普天間移設問題。沖縄の「民意」の本音は!? | 日刊 鼠小僧

普天間移設問題。沖縄の「民意」の本音は!?

 沖縄・普天間移設先問題で、鳩山由紀夫首相は就任前に表明した「最低でも県外」の方針をあっさり転換した。

 県外断念の理由を海兵隊の抑止力の維持をあげ、「学べば学ぶにつけ」海兵隊の必要性がわかったのだそうだ。そうして一転して「普天間の危険性の早急な除去」と沖縄県民の「負担軽減」の実現を訴えた。首相は再度、沖縄を訪問して仲井真弘多知事、関係自治体の首長に移設案を提示して「5月末決着」を果たす方針だ。

 だが、多くの沖縄県民は納得していないという。「国民への裏切りだ」と罵声が飛んでいる。名護市の稲嶺進市長は辺野古移設に反対、「陸にも海にも基地はつくらせない」と首相との話し合いには応じない考えだ。
 ところが、受け入れに向けた動きも出てきている。4月末には名護市で地元の有力土建会社の社長、会長や商工業関係者数十人が会合を開いた。その中心となったのが島袋吉和前市長だった。

 今年1月24日投開票された名護市長選は大接戦で普天間移設受け入れ反対派と容認派との実質的な住民投票となった。首相も「計画を進めるかどうか決める前に市長選の結果を見たい」とした。結果は僅差で反対派の稲嶺氏が勝利した。1万7950票対1万6362票でその差は1588票。勝てば官軍である。これが名護市民の表の「民意」として捉えられ移設反対となり、敗者の容認派の民意、住民の声は霞んでしまった。

 名護市民の間では「基地問題の民意は五分五分だ」と主張するむきも多く、鳩山首相の〝裏切り〟で一転して容認派は勢いづいてきたとも言われている。二つの民意のぶつかり合いだ。
 4月25日、県内移設に反対する県民大会が開かれ9万人が集合して「新基地NO!」を決議した。メディアはその規模の大きさから「これぞ沖縄県民の声だ」とばかり伝えた。しかし、名護市長選の接戦が物語るように「あの集会を県民の総意であるかのように喧伝されるのは心外だ」と怒る基地周辺関係者もいる。

 「沖縄では選挙のたびに争点となるのは基地問題で、これは避けて通れない。基地は反対でも一方で雇用や経済、生活の面で米軍基地に依存している。難しい複雑な問題がある。内地(日本本土)の人にはわからんだろうが、ホンネとタテマエがからみあって、マスコミがいう民意のホンネがつかみにくいのは確かでしょう。基地在地だけでなく、全島民に聞かないと沖縄のホンネは掴めんでしょう」(地元ジャーナリスト)

 鳩山首相は「民意を尊重する」というのが口癖だが、民意もいろいろ。言葉もクルクルかわる鳩山首相のこと、地元名護市が異議を唱えても計画を進めることができるだろう