本当に医者は足りていないか? その3(新設医学部 続報) | 知りすぎてしまった男(_´Д`)ノ~~もうひとりの”奴隷”病院勤務医の真実

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いきなりネガティブな題名ですが、そういうブログです。
日本の医療行政、体制の闇、普通の勤務医の真実をご提供しましょう。

はい。

東北に新設医学部を検討せよ、とする 安倍首相の発表から、約1週間+ー@

凄まじい、スピードでまたもやこんな報道が出現しちゃいました。

今回も、医師免許保有者専用のSNSから引用いたします。


医師不足への処方せん

「東北医科薬科大学」、2015年4月の実現目指す

高柳・東北薬科大理事長、医学部新設の構想発表

2013年10月12日(土) 橋本佳子(m3.com編集長)  

 

 東北薬科大学は10月11日、記者会見を開き、早ければ2015年4月の医学部開設を視野に入れ、準備を進めていることを明らかにした。入学定員は100人、災害医療や地域医療を担う医師の養成を特徴とし、薬学との連携も図るほか、医師の地域定着の方策として10人程度を「地域特別選抜枠」とし、奨学金も充実させる方針だ。

 理事長・学長を務める高柳元明氏は、「東日本大震災の復興には地域医療の再構築が喫緊の課題であり、そのためには地域医療に貢献する医師が不可欠。その意欲と使命感を持った医師を養成し、社会の要請に応える新しい医学部の設置が求められる」との抱負を語った。医学部新設が実現すれば、「東北医科薬科大学」(仮称)に名称変更する考え。

 医学部新設当初は既存の薬学部キャンパスを活用、学年の進行に伴い、新キャンパスを整備する予定。同大は、東北厚生年金病院を譲り受け、附属病院として2013年4月に「東北薬科大学病院」(466床)を開設している。医学部新設の必要経費は、「最低でも約229億円+α」と試算。うち17億円強は、今後予定している附属病院の全面的な建て替え費用だ。高柳氏は、「必要額は、保有する金融資産の範囲内で、十分に対応可能」とした。



首相の新しい医学部を作っちゃってね、検討を、という呼びかけ
を公式に発表して、

わずかに1週間前後での発表ですから、かなりなメディアコントロールですね・・・。苦笑

なんとも、強烈な根回しを疑わせる・・

いえ(笑)、あるいは、ここが日本だとは思えないほどのSTART&GO、
何も決まらない、とされるグダグダ会議が日本のお家芸のはずですが、3~4年くらい前から、
吟味に吟味を重ねた結果のような、迅速な会議進行>そして、今回の発表ですね。



医者が足りないな~~なら、そうだ、東北につくっちゃいましょうo(〃^▽^〃)o 、

東北”医科”薬科大学というものを、とのことですね。

私の予想を大きく裏切り、わずかに、500床を満たすか、満たさないかの、
ベッド数での、大学附属病院・・・ちょっと、個人的に飲んでいたコーヒーを
吹いてしまいかねない、小規模の様子です。

このクラスのベッド数ですと、ちょっとした、他府県、地方基幹病院のそれ、
とほぼ変わらないレベルです。このレベルですと、ある程度、なんでも、診れる病院
と患者たちにはされます。

が、やはり、経験的にはレアな疾患、猛烈重篤な疾患に対する特殊治療環境を必要とする
レベルとなりますと、さらに、規模が大きい施設となりますね(1000ベッド以上のレベル)

具体的に、ベッド数から推測される各科目の担当ドクター数を考えます、
私の専門とする消化器系外科でさえ、通常、一人の主治医が担当する人数は・・・
そう、一般的に我々の業界で想像する、私の培ってきた常識として
経験してきた・・・・・一人前、とされるの医師の場合ですが、10~20人くらいの範囲で、
連日、患者が変動していきます。20人という数になりますと、
狂いそうになるほどに、忙しい>>ほぼ過労死レベルあるいは、
重大なオーバーワークによるミスが出てくるのですが。

ざっくり挙げますが、手術予定の患者、手術直後監理中の患者が5~6人、
消化器内科系統疾患・・手術は必要ないが、ある一定以上の重症内科疾患が、
2~3人、なおかつ、全身化学療法を必要とする方が、
最後に、2~3人の末期がんの緩和治療が必要な方でしょうか・・・

大学病院では、本来の医師の仕事、医師でないと、出来ない実際の
診断治療行為よりも、看護師さん、看護助手さん、事務の方でも、できる、
本来、医師の補助業務としてしてもらわない、困る業務を、た~~~くさん、
させられます。よって、MAX20人なんて数は、
到底無理でしょう。せいぜい、5,6人~10人前後の患者を真の主治医いとして、
担当していれば、十分に、働いている先生だ、と思います。

ということで、個人的に、主治医は担当症例数10人をMAX
としてみます。一つの科目をまさか、大学医学部付属病院で一人しか医員がいない、
ということは、ありえないので、5~6人いるとします。

こうなると、50人+@が推測される各科目の患者ベッド割り振りとなります。
実際には、教授、准教授、講師くらいまでは、ベッドフリー、と言って、臨床的には、全担当患者を持たない・・のが通常です。当たり前です、彼らは、捏造論文作りにお忙しいのです・・・。(笑)。
表面的な表現では、”下部医局員のスーパーバイザー”として働いています。

論文活動で捏造していなくても、真面目に研究論文作っているはずの
強烈などえらい教授たちですから、本当に、
実際に患者さんを徹頭徹尾担当することはまず、ないでしょう。
たぶん・・例外的には、コネコネVIPを地元有力者から紹介されたんで、
たま~~に、一人、二人くらいは、診るかも
しれませんが、実際の業務管理をするのは、有能かつ無名な下僕医局員たちとなります。



さて、みなさんのお近くの大病院にはその看板を見て
、どれくらいの科目がずらり、と並んでいますでしょうか?

一科目50人の設定とした場合、この現行、東北薬科大学附属病院>>>
将来、東北医科薬科大学附属病院となるであろう、
466~500ベッドでは、
せいぜい、10科目くらいまでが、限界となると考えます。

絶対的に、大学病院が大学附属病院として立脚するのに
、科目が、たった10科目前後とは、
ほとほと情けない話になりますね~~


メジャー科目だけでも、10科目考えてみます。循環器内科、消化器内科、神経内科、
血液内科、呼吸器内科、腎臓内科、内分泌・栄養代謝内科、

脳外科、消化器外科、心臓血管外科、呼吸器外科、整形外科・・・・・れれれ、
あっという間に、10科目では、足りなくなってしまいますね・・・

産婦人科、だって、小児科だって、絶対必要でしょうし、

耳鼻科、眼科、皮膚科だって、本当に、大学病院だったら、なきゃあ、おかしいでしょう?

形成外科だっって必要だし、麻酔科は?泌尿器科は?小児外科は?
放射線診断・治療講座だって絶対マストですよね・・・・


大学附属病院の”本院”機能として 全然足りないですね、ベッド数が・・・。

あるいは、20以上ある各専門臓器科目の担当ベッド数は、先に、私が想定した
担当ベッド数の半分にも満たない数の設定にするならば、全科目
を設置可能かもしれませんね。


さらに、実際には、
各科目が使用するベッドは、一般病床といいます。HCU,といって、一段ハイレベルな管理を
要求される区分も存在しますし、一般病床では、管理しきれない、特別な機材、トレーニングを
受けた看護師さんが、配備されている救命救急部で、10ベッド、ICUで10BED(各科共用)、CCU10ベッド(循環器系に特化)、さらには、小児科用のNICU、くらいは、
是非配置しておきたいものですね・・・


と考えると、この病院のわずか、466ベッドでは、全然、地域基幹病院として、は
弱すぎる印象が私にはあります。

ここで、働く、必要な病院医師数を考えてみましょう。

m3.comから引用いたします。

 「最大の課題は教員の確保」

 下村文科相は10月8日の会見で、「東北地方に1カ所」のほか、医学部新設を認める条件として、(1)東北地方の関係自治体等が一つにまとまる、(2)仮に宮城県に設置する場合、宮城県知事が設置場所と設置主体の調整に努力する、(3)卒業生が東北地方の医師不足地域に定着することを前提とする、(4)東北地方の地域医療に支障を来さずに、医学部教員医師らを確保する――を挙げた。

 中でも、高柳氏は、「臨床系と基礎系の教員の確保が最大の課題であると考えている」とした。定員100人の場合、大学設置基準での必要数は147人だが、実際には200人程度は必要になると見込んでいる。「医師の確保は、正直頭が痛いが、東北薬科大学病院には90人近い医師がいるが、全員が教員になるわけではなく、新たに教員を採用しなければならないだろう。東北大学にも協力を仰ぐつもりであり、東京以西の大学に依頼したり、公募も行う。東北地方から医師を集めることはできるだけ避けたい。ある程度のメドは立っている」(高柳氏)。

 さらに、高柳氏は、(1)について、宮城県医師会などが医学部新設を反対している現状を踏まえ、「内部は必ずしも全てが反対というわけではなく、一枚岩ではないと聞いている。東北大学医学部、県や市の医師会などいろいろなところに話をしているが、『東北薬科大学がやるのであれば、仕方がない』、『医学部新設が決まった場合には協力する』と言う声も聞く」と回答。

 (3)の地域定着への対応策となるが、「地域特別選抜枠」だ。高校推薦とし、卒後に在学年数の1.5倍の期間、大学が指定する東北地方の病院に勤務する義務を負う。成績上位者については学費の減免措置も検討する。「奨学金」制度は、学費を無利子で貸与し、卒後3年目から貸与を受けた年次の2倍の期間、医師の派遣を希望する東北地方の病院に勤務する義務を負う。

 「地域特別選抜枠」を10人程度にとどめていることについて高柳氏は、「私立大学は、医師国家試験の合格率がポイントであり、それを考えた時にどの程度、増やせるかがポイント」と説明、入試の偏差値などとの兼ね合いを見ながら、今後、「地域特別選抜枠」の数を検討することを示唆した。「本学の学生は、最近は8割近くが東北出身。卒後は宮城県をはじめ、東北地方に定着している。東北出身者が入ってくれば、自然に定着することも期待している」(高柳氏)。

 なお、大学設置基準では、附属病院の病床数は原則600床以上だが、東北薬科大学病院は466床。「現行の基準は古く、今後の行政判断でどう変わるかだ」と高柳氏は述べつつ、600床の基準が変更されない場合に備えて、「2、3の病院と連携を打診している」とした。



はい、現行の東北薬科大学附属病院では、90人のドクターがいるそうです。

かれらが、現行、466人の患者を診ているのですから、実際には、一人あたりのドクター
が50人+@を担当しているのでしょうか???

驚愕です。

50人の患者を通常の9:00~17:00で実際に、診ているとすれば、
わずかに、8時間に50人を診るわけですから、一時間に、各患者さんに
均等に割り振れば、6人+@/hを担当するわけです。ということは、

一人の患者さんが、回診なんかで診てもらえる時間は、わずかに、10MIN前後となります。

10MINでしっかりと診てもらえるか?というのには、大いに疑問が残ります。

そして、実際には、医者も、常に、入院中の病棟患者さんばかり見ているわけではなく、
外来業務(救急外来含む)、特殊検査、処置、
手術なども、当然こなしているわけですから、この
実際の、一患者の担当時間は、3MINもないかもしれません・・・。
それこそ、悪しき伝統の3時間待って、3MIN治療となってしまいますよ(笑)。

実際には、こういう病院には、既存の大学医学部系列の
非常勤医師が存在しているはずです。
なおかつ常に、ベッドが満床というわけではないはずですから、実際には、
患者さんが診てもらえる時間は、もっとあるはず、と信じたいのです。(笑)。


ま、ほとんど、現実には、ありえない話となります。

先ほど、私が申し上げたとおり、ですが、50人の患者を担当してくれ、と言われたら、
今の年収の2.5倍もらえたとしても、実際には、タスク完遂不可能ですから、
丁寧にお断りいたします。出来ない仕事は、出来ない、というしかないのですから。

おそらく、この東北医科薬科大学附属病院は、引用文中にも、あるように、
あと、もうひとつ、ふたつ小規模の病院と提携して、大学附属病院の分院、とか
いうラべリングをしてくるのが、推測されます。




さらにこれにて、一件落着と思えるかどうかを検討します。


果たして、数字だけでも、かなり胡散臭い大学病院の青写真ですが、

この計画で、きちんと、まともな、標準的知識、技能のある
医者になれるように、医学生たちに、この新医学部体制が教育できるかどうかです。

いろいろ、これまで、私がブログで挙げてきたような、医療業界、実際の
臨床医の病んだ構造を見ていただいたと思います。

それでも、自分は、医学部に行くんだ、という学生さんたち、研修医さんたちも
いると思いますし、是が非でも、わが子を医師にしたい、と考えている親御さんが
いることでしょう。


今、すでに医学生であり、、卒業近くの方々は、このような体制での大学医学部付属病院で
きちんとした、研修ができるかどうか、ぜひ、ご勘案を。

場合によっては、実際に、入ってみたら、専門医認定施設でもなんでも、
ない普通のしょぼい病院かもしれません。既存の大学病院医学部でも、
認定うんぬん、いってますが、その指導体制、内容に、一定のガイドライン、それを確認する
第三者機関、審査システムは、存在しませんし、名ばかりのものも散見されますから。

自分の希望する科目がまず、存在してない、なんてこともあるかもしれません。

新設大学病院だと、今後の働き口も大変かもしれません。

今も、ヤ●ザ同然の病院関連施設の縄張りがあるのも、
現実です。都会でも、そうなのですから、地方に行けば、さらに、閉鎖社会が
広がっていると断言してしまいましょう。
この新設医学部卒業というだけで、大いに、学閥偏見を受ける可能性は
強烈に大となります。

下手したら、本当に、一生、東北から全く、外に出れないかもしれません。

あなたがマッチングを検討するときに、是非、参考にしていただけますようお願いいたします。




医学部受験を控えている高校生、ならびに、親御さんに警告しておきます。
かなり、リスキーな大学病院計画であることが推測されます。

それでも、とにかく、なんでもいいから医師免許を取りたいんじゃ~~という方は、
良いかもしれません。

なんでもいいから、というレベルで該当するのは、

開業医のご子息のごく、一部の方々・・・・

、そう、かの徳洲会病院徳田虎雄さんの直系のご家族のように、
とにかく、子息に、免許をとってもらって、研究実績やら、臨床能力なんて最終的には
関係ない、同族経営で、適当に、初期研修終了したら、速攻で、実家に戻ってもらい、
病院の経営者、上層部管理者にになるだけ、でよいのだ、という経営者の方々には、
うってつけの場所になるかもしれません。

そういう臨床能力もくそも関係ない、
病院経営者になる予定の方々には、朗報ではないでしょうか?

ダブルスクールで、むしろ経営学部に同時入学していただくのも良いかもしれません。



しかし、そんなに、すぐに、ご子息が、本家に戻れるかどうか、はこれから見ものです。

東北で、医学部卒業しても、すぐに、他府県に流出されたら、元も子もないのは、
既に、厚生労働省はお見通しですから、医学部卒業後、東北で10年くらいは、
人質となってもらいますよ、という入学時の強烈な奴隷契約なんかも
あるかもしれません・・・。

それでも、良かったら、東北医科薬科大学付属医学部、是非おすすめです(笑)。