今週の月曜日の日経産業新聞に
ライブドア事件 ネット業界は今② -- 「ラボ」核に技術力磨く
独自サービス開発に注力(日経産業新聞2006年2月6日、第2面)
という記事の中で、サイボウズラボさんやサイドフィードさんと
ともにECナビラボ が取り上げられました。
以前、自分のエントリーの中でも書いたように
http://ameblo.jp/usami/entry-10006730134.html
ネット系企業の中でこのようなラボの動きってのが
どんどん活発化してきている。
ただ『ラボ』って呼び名はちょっと誤解を生み易い。
今まではラボというと、そういうPARCのような
まさに研究所ってのを想像しがち。
でも僕はこのラボというものを単に『組織』として
考えるのではなく、新しいサービスを発表する
『場』でもあると考えています。
組織としてラボってのが実在していようと
いまいと、出来る開発者がどんどん自発的に
開発してそれを発表出来る『場』、ね。
で、そのラボでどんなものを開発するのかということに
ついて、昨日の梅田さんのCNETでのインタビュー記事の中で
ネット企業は技術志向の経営を--梅田望夫氏が語るウェブの進化
技術という意味では、これは僕の造語なのですが、「深い技術」と「早い技術」というのがあると思っています。今のウェブの世界は「早い技術」--サービスを開発したら、いろんなものを組み合わせて、さらにそれをいち早くサービスとして立ち上げて、ユーザーをどんどん集めて改良していくなんですね。「早い技術」というのが正しい言葉かどうか分からないけど、僕はそう定義しているんです。
「深い技術」というのは、やはり1つのテーマで、例えばGoogleはページランクというアルゴリズムがベースにあって、そのページランクというアルゴリズムで全世界のウェブサイトをランクづけして、といったものです。その検索の結果をとにかく常に改良していくといったものは、そう簡単にできる技術じゃなくて「深い技術」ですよ。アルゴリズムも相当深いです。そこに数学者やらPhDやら集めてきて何かやるというのはさらに上を行っているわけです。
技術を「深い技術」と「早い技術」と分類していたけれど
そういう視点から見るとECナビラボでは、まだまだ
「早い技術」を追っているのが正直なところ。
ただ「早い技術」と「深い技術」は決して対極にある
概念ではないんじゃないかなぁ。
サイドフィードの赤松さんのブログ にも書かれているように
さて、「ラボ」というと、なんとなく「研究所」という感じがしますが、他社はともかく、私が心がけているのは次の2点です。
1. シンプルにして公開する
2. イノベーションを狙わない
1. についてはもちろん、自分の納得いく製品・サービスを納得いく品質で、という「ユーザーとの約束」がありますが、単機能勝負でエッジの効いたサービスを公開していくことから可能性が引き出されてくると思います。
#機能を増やすことはユーザーの増加には貢献しますが、可能性を増やすことにはつながりません。きっと。
#(もちろん、すでに事業化されているものであれば機能追加で問題ないのですが)
「早い技術」においても「シンプルさ」を追求していくことで
結果として「深い技術」に転化していくんじゃないかな。
そんな風に思っています。
ちなみに今度の5月に北海道で開催されるNILSでは
『ラボ』をテーマにパネルディスカッションのモデレーターを
やることになりました。
パネラーとしてはとにかくすごい人ばかり!
楽天株式会社 取締役常務執行役員 吉田さん
株式会社サイボウズラボ 代表取締役 畑さん
グリー株式会社 代表取締役社長 田中さん
今のところ、技術系の話しというよりは、
ネット系企業における新サービスの開発、
アイデアを具現化を組織的な観点からどのように
マネジメントするのかといったどちらかというと
組織戦略っぽい話しにしたいなぁと思っています。
モデレーターをやると、事前にパネラーの方とはいろいろと
打ち合わせをするのですが、今からその打合せが楽しみに
なってきました。
いろいろと聞いてみたいことだらけだ(笑)。