナイジェリア 予想 結果
G ドイツ ○ドイツ ブラジル ○ブラジル
ポルトガル ×アメリカ ドイツ ○ドイツ
H ベルギー ○ベルギー チリ ×オランダ
ロシア ×アルジェリア アルゼンチン ○アルゼンチン
予想まとめ ベスト16的中9か国 ベスト8的中5カ国 ベスト4的中3ヶ国 決勝
的中率 56% 63% 75% 100%


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