リンダ・ロンシュタットは自分では曲を書かないけど選曲のセンスが抜群に良く、表情豊かな歌声でその曲を完全に自分のものにしてしまっているのが最大の魅力だ。

有名なアーティストの作品、あるいはスタンダード・ナンバーはもちろんだがまだ無名の才能あるミュージシャンを見つけ出す嗅覚は抜群のものがあった。


エリック・ジャスティン・カズ、J.D.サウザー、カーラ・ボノフなど彼女が楽曲を取り上げた事で有名になったアーティストも多い。


このアルバムも彼女の多彩な選曲のセンスが十分に発揮された1枚。


1975年リリースの6thアルバム「Prisoner In Disguise」。


個人的には前作「Heart Like A Wheel」、今作「Prisoner In Disguise」、次作「Hasten Down The Wind」にかけて

の作品群が一番好きだ。


プロデュースはピーター・アッシャー、バック・ミュージシャンはアンドリュー・ゴールド、ケニー・エドワーズ、ラス・カンケルを中心にデヴィッド・リンドレイ、ローエル・ジョージ、J.D.サウザーなどが参加している。


選曲は今作も多彩でニール・ヤング、ジェイムズ・テイラー、リトル・フィートなどとともに今作でもJ.D.サウザーの

ナンバーを2曲取り上げていて彼もデュエットで参加している。


ただ、これまで深いつながりのあったJ.D.サウザーとのコラボレーションはこのアルバムが最後となる。


また、ジミー・クリフのMany Rivers To CrossやTracKs Of My Tears、Heat Waveなどのモータウン・ナンバーを

自身のスタイルで消化しているのも彼女ならでは。


後にホイットニー・ヒューストンが歌ってあまりに有名になったI Will Always Love Youの2人のヴァージョンを聴き比べるのも面白い。


このアルバム以降、彼女のルーツであるカントリー色は徐々に薄れていった。


個人的に残念なのはジャケットの赤いワンピースで足を投げ出しているリンダの写真がとても小さい事。


もう少し大きければ良いのに。


うわっ、こんな映像があったんだ。スモーキー・ロビンソン&ミラクルズの名曲のカヴァー。
Linda Ronstadt Tracks Of My Tears


Linda Ronstadt
Prisoner in Disguise