ムラカミハルキの本をイタリア語で読んだ。





   murakami




日本語のオリジナルタイトルは、

「スプートニクの恋人」 である。



ノーベル文学賞が決定する前、「今年も」 ハルキに期待が集まり、

私もまたハルキが読みたくなった。


毎回ハルキの世界に入り込んでいけなくて、

「つまんねぇ~~」 で終わるのだが、今回はハルキ専門家、オットに

お勧め作品を紹介してもらった。



「キミのように飽きっぽい人には、ページ数の少ないこれがいいね。」

というオットが選んだのがこの本である。


総ページ数、236ページ。


日本語なら3日で読めそうなのだが、ノロマな私である。


そしてイタリア語というのもあって、1ヶ月以上も チンタラ チンタラ して

やっと昨日読み終えた。




それで感想なのだが、何故かこの本の話には違和感なく入っていけた。

実際に起きそうなことだよなぁ・・・

そう思いながら読み終えた。




以下、ネタばれありなので、ご注意ください。





あらすじとしては、語り手の孤独な男性(若い小学校の教師)が

22歳(だったと思う)の女性、スミレと友人関係にあり、

スミレが韓国人女性、ミューと知り合い、ミューに恋してしまう。

ミューの仕事の関係で、スミレとミューは欧州を旅行することになり、

ギリシャの小さな島で、ある日突然スミレが失踪する。

語り手の男性がミューに呼び出され、ギリシャまで行く。

結局スミレが見つからないまま10日たち、語り手の男性は

東京に戻る。


そして半年。

半年経ってもスミレからの連絡はなく、またあとで連絡を取ると約束した

ミューからも連絡がない。

ある朝3時にスミレから男性に電話がくる。

そして以前話していたように会話する。

「小銭がないから、電話が切れる・・・」

そういうスミレに、男性は 「今どこにいるの? 迎えにいくよ。」

というのだが、スミレは結局どこにいるかも伝えないで電話が切れる。


男性はその後窓を開け、三日月を見ながら、

「スミレは今は戻ってこないが、いつか戻ってくる。」

というようなことを思う。





大体のあらすじはこんな感じなのだが、

私としては、ちょっと風変わりなスミレ、エレガントな年上のミュー、

孤独な教師、というメンバーはありそうだし、

仕事の関係でミューにスミレが付き添って欧州旅行をする、

そしてスミレが失踪してしまうというのも、ありえると思った。


最後のスミレからの電話なのだが、これはもしかしたら

男性の夢なのではないかと思った。

スミレを待ち焦がれるあまり、夢にみたのではないかと・・・・・


この電話での会話を読みながら、この男性の孤独な気持ちが伝わってきて

なんとなく哀しい気持ちにもなった。






読み終わったあと、オットに私が思ったことを言ってみた。




「いや、オレは全然違う風に考えたよ。

スミレ、ミューは実際には存在しない人物で、多分この孤独な男性の

妄想だと思う。 全て彼の頭の中で作り上げたことだと思う。

オレは男性がギリシャに行くことになった時点でそう思った。」




ええええええーーーーーーーっっ!!


この話、全部男性の妄想だってかい?

そんな風には考えもしなかった。



実際はどうなんだろう・・・・


やっぱり私はハルキの世界には入っていけそうにない。




最後に、翻訳が上手なのか、それともハルキの文章がシンプルなのか、

イタリア語で読んだが、違和感もなく読み終えることができた。