「名前をなくした女神」たちの「ハピネス」 | ツノダ姉妹 女の人生フルコース

「名前をなくした女神」たちの「ハピネス」

“ようこそ、ママ友地獄へ”という秀逸なコピーと、自分の見栄&欲望を子供のお受験という舞台にぶつける母親たちのドロドロさが話題となったドラマ『名前をなくした女神』が昨日、最終回を迎えました。少年隊・ヒガシのベビーを妊娠中で幸せ一杯のはずの新婚・木村佳乃が悪人ママを好演し話題となり、杏演じる主人公以外のママたち全員が家庭内不幸のテンコ盛り。現代お受験ママ版 “人の不幸は密の味”的な主婦好奇心を満たすドラマでした。

最終回のあっけないほどの予定調和な結末に関しての賛否は、熱心に視聴したドラマ評論家の方々にお任せいたします。が、私たち姉妹が最後まで引っかかったのは、主人公含むママたちが、最後まで「名前をなくした」ままで終わったことです。


主人公はリストラ&引越しを機に子どもを保育園から幼稚園に通わせ、そこで初めて「**ママ」と呼ばれ戸惑うところからドラマは始まりました。自分の氏名ではなく、まさにタイトル通りに“名前をなくし”、母親という役割のみの名称で呼ばれることへの違和感・抵抗感だったはずです。

フェミニストを自称するツノダ姉が食いつくような、母親としての幸せを渇望しながら、自分個人としての欲望&アイデンティティ探しも止められず・・・というドラマになるかと思いきや、ドラマは最後まであくまでも「ママ友地獄」に終始し終了。一番のビックリは、りょうが演じたママ仲間の中で唯一“名前をなくしてない”有職ママが仕事で大失敗&離婚で「全て失った」と泣けば、主人公が「子どもがいるじゃない」と励ましたコトですよ!仕事がなくしても、旦那が去っても、母である・・・で、“ようこそ、ママ友地獄へ”ってコト?!ま、そんなブラックなストーリーならば、逆に許せるのですがね・・・。


おそらくドラマは話題となり好評だったことから、スペシャルやパート2展開も考慮し、主人公の子どもを名門私立小学校へ合格させ、もっと恐ろしいママ友地獄を用意していると思われます。まだまだ、“名前をなくした”状態でなければドラマは続かないわけですね。

そこで、私たち姉妹は、セレブママ愛読雑誌「VERY」で連載中の桐野夏生氏が描くママ友地獄(?)小説「ハピネス」に注目しております。私たちに共感を超え恐怖という感動を与えた東電OLをモチーフとした桐野作品「グロテスク」ばりに、ママ友地獄に衝撃の結末が起こることで、ドラマのフラストレーションを解消したいと思っています。