今日はカントリー・ロックを語る上で避けて通れない重要人物、グラム・パーソンズの遺作となってしまった1974年の2ndアルバム「Grievous Angel」を紹介します。
Blues Power

グラム・パーソンズはインターナショナル・サブマリン・バンドを経て1968年にザ・バーズのメンバーとして「ロデオの恋人」のレコーディングに参加した後、クリス・ヒルマンとともにザ・バーズを脱退してフライング・ブリトー・ブラザース を結成。


2枚のアルバムをリリースするがローリング・ストーンズ、特にキース・リチャーズとの交流の影響でドラッグと

アルコールに溺れた事によって1970年にフライング・ブリトー・ブラザースを解雇されてしまう。


ローリング・ストーンズ、デラニー&ボニーなど様々なレコーディングに参加した後、1973年に1stアルバム「GP」 をリリース。


続いて同年夏に2ndアルバムのレコーディングに入るが最終段階に入った1973年9月にドラッグとアルコールの大量摂取によって26才の若さでこの世を去ってしまう。


Produced by Gram Parsons


Gram Parsons(vo,g)
Emmylou Harris(vo.except"Brass Buttons")
James Burton(g)
Glen D. Hardin(piano)
Emory Gordy(b)
Ronnie Tutt(dr)
Herb Pedersen(g)
Al Perkins(pedal steel guitar)


<Guests>

Bernie Leadon(g,dobro)
Byron Berline(fiddle,mandolin)
N.D. Smart II(dr)
Steve Snyder(vibes)
Linda Ronstadt(vo.on "In My Hour of Darkness")


1. Return Of The Grievous Angel
2. Hearts On Fire
3. I Can't Dance
4. Brass Buttons
5. $1000 Wedding
6. Cash On The Barrelhead
7. Hickory Wind
8. Love Hurts
9. Ooh Las Vegas
10. In My Hour Of Darkness


彼の死の翌年、1974年にリリースされたこのアルバムは当時エルヴィス・プレスリーのバックを務めていたジェイムズ・バートン、グレン・ハーディン、ロニー・タットとフライング・ブリトー・ブラザースからアル・パ-キンス、

バイロン・バーライン、バーニー・レドン、そしてヴォーカルにエミルー・ハリスが中心メンバーでレコーディング

された。


前作ではやや不安定だったグラム・パーソンズのヴォーカルは完全復調、エミルー・ハリスのヴォーカルもより

前面にフィーチャーされている。


全10曲中6曲が共作を含めてグラム・パーソンズのオリジナル、4曲がカヴァー曲という構成。


M-1のReturn Of The Grievous Angelはミディアム・テンポのカントリー・ロック・ナンバー。


グラム・パーソンズとエミルー・ハリスのデュエットの息もぴったり、間奏の名手ジェイムズ・バートンのテレキャスターのギター、バイロン・バーラインのフィドル、アル・パ-キンスのペダル・スティール・ギターのソロ回しも

短いながら職人技を感じさせる。


数々のバラードの名曲が収録されたこのアルバムの中で個人的に一番好きなのがM-8のLove Hurts


エヴァリー・ブラザースやロイ・オービソンも歌った美しいメロディーを切々と歌う左チャンネルのグラム・パーソンズと右チャンネルのエミルー・ハリスのヴォーカルが情感豊かに交錯する。


グラム・パーソンズの遺体は彼の遺志を果たそうという仲間達によって棺ごと奪われ、ヨシュア・トゥリーの国定公園で火葬された。


Grievous Angel/Gram Parsons


Return Of The Grievous Angel、Love Hurtsの試聴はこちらヘッドフォン