ファイルNo,293 H様 R1Zメンテ完
現状で決定的な不調はないものの
今後のためにメンテを施したいと言う事で入庫したR1Zです。
車体を拝見した結果、
一先ずエンジン関係はオイル&クーラント交換に止め、
早急に手を付けた方が良いと思われる箇所をアップしました。
1.インテーク関係とキャブのO/H
2.ガソリンタンクの錆取り&コーティング 燃料コック交換
3.リヤサスペンションの交換
4.前後タイヤ ベアリング シール バルブの交換
5.どうせなのでホイールとスイングアームのリペイント
6.前後ブレーキ関係
7.チェン&スプロケットの交換
8.バッテリー レギュレーターの交換
9.左シフトペダルの交換
その他ホース類等もろもろ
↑ガソリンタンクはご覧の通り腐食がかなり進んでおります。
↑錆取り後に洗浄(中和) 乾燥させた直後です。
この後は即コーティングに入らなければ新たな錆びが発生してしまいます。
因みにこの段階でリン酸皮膜形成を完璧に施工できるのであれば
コーティングを施さなくても良いと言う考え方もありますが、
当店ではワコーズのタンクライナーを使ってコーティングを施します。
※ドレンパイプ内も処置します。
↑コーティング&乾燥後キャップを取り付けて完了。
↑外注のパウダーコートも仕上がってきました。
↑スイングアームもパウダー仕上げ
リンク回り、ピポッド回りのベアリングやシール交換、
サスペンションも純正の新品に交換です。
↑キャブはご覧の通りけっこう汚れています。
旧車のキャブのO/Hにつきましてはパーツ代がかなり高く付きますが、
経験上できるだけ純正パーツに拘ってO/Hを行います。
ただし、何度もブログで書きますが
どんなに丁寧にO/Hを行っても
すぐにコンディションを崩すキャブもあります。
目視で判断できないキャブ本体の消耗があるのでしょう。
なのでキャブのO/Hはどれほどお金がかかっても
駄目元で行うのが前提となります。
それがどうしても受け入れられない方は
新品の市販品を使う等判断して頂く必要があります。
↑キャブのネットフィルターには錆びの塊が・・・
こういう場合は大抵フロー室にも侵入しています。
↑所々錆びの粒
↑ノズルメインにも何やら茶色物が付着
↑引き抜いてみるとご覧の通り錆びの塊でした。
しかし酷いのは片側ですね。
↑洗浄剤(キャブ専用クリーナー)に漬けると
とにかく汚れ方が半端ありません。
↑洗浄完了
↑メーカーでは出ないキャブ本体のガスケットもNGだったため
市販品を取り寄せました。
↑そしてメーカ廃盤となったスターター(チョーク)ケーブルですが、
ワンオフで発注していたものが何とか間に合いました。
このケーブルの動きが悪くなると
チョークレバーを戻しても実はスターターバルブが完全に戻り切らず
片排ぎみになりその後止まってしまう事があります。
また市販品のバルブとOリングを使った場合も
バルブ回りのOリングの径が若干異なる場合は
トラブルの原因となります。
↑キャブジョイントはもう限界
↑白くなっていましたが間違いなく新品で取り寄せたものです。
R1Zの場合はガスケットからの吹き抜けも発生しやすいため
その都度対応しておりますが、
それでも吹き抜け安いものがあります。
まぁクランクケース側も含め面精度の問題ですかねぇ~
ボルトの間隔も広いので均一に面圧がかからないとか・・
↑で問題のリヤキャリパーです。
パットが残量がほぼ0でしかも片減り大
すんなりO/Hができれば良いのですが・・・
↑キャリパーの片側のピストンは抜きましたが
ダストシールがかなり変形しているのが分かります。
↑反対側はピストンを引き抜く前にシールが飛び出ていました。
この状態ではピストンが斜めになって動かない事が多いのです。
案の定どうやっても引き抜く事ができませんでした。
なので手持ちの中古キャリパーの半分を使って組み直します。
↑ピストンが外れた方も内部を清掃すると
これだけの白い塊がでてきます。
フルードフルードが腐った状態とでも言うのでしょうか。
↑シールの回りもこんな感じ。
車検の無い車両は特にキャリパーのメンテは見逃しがちですが
こういう状態を見るとやはり定期的にメンテは必要ですね。
↑清掃完了
↑新品パーツ
次にオイルレベルセンサー交換のためにオイルタンクを外すと
タンクの底周辺がオイルまみれになっていました。
もちろんフレーム側もです。
でタンクの汚れを落とすと何かに干渉して削れた部分が
皮一枚になっています。
つまり2ストオイルが滲んでいる状態で
突けば簡単に大穴があいてしまいます。
純正のオイルタンクは廃盤ですので倉庫内を探し中古品を見つけました。
それも若干削れていましたがまだまだ使えますので
洗浄して組み付けました。
↑スポンジを張り付けておきました。
原因はバッテリーを固定するゴムバンドがちぎれていて
オイルタンクに干渉していたせいです。
H様の車体に関わらずこれからは注意ポイントですが
断念ながらR1Zのオイルタンクは形状が複雑なので
タンクを外さないと点検そのものができません。
↑中古タンクですがきれいになりました。
↑レギュレーターはカワサキのフィン付きですが
ハーネスに干渉する部分は削り取ってあります。
↑チェンジペダルの軸の摩耗でガタガタだったため
新品に交換しました。
まった別物のフィーリングです。
↑フロントはブレンボ 市販サポート ホースの組み合わせ
↑マスターも交換
↑スーターケーブルも問題無し
↑フロントフェンダーは無し
テスト走行して完了です!!
と言う事で実際にメンテに入ると
大きなトラブルを未然に防げた感があります。
ケーブル類やエンジン、電装系などは
基本的に手を入れておりませんので
今後も定期的にメンテしてあげてください!!
さて明日と明後日の午前中は配送で不在となります。
あとエッセも6ヶ月点検でディーラーへ持って行かねば・・・
来週は18日の朝から神奈川までバイクを引き取りに行きます。
※自走不能車のメンテオーダー
渋滞すると片道3時間以上はかかるでしょうが
こんな時のために4ATの新型ハイゼットトラックを購入しましたので
軽トラとは言えそれほど苦にはならないでしょう。
ではでは