トヨタ自動車・奧田碩氏の「テレビのスポンサーを降りる」発言。 | 日刊 鼠小僧

トヨタ自動車・奧田碩氏の「テレビのスポンサーを降りる」発言。

 「スポンサー引くか。マスコミに対して報復でもしてやるか」


 トヨタ自動車の奧田碩相談役の発言が波紋を広げている。テレビの放映が気に食わないから報復としてスポンサーを降りるというのだ。
 奧田氏といえば世界一の自動車メーカーの社長を務めた人。前日本経団連会長だ。その御仁が首相官邸で開かれた懇談会(厚生労働行政の有り方に関する懇談会)の席上でこう発言。他の委員を困惑させたという。

 同懇談会は福田政権時代に官邸に設けられた有識者会議。奧田氏は座長。
 スポンサーを降りるの奥田発言はテレビの厚労省に対する批判報道についての中で飛び出したもの。

 奥田氏は真顔でこう言ったという。
「あれだけ厚労省が叩かれるのは、ちょっと異常な話だ。正直いって、私はマスコミに対して報復でもしてやろうかと思う。とくにテレビがですね、朝から晩まで、名前を言うとまずいから言わないけど、2,3人のやつが出て‥。わんわんやっている。報復でもしてやろうか」

 他の委員から「スポンサーを降りるというのは言いすぎ」と指摘すると、逆に言い返したという。
「現実に降りるところも出ている。特に大企業は出さない。ああいう番組に出てくるスポンサーは大きな会社じゃない。地方の中小」

 兵庫県の井戸敏三知事の「関東大震災はチャンス」発言に代表されるように政治家、団体、大企業のトップ、要人の暴言が目立つ。奧田氏のケースは驕りと思いあがりからきたものだろう。
 「世の中はトヨタで回っている」とでも思っているのだろうか。そうとられても仕方あるまい。
 政府批判する番組のスポンサーは「地方の中小企業」と決め付けているのも極端で今回、多くの反発を買っている。

 確かに1部のテレビで偏向的とも言える番組が横行している事は否定できない。コメンテーターと称する人たちも、はっきりとそれと判る顔ぶれが登場する。一方に偏った発言を繰り返す。
 奧田氏ならずとも不愉快にさせられる番組が氾濫していることは事実だろう。批判、叩きこそすれ誉めることを忘れたのかのように。
 新聞、テレビのへの天下の大広告主である大企業のトヨタ自動車を代表する奧田氏とすれば「我慢ならない」事かもしれない。

 だが、報復として「スポンサー降りたろうか」は、ついこの間まで〝財界総理〟といわれた御仁らしくない。「品格」に欠けるというものだ。

 「トヨタの不買運動でもやったろか」と開き直られたらどうするのだろう‥。